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米韓合同軍事演習が終わっても、軍事訓練を続ける北朝鮮 落下傘部隊の訓練に「金親子」が立ち会う!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
双眼鏡を手にする金正恩の「娘」(朝鮮中央通信から)

 米韓合同軍事演習が14日に終了したことで対抗措置を取っていた北朝鮮も矛を収めるのではと観測されていたが、北朝鮮は15日も朝鮮人民軍の各航空陸戦兵部隊の訓練を行っていた。

 今朝の国営放送「朝鮮中央通信」によると、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は13日の戦車部隊の訓練視察に続いてこの各航空陸戦兵部隊の訓練に立ち会っていた。航空陸戦兵部隊とは落下傘部隊のことである。

落下傘部隊の降下訓練(朝鮮中央通信から)
落下傘部隊の降下訓練(朝鮮中央通信から)

 いつものように軍のトップ3である砲兵局出身の朴正天(パク・ジョンチョン)党中央軍事委員会副委員長(元軍総参謀長)が同行し、現地で強純男(カン・スンナム)国防相及び李永吉(リ・ヨンギル)軍総参謀長、それに特殊作戦軍である第11軍(第630大連合部隊)団長の李奉春(リ・チュンボン)上将ら主要指揮官らが出迎えていた。

 報道によると、この日の訓練は「不意の戦時状況の中で下達される任意の作戦」に従い、敵地に上陸し、敵の主要軍事対象物を一気に占領するための訓練だった。配信された写真には落下傘部隊が輸送機から飛び降りる場面から軍事対象物を制圧するためロープを使って上る場面、さらには射撃を加える場面などが写し出されていた。

航空陸戦兵部隊の訓練模様(朝鮮中央通信から)
航空陸戦兵部隊の訓練模様(朝鮮中央通信から)

 おやっと思ったというか、まさかと思っていたが、「ジュエ」と称されている娘が同行していた。朝鮮中央通信の報道では「尊敬するお嬢様」や「愛するお嬢様」の存在は言及されていなかった。写真を見ると、濃いワイン色の皮のコートを着て、金総書記の隣に立っていた。配信された29枚の写真のうち10枚に写っていた。

 父親に同行していたのにもかかわらず報道で言及されなかったのは昨年12月20日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」を発射したミサイル総局第2赤旗中隊(約80人)の軍人激励会に参加した時以来である。娘はその4日前の12月16日に「火星18」が発射された時も母親と共に立ち会っていたが、この時も言及されなかった。

 今年1月4日の重要軍用台車生産工場を現地指導に同行してからは再び「尊敬するお嬢様が同行した」と報道され始め、以後、養鶏工場の視察(1月7日)、人民軍創建76周年祝宴(2月8日)でも連続して紹介されていた。次期最有力後継者と言われているのに紹介されたり、されなかったりで、北朝鮮の報道基準に関心を払わざるを得ない。

 娘の同行は2月8日の建軍節に際して国防省を祝賀訪問以来実に37日ぶりであるが、軍部隊の視察は昨年11月30日の第1空軍師団飛行連隊の祝賀訪問以来である。

 娘のデビュは一昨年(2022年)11月18日にICBM「火星17」が発射された時だが、以後、父親と共に21回、公の場に姿を現しているが、軍関係以外は昨年2月のサッカー観戦(17日)と建設の着工式への出席(25日)、4月のサッカー観戦(16日)、そして今年1月の養鶏工場(7日)4件のみで、他は全て軍事偵察衛星関連も含め軍事関連である。

 この日は航空陸戦兵部隊の訓練の前に午前中に行われた平壌近郊の温室農場の竣工式にも立ち会っていた。

 なお、金総書記の妹の金与正(キム・ヨジョン)副部長は今朝、朝鮮中央通信を通じて公開した談話の中で金総書記がプーチン大統領から贈られた専用乗用車を「15日、公開行事に初めて利用した」ことを明らかにしていた。恐らく、昨日の温室農場の竣工式と航空陸戦兵部隊の訓練視察の際に使用されたものと推測される。

 プーチン大統領が贈ったのはロシア版「ロールスロイス」と呼ばれている「アウルス」でプーチン大統領は先月18日に金総書記にプレゼントしていたが、金与正副部長は翌日の19日にプーチン大統領からの贈り物は車だが、車種は明らかにされておらずただ単に「ロシア産専用乗用車」とだけ伝えていた。

 「アウルス」はロシア初の高級ブランド車。重量は7トンで、装甲が施されており、爆弾や化学兵器の攻撃にも対応でき、車両が水没しても生存できるほどの安全性が担保されており、金副部長も今朝の談話の中で「専用乗用車の特殊な機能は完璧であり、徹底的に信頼できる」と述べ、「我が党と国家の最高指導者がロシア国家元首が贈り物として送った特殊な専用乗用車を利用するようになったことを大変嬉しく思う」とプーチン大統領に感謝していた。

 言うまでもなく、北朝鮮への贅沢品及び運送手段の供与、移譲、販売はいずれも2017年12月にロシアも賛成して採択された国連安保理制裁「2397号」に抵触する。

(参考資料:米韓合同軍事演習に対抗し北朝鮮が金総書記立ち会いの下、「南侵訓練」も)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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