尹大統領は大丈夫か? 支持率は大統領就任以来過去最低、世界25カ国首脳の中で最下位
韓国の世論調査会社「韓国ギャラップ」が11月8日に発表した定期世論調査によると、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の国政運営に対する国民の支持率は就任(2022年5月10日)以来最低の17%に落ち込んだが、世界の主要国の首脳の中でも最も低い支持率を記録していたことがわかった。
尹大統領の国内の支持率は「韓国ギャラップ」の今月1日の調査ですでに20%を切って19%だった。今回はそれよりもさらに2%も下回った。
歴代大統領の中で唯一罷免された朴槿恵(パク・クネ)元大統領の国会で弾劾される直前までの支持率がまさに17%だった。李明博(リ・ミョンパク)元大統領も2012年7月に実兄の李相得(リ・サントク)議員が収賄容疑で逮捕されたことで翌8月初旬の世論調査では支持率が17%まで下がったことがあったが、直後に竹島(韓国名・独島)に電撃上陸し、支持率を回復させていた。
尹大統領の支持率下落は手の打ちようがないほど深刻だ。そのことは2年前の大統領選挙で出馬しながら、途中でレースを降り、尹大統領支持に回った党内の実力者の一人でもある安哲秀(アン・チョルス)議員の「大統領の支持率が人気折り返しの時点で10%台に下落したことは重大な危機である」の言葉が代弁している。何しろ、保守地盤の慶尚北道・大邱での支持率でさえ20%に届かず、18%しかなかった。
尹大統領の前途に赤信号が灯っているが、今後さらに2%下げ、15%となれば、完全にレームダックに入る。先月下旬頃から外大,淑明女子大、国立の仁川大学、忠南大学の教授陣らが相次いで立ち上がり、尹大統領の退陣を求める「時局宣言」を発表しており、全国の大学に拡散している。
野党5党も尹大統領の弾劾、下野を公然と叫び始め、最大野党「共に民主党」は先週の土曜日に続き、昨日も2大労組の「韓国労組」と「民主労総」と共に街頭に繰り出し、「国民行動の日」と称して尹大統領糾弾の集会を開いている。
主催者発表のとおり、20万人が集った先週の土曜に続き、今週も30万人も集まったならば、尹大統領は事実上「蝋燭デモ」で倒された朴槿恵元大統領の二の舞になる恐れがある。
尹大統領の凋落は物価高や医療問題に加え、杜撰な国政運営や国民と意志疎通をしない大統領の独善性などが原因に挙げられているが、最大のアキレス腱は李建希(リ・ゴニ)夫人である。今回の調査でも「金建希夫人問題」(19%)が「経済・民生・物価」(11%)を押さえてトップに挙げられていた。
野党は来週の14日に、圧倒的多数を占めている国会本会議に金夫人の疑惑を捜査する「特別検察官」を任命する法案(「金建希特別法」)を再度発議し、表決する構えを崩していない。与党「国民の力」の議員の中には法案に同調する動きもあり、仮に可決されれば、過去2回、拒否権を発動してきた尹大統領は苦しい立場に追い込まれる。
ところで、米国の世論調査機関「モーニング・コンサルト」が昨日(9日)発表した11月第1週(10月29日~11月4日)の世界各国首脳の支持率では尹大統領の支持率は15%と、世界25カ国の首脳の中で最も低かった。これは、岸田文雄前首相が辞任の意向を発表する直前(8月第1週)に記録したのと同率だった。
当然、不支持率は79%と、25か国の首脳の中で最も高かった。また、ポジティブとネガティブの差は著しく、―64ポイントもあった。
ちなみに支持率のトップは6月に3選を果たしたインドのナレンドラ・モディ首相で75%。2位が先月就任したメキシコ初の女性大統領、クラウディア・シェインバウム大統領で62%、そして3位が同じく中南米の極右のハビエル・ミレイ・アルゼンチン大統領で60%。
4位から10位までは今年1月に就任したスイスのヴィオラ・アムヘルト大統領(53%)、オランダの極右政権を率いるディック・スホーフ首相(47%)、アイルランドの中道右派のサイモン・ハリス首相(47%)、欧州連合の元首にあたる欧州理事会議長を務めたポーランドのドナルド・トゥスク首相(45%)、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相(41%)、今年6月に再選された南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領(41%)、ブラジルの左派のルーラ・ダシルバ大統領(40%)の順になっている。
11位以下を見ると、米国のバイデン大統領が中間の13位(38%)、石破首相は21位(26%)にランクされていた。
なお、20%を割っている首脳はフランスのマクロン大統領(19%)とドイツのシュルツ首相(18%)、それにチェコのペトル・フィアラ首相(17%)の3人だけだが、尹大統領(15%)の支持率は24位のチェコの首相よりも2%も下回っていた。