「首都圏大流行」を免れたソウルと同じ道を辿れるか?東京の感染状況
失踪していたソウル市の朴元淳市長が遺体で見つかった。
元秘書からのセクハラ告訴を苦に自殺した可能性が取り沙汰されているが、自殺の一報を伝えた米紙ニューヨーク・タイムズは朴市長の業績として新型コロナ対策を挙げていた。「800万の人口のニューヨークは感染者が35万人なのに対して1千万のソウルは1千人余りであった」と伝えていた。
ソウル市の感染者は7月9日現在、累計で1千人よりも4百人多い1,401人。死亡者は依然一桁の9人のままである。
ソウル市の昨日(9日)の新規感染者は8人である。7月は13人(1日)、12人(2日)、7人(3日)、16人(4日)、3人(5日)、3人(6日)、10人(7日)8人(8日)、8人(9日)の計80人である。最少が3人、最多が16人である。
しかし、ちょうど1か月前の6月は1日=15人、2日=18人、3日=20人、4日=13人、5日=23人、6日=27人、7日=18人、8日=22人、9日=10人と累計で166人と、倍もあった。外出や集会規制が解除された5月6日までの1週間が4人、9人、6人、13人、8人、3人、2人で推移していたことを考えると規制が解除された途端感染者が急増したことがわかる。
韓国も今の日本同様に首都圏を中心とした感染者増が深刻な問題だった。6月12日までの2週間の累計をみると、全国感染者533人のうち513人までが首都圏から出ていた。
ソウル市冠岳区の健康用品の訪問販売会社などで集団感染が発生したことや感染経路が分からないケースが相次いだことから「状況が尋常ではない」との認識を示したソウル市は「首都圏大流行」を警戒し、感染に脆弱な地域を総点検し、強力な感染拡大防止策を取った。PCR検査を徹底させ、検査人数はすでに30万3千人に及ぶ。ソウル市民の約33人に一人は検査を受けたことになる。
感染リスクが高いクラブやルームサロン、カラオケボックスなどの遊興施設に対してはQRコードを利用した入店者名簿の作成を義務付けた。入店者は氏名や連絡先などの情報が含まれたQRコードをスマートフォン(スマホ)で提示し、店の端末に読み取らせなければ入店できないようにした。ジムなど室内スポーツ施設や劇場や公演会場についても入店者名簿の作成を義務付けた。訪問者名簿を確保することで感染経路を把握することができ、追加的な感染拡大を阻止することができるからだ。集団感染の温床とされていた教会に対しても礼拝の自粛を要請していた。
さらに2週間の隔離に従わず、離脱した場合、虚偽の証言で防疫規則に違反した場合、或いは防疫調査を拒否した場合は罰金を含む刑罰を科した。実際に仁川空港から入国したインドネシア人の男性が2週間の隔離措置に違反し、無断外出したため警察に検挙された。
確か、6月中旬頃は東京の感染状況はソウルよりもましだった。
6月に入ってから13人(1日)、34人(2日)、12人(3日)、28人(4日)、20人(5日)、26人(6日)、14人(7日)、13人(8日)、12人(9日)と累計172人と、ソウル(166人)とほぼ変わらなかった。人口が約1千万人のソウルに対して東京が約1千395万人と4百万人ほど多いことを勘案すると、東京のほうがソウルよりも事態が遥かに好転していたことがわかる。
(参考資料:逆転したソウルと東京の感染状況 アラート解除の東京に対してソウルは「厳戒態勢下」に!)
それが7月に入ると、67人(1日)、107人(2日)、124人(3日)、131人(4日)、111人(5日)、102(6日)人、106人(7日)、75人(8日)、224人(9日)と累計で1047人に上り、ソウル(80人)の13倍も多い。
ソウルが「首都圏大流行」を危惧し、引き締めを図った6月11日に東京都が逆にアラートを解除し、12日から休業要請の緩和措置を「ステップ2」から「ステップ3」に移行し、制限付きながらもほぼ「通常生活」に戻ったことの「反動」であることは一目瞭然である。