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韓国メディアは日本政府の「GoToトラベル」キャンペーンをどう伝えているのか?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
観光活性化事業「GoToトラベル」を推進する国土交通省(写真:西村尚己/アフロ)

 日本政府は昨日(16日)、「GoToトラベル」の観光事業を予定どおり22日から東京を除外した全国各地で実施する方針を確認したが、隣国・韓国のメディアはこぞって関心を示し、日本政府の決定を一斉に報じていた。

 テレビでは3大ネットワークのうち、公共放送の「KBS」は「日本 コロナ19感染者急増・・・この時期に旅行クーポンを支給?」との見出しを掲げ、「新規感染者が緊急事態宣言解除後最高値を更新した最中にこのキャンペーンを行うことに熱い議論が起きている」と客観報道に徹していた。

 「MBC」「SBS」のヘッドラインは同じで「MBC」は「一日感染者600人 『お金をあげるから旅行に行け!』」、「SBS」は「感染者600余人が溢れた日本 『金をあげるから旅行に行け!』」と冷やかな見出しを掲げていた。

 見出しとは異なり、内容は「KBS」同様に客観報道に徹していたが、それでも「SBS」は「防疫状況が深刻であるにもかかわらず地域経済活性化のため22日から国内旅行を補助することにした安倍政権の決定はまな板に上がっていた」として、「日本政府は東京を補助金から除外し、一歩引き下がったものの今のような消極的な防疫対策ではコロナ再流行を防げないとの批判の声が大きくなっている」と日本国内の雰囲気を伝えていた。

 ニュース専門チャンネルである「YTN」は「一日の感染者がどっと 怖い拡散の勢い『不安』」のヘッドラインを掲げ「首都圏から全国に感染が拡大するのとは逆に行く安倍内閣のコロナ対策は徐々に信頼を失いつつある」と、東京特派員の感触を伝えていた。

 新聞媒体では大手紙の「東亜日報」が「日本16日に610人感染 3か月ぶりに再び頂点」という表題の記事で日本の感染状況を短く伝えていたが,「中央日報」は「『旅行キャンペーンをやる時か』と小池都知事が反旗」と政府と東京都との「対立」を取り上げていた。

 また「コロナ19新規感染者600余人超えても『旅行奨励運動』を強行した日本」の見出しを掲げた「国民日報」の記事は日本がコロナよりも経済を優先させたかのような内容となっていた。

 経済紙では「毎日経済」「アジア経済」そして「ヘラルド経済」がこの問題を取り上げていたが、「毎日経済」は「コロナが再び拡大しているのに『旅行に行け』という日本政府」との見出しを掲げて「日本政府が来る22日から施行しようとする旅行奨励計画『GoToトラベル』キャンペーンを巡って日本国内では反発が大きくなっている」と「SBS」と同様の取り上げ方をしていた。

 日本政府の「GoToトラベル」キャンペーンへの韓国国民の反応は伝えられてないが、韓国政府はこの種のキャンペーンは展開していない。

 新型コロナウイルスによる経済への影響は日本同様に深刻だが、韓国政府は依然として慎重な立場を崩していない。現に、韓国プロ野球は日本のプロ野球よりも1か月半も早く開幕したが、日本のプロ野球が7月10日から観客(5千人まで)を入れているのに対して韓国プロ野球は依然として無観客試合のままである。

(参考資料:韓国も長期戦の構え 韓国防疫の「英雄」が国民に「第2波に備えよ!」

 韓国プロ野球ファンのみならず韓国球団も台所事情が苦しいことから一日も早い観客動員を期待しているが、「時期尚早」との韓国防疫中央対策本部の勧告に従っている。

 韓国の感染状況は日本に比べるとはるかに改善されている。

 韓国の直近1週間の全国感染者数は7月10日35人(日本430人)、11日44人(386人)、12日62人(409人)、13日33人(261人)、14日39人(333人)、15日61人(452人)、16日60人(622人)の累計334人。一日平均約47人である。一方、日本は累計2893人で、一日平均約413人と、韓国の約8.7倍である。

 また、ソウル市も10日から16日までの一週間は8人、7人、13人、7人、6人、7人、8人と12日の13人を除けばいずれも一桁台にとどまっている。

 これに対して東京都は243人、206人、206人、119人、143人、165人、286人の1368人でソウルのなんと約24倍。一日平均約195人はソウルの1週間分の感染者数(56人)よりも約3.4倍も多い。

 (参考資料:「首都圏大流行」を免れたソウルと同じ道を辿れるか?東京の感染状況 

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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