新生バルサはどうなるか。ヤマルの「覚醒」と問われるハンジ・フリックの手腕。
王者に挑む戦いが、スタートする。
2023−24シーズン、バルセロナはリーガエスパニョーラを2位でフィニッシュ。優勝をレアル・マドリーに明け渡し、無冠でシーズンを終えた。
ジョアン・ラポルタ会長は監督交代を決断した。シャビ・エルナンデス前監督が解任され、代わりにハンジ・フリック監督が就任。「新生バルサ」が始動している。
■新たなバルサとシステム
ドイツ代表で「失敗」したハンジ・フリック監督だが、バイエルン・ミュンヘンでは2019−20シーズンにセクステテ(6冠)を達成している。
その時、施行していたシステムが【4−2−3−1】だ。
バルセロナには、【4−3−3】という伝統のシステムがある。ゆえに、【4−2−3−1】と【4−3−3】の可変システムを考えるのが妥当だろう。
ハンジ・フリック監督は、バイエルンで、中盤でジョシュア・キミッヒ、レオン・ゴレツカ、チアゴ・アルカンタラ、コレンティン・トリッソ、トーマス・ミュラーといった選手を重宝していた。
■置き換えと選手の配置
バルセロナに置き換えてみる。まずはダブルボランチだ。「守備に強い」あるいは「ハードワーカー」の選手と、「組み立て」の選手で、コンビを組ませるやり方だ。
となると、アンドレアス・クリステンセンが守備担当で候補になってくる。彼と組むのはイルカイ・ギュンドアン、もしくはフレンキー・デ・ヨングになるだろう。
トップ下には、ペドリ・ゴンザレスが入る。負傷明けのガビ、成長著しいフェルミン・ロペスが、代役として控える。
■ディフェンスラインの起用
バイエルン時代、ディフェンスラインでは、バンジャミン・パヴァールやアルフォンソ・デイビースがサイドバックで、ジェローム・ボアテング、ダビド・アラバがセンターバックで起用されていた。
いまのバルセロナで言えば、アレッハンドロ・バルデをデイビースの役割として攻撃的SBに、ジュール・クンデをパヴァールの役割として守備的SBで使うことができる。センターバックではロナウド・アラウホとパウ・クバルシ。ただアラウホがコパ・アメリカで負傷した事実を顧みると、アラバの役割として、左利きのCBであるイニゴ・マルティネスを起用するのが良いだろう。
前線はシンプルだ。ロベルト・レヴァンドフスキを頂点に、右にラミン・ヤマル、左にラフィーニャを配置する。バイエルンでは、レヴァンドフスキ、キングスレイ・コマン、セルジュ・ニャブリ、トーマス・ミュラーが務めていたポジション。まったく遜色ないはずだ。
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■ヤマルの使い方
2024−25シーズンに向け、やはり、注目はヤマルである。この選手の使い方次第で、バルセロナの浮沈が決まるだろう。
ヤマルはバルセロナのカンテラーノだ。15歳でプロデビュー、16歳でスペイン代表デビューを果たした。勢いそのままに、EURO2024では、主力選手として、スペイン代表の優勝に大きく貢献している。
el Gordo de la lotería
エル・ゴルド・デ・ラ・ロッテリーア。「宝くじに当たった」というニュアンスだが、このヤマルの覚醒を、そのように称する者も少なくない。実際、ヤマルのタレントは非凡であるが、ここまでの活躍というのは予想し得なかったものだ。
EURO2024の優勝で、周囲のヤマルに対する見方も変わってくる。ピッチ内ではマークが厳しくなり、ピッチ外では結果を出せない時の批判が強まるのは自明である。
また、バルセロナでは、ペドリやアンス・ファティのケースがある。
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