平本蓮に完敗した朝倉未来は、本当に引退するのか? 『超RIZIN.3』の深層─。
公言通り引退表明
「一旦、格闘技を引退させて頂きます。これからは、日本の格闘技界に貢献できることがあればやります。JTT(ジャパントップチーム)で育ってきている若い子たち、UFCで闘う弟(朝倉海)をサポートしていこうと思います。
選手の練習相手を務めなきゃいけないので、トレーニングは続けたい。それで、いつかまた闘いたくなるのかもしれませんが。本当に長い間、ありがとうございました」
7月28日、さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN.3』で平本蓮(剛毅會)にTKO負けした翌日の午後、朝倉未来(JTT)は自身のYouTubeチャンネルでそう話した。
「平本に負けたら引退する」
戦前に公言していた通り、彼は闘いの舞台から離れる。
まさかの完敗、ショックだったろう。それでも時間が経つ中で心の整理がついたのだと思う。だから動画内で「いや~、派手に散りましたね」と口にし苦笑いもしていた。
一先ず「お疲れさま」と労いたい。
「路上の伝説」は必ず復活する
さて、朝倉は本当にこのまま引退してしまうのだろうか?
もともと彼は「30歳で引退する」と公言していた。
すでに32歳になっているが、3年ほど前、28歳だった彼に私は尋ねたことがある。
なぜ30歳で引退すると決めているのか、と。
朝倉は、こう答えた。
「30歳で引退しないとずっと続けちゃうので区切りをつけたい。格闘技が好きだから。ほかにもいっぱいやりたいことがあるし。やめたら二度とリングには上がらない。解説の仕事もしない。近くにいると、また闘いたくなっちゃいますから」
関連記事:格闘家・朝倉未来が語った「死を恐れなくなった経緯、アンチの存在、30歳で引退する理由」(2021年3月2日)
だが、30歳で引退することはなかった。
この年の6月、東京ドーム『RIZIN.28』でクレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術)に敗れリベンジを誓ったこと、そして闘いが好きだったことがリングを離れなかった理由だろう。
私は朝倉が、このまま二度と闘いの舞台に上がらぬとは思えない。それは、彼が「格闘技が大好き」だから。
「格闘技にかかわっていると闘いたくなるから、引退したら解説の仕事もしない」と話していた彼が、今後も後進をサポートするためにも練習は続けると言う。
ならば「もう一度闘いたい」と思う日が訪れるのは必然だろう。
ただ、いまは休む時だと思う。
この6年間、朝倉は「RIZIN」を、また格闘技界を盛り上げるべくファイティングロードを突っ走ってきた。そして翼が折れた。
1年でも、2年でも、3年でも休めばいい。折れた翼が回復するまで。それでも、まだ30代だ。時間の余裕はたっぷりとある。その間に打たれ弱くなってしまったカラダも癒され、メンタルにも変化が生じよう。
「路上の伝説」は必ず復活する。その刻を静かに気長に待つ─。