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藤井聡太棋王(22)に挑戦するのは誰か? 新鮮な顔ぶれのベスト4、これから準決勝で対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 藤井聡太棋王(22歳)への挑戦権を争う第50期棋王戦コナミグループ杯・挑戦者決定トーナメントはベスト4が出揃っています。

 これからおこなわれる準決勝の対戦は以下の通りです。

11月14日

増田康宏八段(27歳)-澤田真吾七段(32歳)

11月15日

近藤誠也七段(28歳)-斎藤明日斗五段(26歳)


 ベスト4に残った4人は、いずれも現在充実している実力者。そして4人ともまだ、タイトル戦で番勝負を経験したことはありません。誰が勝ち上がっても、初の挑戦権獲得となります。

 棋王戦では、ベスト4以上は2敗失格のシステムとなります。準決勝で勝った側は勝者組決勝に進み、敗れた側は敗者復活戦に回ります。

増田八段-澤田七段

 増田八段は幼い頃からその才能を称えられてきた大器。いつタイトル戦に登場してもおかしくない存在でしょう。順位戦では今年度からA級に所属しています。


 今期棋王戦では本戦1回戦から出場。木村一基九段、黒田尭之五段、伊藤匠叡王、渡辺明九段に勝ってベスト4に進んでいます。

 澤田七段は現在B級1組。三重県出身で、2023年のABEMAトーナメントでは藤井棋王からドラフト指名を受け、チーム藤井「トウカイテイオー」のメンバーとして活躍しています。ひょうひょうとした人柄で、控え室では藤井棋王と相当面白い会話をしていました。

 澤田七段は今期棋王戦では山崎隆之八段、斎藤慎太郎八段、佐藤康光九段、本田奎六段に勝っています。

 増田八段と澤田七段の過去の対戦成績は、増田1勝、澤田3勝。直近では昨年2023年12月、B級1組で対戦。澤田七段先手で相掛かりとなり、最終盤までほぼ互角の戦いが続きました。最後は、澤田七段がめぐってきたチャンスを的確にとらえ、勝利をあげています。

近藤七段-斎藤八段

 近藤誠也七段は今年度18勝6敗(勝率0.750)と好調。B級1組ではA級昇級を争う位置につけ、王将リーグではまだ挑戦の可能性を残し、ここで一気に大ブレイクを果たす可能性も大いにあります。

 近藤七段は今期棋王戦では佐藤天彦九段、狩山幹生四段、三浦弘行九段に勝ってベスト4に進みました。

 斎藤明日斗五段はC級1組所属。現在ただ1人だけ6連勝で、昇級争いのトップに立っています。

 斎藤五段は宮田利男八段門下。兄弟子・本田六段と弟弟子・伊藤叡王は、棋王挑戦の経験があります。斎藤五段も続くことができるでしょうか。

 斎藤五段は今期棋王戦は予選から出場。石井健太郎現七段、渡辺正和六段、佐々木大地五段、飯島栄治八段に勝って、本戦進出を決めました。

 本戦では2回戦から登場し、格上の糸谷哲郎八段、広瀬章人九段、羽生善治九段を連破。斎藤五段はベスト4に残った中では唯一、予選からの勝ち上がり者となりました。

 近藤七段と斎藤五段は、2018年6月、新人王戦で対戦し、近藤現七段が勝っています。

 藤井棋王への挑戦に名乗りをあげるのは、果たして誰か。まずは準決勝の2局に注目です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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