マドリーがベリンガムを狙う理由。リヴァプールとの獲得競争とチュアメニのケース。
ヤングプレーヤーをめぐり、争奪戦が繰り広げられようとしている。
秋冬開催となったカタール・ワールドカップが終わり、各国のリーグ戦が再開した。その流れで、冬の移籍市場が開幕。多くのクラブが、補強に向けて動いている。
カタールW杯で、評価を高めた選手たちがいる。
その筆頭はコディ・ガクポだろう。オランダ代表で、5試合に出場して3得点をマーク。その活躍でビッグクラブの関心を引き付け、リヴァプールがこの冬に移籍金固定額4200万ユーロ(約58億円)+ボーナス1400万ユーロ(約19億円)で獲得を決めた。
ガクポだけではない。フリアン・アルバレス、エンソ・フェルナンデス、ジョシュコ・グバルディオル、ドミニク・リヴァコビッチ、アゼディン・ウナヒ…。上位進出を果たしたチームで、ブレイクした選手は数知れない。
そして、現在、複数クラブが状況を注視する選手がいる。ジュード・ベリンガムだ。
■ビッグクラブのベリンガムに対する関心
ベリンガムは2025年夏までボルシア・ドルトムントと契約を結んでいる。だが19歳という年齢、その若さがヨーロッパのトップクラブの興味を引いている。レアル・マドリー、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、リヴァプール、パリ・サンジェルマン...。資金潤沢なクラブが、目を光らせている。
なかでも、強い関心を抱いているのがマドリーとリヴァプールだ。
「初めてベリンガムのプレーを見た人が、彼の年齢を正確に知るのは難しいだろう。非常に成熟したプレーをするからだ。まるで28歳の選手であるかのようにプレーする。多くの面で素晴らしく、ワールドカップで大活躍した。改善の余地はあるが、まだまだ学べる。そして、彼は教えるのが難しいものを持っている」とはリヴァプールを率いるユルゲン・クロップ監督の弁である。
「ベリンガムが良い選手だというのは、周知の事実だった。だが、お金のことは分からないよ。ベリンガムのような選手について話す時、移籍金を話題にしたくはない。リヴァプールでのメリットを挙げるとすれば、彼の成長の妨げになるような真似はしないということだ。それは大きなプラスになると思う」
■ヤングタレントを狙うマドリー
一方、マドリーは近年、若手選手の獲得に注力してきた。オウリエン・チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガ、ロドリゴ・ゴエス、ヴィニシウス・ジュニオール、ヤングタレントに早い段階で手をつけてきた。
また、マドリーは、この数年で世代交代を進めている。中盤においては、カゼミロ、ルカ・モドリッチ、トニ・クロースが長く君臨してきた。「CMK」の存在感は絶大で、ゆえにチャンピオンズリーグで4度の優勝という果実がもたらされた。
だが、この夏、カゼミロがマンチェスター・ユナイテッドに移籍。移籍金7000万ユーロ(約98億円)を置き土産に、カゼミロはイングランドへと向かった。
チュアメニ、カマヴィンガ、現在右ウィングでの起用が多くなっているフェデリコ・バルベルデ、そしてベリンガムを加えて、「新たなレアル・マドリー」を形成するーーそれがフロレンティーノ・ペレス会長の狙いだろう。
ドルトムントは2020年夏にベリンガムを獲得した。移籍金2900万ユーロ(約40億円)でバーミンガム・シティと合意。17歳だったベリンガムに高額な移籍金が発生して、当時、大きな話題を呼んだ。
だが、いま、その移籍金は決して高くなかったということが証明されようとしている。4倍、5倍の額で、ドルトムントがベリンガムを売却したとしても不思議ではない。お金を話題にしたくないーー。クロップ監督はそのように語ったが、この冬と次のマーケットでベリンガムが注目銘柄であることは間違いない。