美しすぎる歯科衛生士・西原愛夏が映画『グレーゾーン』でヒロイン。極道の長女役に「腹をくくりました」
現役の歯科衛生士で、セクシーな水着グラビアが話題を呼んできた西原愛夏。映画『グレーゾーン』では女優として、極道一家の長女役で初のヒロインを務めた。当主の後継者を自負する強い女でアクションを披露しつつ、女性らしさも垣間見せる役どころ。女優業への取り組み、そして、今後は何刀流で行くのか聞いてみた。
歯科医の父の背中を見て憧れました
――歯科衛生士の仕事は今もやっているんですか?
西原 かなり回数が減ってしまって、“現役”と言っていいのかわかりませんけど(笑)、芸能のお仕事との兼ね合いを見ながら、たまに入ってます。
――『グレーゾーン』では極道一家の当主を継ごうとする役で、並べたらいけないかもしれませんが、西原さんもお父さんが歯科医だとか。
西原 父の背中を見て育って、憧れはありました。自分でも意識してなかったんですけど、何となく歯科衛生士の専門学校のオープンキャンパスに行ったら、歯医者さん周りのイスや機材のユニットを見て、「私もやりたいな」と思ったんです。
――芸能活動を休業してまで、専門学校に入ったそうですね。
西原 高1でお仕事を始めて、とりあえず高3までやってダメだったら大学に行くと、親と約束していたんです。まだ食べていけるまでになっていなかったので、いったんお休みして資格を取って、その後にまた考えればいいやと思いました。
――歯科衛生士の国家資格を、芸能でも売りにする気持ちがあったわけではなくて?
西原 それは全然考えていませんでした。患者さんの一番近くでサポートする歯科衛生士の仕事に就きたかっただけです。むしろ、もし活動を再開したら、歯科衛生士のことは伏せてもいいと思っていました。でも、マネージャーさんに「せっかくの資格だから活かしたほうがいい」と言われて、出していくことになりました。
――芸能とどちらも本業という意識だったんですか?
西原 歯科衛生士が本業と言ってきましたけど(笑)、自分の中では同じくらいの比重でした。でも、今は関わる頻度は変わってきてしまいました。
厳しい専門学校でメンタルを鍛えられました
――それだけ芸能のほうが忙しくなってきたわけですよね。ムチャ振りかもですが、芸能界と歯科衛生士で、通じることはありますか?
西原 歯科衛生士の学校って、想像以上に厳しかったんです。勉強や実習もそうだし、目上の人に言われたことは必ずやらないといけなくて。そこで鍛えられてメンタルが強くなって、しっかりするようになりました。高校生の頃は正直、遅刻したり「この日は仕事が入ってた!」ということがたまにあって。そういうのがまったくなくなったので、あの厳しい環境で頑張ったのは良かったと思います。
――専門学校ではどんなときに厳しさを感じました?
西原 風邪で2~3日休むだけで停学にすると言われたり、テストが毎日あって順位を張り出されたり。できないと名前を出されて、居残りもさせられました。実習先でもキツい人がいて、大変すぎて学校に「変えてほしい」と言っても「頑張りなさい」みたいな。女の世界の厳しさがありました。
――西原さん自身、虫歯になったことがないとか。
西原 乳歯から虫歯がなくて、きれいなまま抜けていました。小3まで毎日、朝・夜と歯を磨いた後に仕上げ磨きもされていて。たぶん、そのおかげだったと思います。
――見た目的にも白くてきれいな歯ですよね。
西原 コーヒーをよく飲むので、ホワイトニングは家で定期的にやっています。歯科衛生士を名乗る以上、歯の白さは保たないといけなくて。
――グラビア用の写真で、事務所から「歯を白く」という修正要望が入ることはよくありますが、西原さんは必要ない感じですね。
西原 きれいな歯並びで、色もきれいだったら写真も映えますから、大事だと思います。
映画は娯楽で自分が出るとは思ってなくて
――グラビアでの活動が目立っていましたが、映画『グレーゾーン』でヒロイン役。女優業にも意欲はあったんですか?
西原 やってみたいとは思っていたんですけど、逆にこの映画に出させていただいて、「本格的に演技を勉強しよう」というきっかけになりました。映画やドラマを観るのは好きだったんです。でも、娯楽として観ていて、自分が出るとは考えてなかったのが、勉強のために観方が変わりました。
――自分で好きだったのは、どんな映画ですか?
西原 同世代の方ですごいと思うのが土屋太鳳さんで、『累-かさね-』で衝撃を受けました。
――醜い顔ときれいな顔を入れ替えるストーリーでした。
西原 ドロッとしたお話が好きです。昔は青春ラブコメも観てましたけど、私も25歳で、青春を思い出せなくなって(笑)。でも、『海猿』のような感動する映画も好きですし、ジャンルは幅広いかもしれません。最近では『コンフィデンスマンJP』が面白かったです。『グレーゾーン』もそうですけど、どんでん返しがある映画は楽しいですね。
――いろいろ観ているうちに、自分でやりたい意欲も高まっていたんでしょうね。
西原 でも、「こんな女優さんになれたらカッコイイ」とかフワッと思っていただけで、自分にヒロインの役が来るわけがない状態だったので、『グレーゾーン』でお話をいただいたのは信じられなかったです。やるならちゃんとやらなきゃと、ここでスタートした感じでした。
怒鳴り方や無言の圧を研究しました
“予想不能のサスペンス・アクション”と謳う『グレーゾーン』。関東に君臨する極道・黒崎家の当主が暗殺され、後継者争いをしている3人の子どもたちが、刑事に密かに容疑をかけられる。西原が演じたのは長女の一葉。対立する白川組と1人でやり合う強さを持ち、フロント企業も切り盛りしている。
――指名が掛かっただけに、黒崎一葉役はハマる感じはありました?
西原 難しかったんですけど、私も長女で、弟が2人いて、いとことか周りもみんな男の子だったんですね。私も男勝りでヤンチャに育った部分があるので、何か懐かしいというか、一葉に自分と通じる部分もありました。
――強い女性の研究もしたり?
西原 やりました。『極妻(極道の妻たち)』とかも観ましたけど、『闇金ウシジマくん』の高橋メアリージュンさんの怒鳴り方は、かなり勉強しました。
――それが「黙れ! クソ虫」とかの台詞に生きたと。
西原 しゃべり方や立ち方を参考にしました。あと、無言なのに、どうしてこんなに怖いんだろうと。本当にすごくて、同じようにはできませんけど、無言の圧をかなり観て撮影に挑みました。高橋さんはインタビューで「家庭環境が良くなかった役だから、ごはんはすごく汚い食べ方をした」とおっしゃっていて。そこはマネしてませんけど、役作りってそういうことなんだと思って、一葉の設定もいろいろ考えました。
――一葉の話し方は普段の西原さんと違いますよね?
西原 私はまず怒鳴らないので(笑)。どうやってドスを効かせるか。お腹から声を出すように、(監督・主演の)宏洋さんからも言われました。でも、実際に広いところで撮ったら、大きい声でしゃべらないと届かないので、声は意外と自然に出せました。
初めてのアクションで蹴りを誉められました
――なかなかOKが出なかったシーンもなく?
西原 ひとつありました。どんでん返しにビックリするシーンで、そのビックリした顔ができなくて。「もっと驚いて」と言われても、どうしたらいいかわからず、何か変な感じになってしまったんです。もうパニックで、何回もやり直して、スタッフさんたちにご迷惑をかけました。
――普段からリアクションが薄いほうなんですか?
西原 そうかもしれません。驚くと止まってしまうタイプです。お芝居をするうえでは問題ですよね。この映画を撮ったのは2年前で、こんなこと言っていいのかわかりませんけど、試写を観たら「私はこんなに演技ができてなかったのか!」と衝撃でした。当時はできてないこともわかってなくて、楽しくやっていたのが、今観ると信じられないくらいダメなところが、ちょくちょくありました。
――自分で観ると、どうしてもアラが目についてしまうと思いますが、逆に今やれば、もっとうまくできていたと?
西原 2年でガラッと変わったかはわかりません。ただ、できてないことがわかるようになったのは、良かったと思います。
――劇中ではアクションも披露しています。ああいうのは得意なんですか?
西原 初めてでしたけど、運動は得意なほうです。ただ、刀を使うのは難しかったですね。稽古には1ヵ月くらい通いました。当てたらダメ。でも、当たっているように見えないといけない。カメラも気にしつつ、離れすぎてもいけなくて、良く映る角度があって。本当に苦戦しました。
――でも、初アクションには見えなくて、特に蹴りはカッコ良かったです。
西原 クラシックバレエをやっていたのが活きて、脚は高く上がるので、蹴りは唯一「きれいだね」と誉めてもらいました。
灼熱の密室で何時間も撮影して倒れそうでした
――他に、2年前の撮影で印象的だったことはありますか?
西原 夏の灼熱の中で密室で何時間も撮影して、みんな汗だくで、倒れるんじゃないかと思いながらやってました。そこが体力的には一番大変でしたね。アクションもあって、顔が真っ赤っ赤。黒崎家でも、40度近くあった中で着物で、クーラーもなくて、クラクラきました。面白かったことだと、笑ったらいけないシーンの本番で、浪花ゆうじさんや仁科克基さんが笑わそうとするんですよ。それで私が宏洋さんから「集中してない!」と怒られました(笑)。
――あれこれありつつ、さっき出たように、この映画で演技への意識が変わったと。
西原 やるしかないんだと、腹をくくりました。現場でいろいろ教えてもらって、完成して観て「こんなふうに見えるんだ」と思い出して。「もっと勉強しよう」と、やる気が出ました。
――今は日ごろから、演技のために何かしていたり?
西原 あまりやってなかった舞台も、お話をいただいたらすぐ「やろう」と思って、3月に時代劇の『遠山の金さん』、5月にラブコメの『青春フルスロットル』と出させていただきました。なるべく台詞をいろいろなところで言うクセをつけるようにしています。さっきの驚き方でも、手数を増やさなきゃいけないと実感しているので、とにかく場数を踏んで、映画もたくさん観て、盗めるようにもなりたと思っています。
何歳でもお芝居を続けられるように勉強します
――一方で、グラビアもまだまだやっていくんですよね?
西原 そうですね。どっちかだけにするわけではなくて、お仕事をいただければグラビアもやります。
――かつ、歯科衛生士の仕事もあると、本当に忙しいのでは?
西原 自分のYouTubeチャンネルもあって、オフの日も編集していたり、アパレルブランドも持っていて、全部自分でやっているので、休みでも休みでない感じですね。
――柱が5本あるんですね。仕事と関係ないことで、何かに興味を持っていたりは?
西原 最近、日本舞踊を始めました。それも仕事のためでしたけど、趣味にもなっています。
――センスがありそうで?
西原 基礎から始めているところで、全然そういうわけではないですけど、楽しいです。あと、キャンプとか釣りとか、アウトドアもちょこちょこやるようになりました。
――1人キャンプが流行ってますね。
西原 そうですね。私は1人キャンプは経験ないですけど、やってみたいです。
――より長い目で将来を見据えて、取り組みたいこともありますか?
西原 グラビアは年齢層が上がっているとはいえ、どうしてもできなくなる年齢はあるじゃないですか。でも、お芝居は続けようと思えば何歳でもできるので、そのための勉強は、今から続けていきたいなと思ってます。
Profile
西原愛夏(にしはら・まなか)
1995年11月17日生まれ。山形県出身。
歯科衛生士として働きながらグラビア活動を行い、2018年に1stDVD『ラブリーサマー』をリリース。女優としての主な出演作は映画『天使じゃないッ!』、ドラマ『バベル九朔』、舞台『遠山の金さん 天下を揺るがす女』、『青春フルスロットル』など。『ミッドナイト競輪』(ABEMA)に出演中。
『グレーゾーン』
6月4日よりシネマハウス大塚ほかにてロードショー
監督・脚本/宏洋 出演/宏洋、西原愛夏、青山ひかる、黒条奏斗ほか