『おむすび』出演女優の元アイドル率の高さ。「朝会える」ユニットで共に活動した2人も
朝ドラ『おむすび』の新キャストとして、浅川梨奈の出演が発表されている。仲里依紗が演じる米田歩の後輩ギャルのムータン役とのこと。浅川といえばアイドルグループ、SUPER☆GiRLSの元メンバー。『おむすび』には他にも元アイドルが多く出演している。
ヒロイン橋本環奈から福岡の地方グループ出身
そもそも主人公の米田結を演じる橋本環奈が元アイドルだ。若手トップランクの女優になった今、その経歴を知らない人も多いかもしれないが、地元・福岡のローカルアイドルグループ、Rev. from DVLで2011年の結成から2017年の解散まで活動していた。
「1000年に1人の美少女」と呼ばれるきっかけになった“奇跡の1枚”も、2013年のグループのライブイベントで、ファンが撮ったものだ。
元ラストアイドルからクラスメイトに
福岡・糸島編では、まず結が入学した高校で最初に友だちになった、クラスメイトの宮崎恵美役の中村守里は元ラストアイドル。
もともと中学時代から女優として舞台に出演していて、ラストアイドルのメンバーを決めるオーディションバトルに参加。敗退して、セカンドユニットのひとつ、Love Cocchiのメンバーに。
アイドルとしては目立つ存在ではなかったが、グループ在籍中から女優活動も並行させ、卒業前の2020年公開でメインキャストを務めた映画『アルプススタンドのはしの方』がヒット。映画祭などでも高評価を受けた。
以後も着実に出演作を重ね、今年は『アイメイド・マーメイド』で、ローカル局(テレビ神奈川)ながらドラマ初主演も飾った。
書道部顧問は6度目の共演の元乃木坂46
結が恵美に誘われて入った書道部の顧問、五十嵐郁美を演じた若月佑美は元乃木坂46。橋本とは『今日から俺は!!』や『王様に捧ぐ薬指』などに続き6回目の共演となった。
今回は先生と生徒という関係。若月の出番は多くなかったが、今年は『セレブ男子は手に負えません』で連ドラ初主演など、2018年のグループ卒業以来、出演作が途切れない。
ギャルグループには元アンジュルムも
ギャルグループ「ハギャレン」のメンバーでは、結のクラスメイトでもあったリサポンこと柚木理沙役の田村芽実が、ハロー!プロジェクトのアンジュルム出身。
2011年に加入し、2016年に17歳で卒業している。元からミュージカル志向が強く、卒業後は事務所も辞めて1人でイチからレッスンを受けていた。
『ウエスト・サイド・ストーリー』、『イン・ザ・ハイツ』、『グリース』ほか様々なミュージカル作品でヒロインなど大役を担う存在になり、歌唱力も高く評価されている。
朝ドラでは『らんまん』にも、神木隆之介が一時弟子入りした印刷所の娘役で出演。ハギャレンでパラパラを踊るシーンでは、さり気なくキレの良さを見せていた。
新入りギャルは3人とも元&現役
糸島フェスで結たちのパラパラショーを見て、ハギャレンに入ったギャル役の3人は全員が元&現役アイドル。フラフープが得意なレナ役の田中美久は、福岡が拠点のHKT48の中心メンバーから昨年12月に卒業後、目覚ましい活躍を見せている。
『シンデレラ・コンプレックス』に地雷系JK役で主演したのを始め、ドラマに連続出演。『3年C組は不倫してます。』では教師と不倫の末に屋上から飛び降り自殺と、最も苛烈な役を担った。また、雑誌の表紙グラビアもたびたび飾っている。
怖いものしらずのカナ役の金子みゆも福岡のローカルアイドルグループ、LinQの元メンバー。2018年にデビューし、個人のTikTokのフォロワーを増やし、現在はアイドル出身では群を抜く230万人を突破。昨年9月にグループ卒業後、東京に去年を移した。
しっかり者のメグ役の奥心は、今年5月に大阪でデビューしたNo.*Dayのメンバー。最年少の20歳でリーダーを務めている。今回が地上波初主演。
地元HKT48のセンターから警察官役
天神の交番の警察官でハギャレンのトラブルにも駆けつけた兒玉遥は、元HKT48の1期生で初期のエース格だった。センターも務め、AKB48グループの選抜総選挙で9位に入ったことも。
体調不良による休業を経て2019年に卒業後は、映画『空のない世界から』に無戸籍の娘を持つシングルマザー役で主演など、女優を中心に活動。一方、うつ病を患わっていたことを公表し、啓蒙のための経験談の発信もしている。
神戸の古着店主は元SKE48の二枚看板
神戸編では、歩の中学時代の同級生の元ギャルで、元町で古着店を営むチャンミカこと相原三花役で、松井玲奈が出演している。SKE48の結成時から松井珠理奈との二枚看板でグループを引っ張り、2015年に卒業。
硬軟自在の演技で、島本理生原作の『よだかの片想い』に主演など映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍中。女優としての認知を確立している。朝ドラにも『まんぷく』での安藤サクラの親友役、『エール』での二階堂ふみの姉役に続く、三度目の出演となる。
「1000年」繋がりの元スパガも
そして、歩の後輩ギャルのムータン役と発表されている浅川梨奈は、エイベックス発のアイドルグループ、SUPER☆GiRLSで2014年2月から2019年1月まで活動していた。
在籍中から個人でグラビアにも進出、数々の雑誌で表紙を飾った。橋本は「1000年に1人の美少女」と呼ばれていたが、当時の浅川は「1000年に一度の童顔巨乳」がキャッチフレーズ。
女優業にも元より精力的で、橋本とは映画『かぐや様は告らせたい』で共演。卒業後もコンスタントに出演作が続き、今年はドラマ『どうか私より不幸でいて下さい』にW主演。姉を不幸に陥れるために夫を寝取ったりする役で、強烈なインパクトを残した。
おはガールのユニットで活動した2人
ハギャレンのメンバーでいつもスナック菓子を食べていたスズリンこと田中鈴音役の岡本夏美、神戸編で結と栄養専門学校で同じ班になるカスミンこと湯上佳純の平祐奈は、生粋の女優イメージが強い。
だが、同い年で中学時代には、『おはスタ』にレギュラー出演。2012年~2013年度に3人組のおはガールちゅ!ちゅ!ちゅ!として共にアイドル活動をしていた。
それまでの歴代おはガールもユニットを組んではいたが、ちゅ!ちゅ!ちゅ!は当時のAKB48を中心にしたアイドルブームに乗り、より本格的な展開に。
「朝会えるアイドル」をキャッチフレーズに、シングル5枚をリリース。イベント出演も133回を数えた。日本最大級のアイドルイベント「TOKYO IDOL FESTIVAL」にも2年続けて出演。ダンスには新体操のリボンを取り入れていた。
震災で亡くなった親友も漫画誌モデルから
また、歩の中学時代の親友で、阪神・淡路大震災で亡くなった渡辺真紀を演じた15歳の大島美優も、少女向け漫画誌「ちゃお」のモデルによるアイドルグループ、Ciào Smilesの元メンバー。2019年に加入し、2021年のグループ終了まで活動していた。
一方で子役デビューもして、『マイファミリー』の二宮和也の娘役などで出演。『おむすび』でも震災前の回想シーンの可憐さで印象を残した。高校生になる来年からの活躍も期待させる。
イチ女優として活動してきた中で
『おむすび』出演とは言え、全員の出番が多かったわけではない。そうした役でも、オーディションで決まったりもしたようだ。
もちろん、意識的に元アイドルを多くキャスティングしたわけではないだろう。だからこそ、それぞれイチ女優としての活動を続けてきた中での、評価があったはずだ。
歌って踊るのを見ていたアイドルたちが、今は朝ドラに出ている。卒業後は順風ばかりでもない中で、女優の世界で歩み続ける彼女たちに、拍手を送りながら見守っていきたい気持ちになる。