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povo2.0がiOS 16の「eSIMクイック転送」に対応。約1分で再発行できた

山口健太ITジャーナリスト
iOS 16の「eSIMクイック転送」を実行している様子(筆者撮影)

povo2.0が、iOS 16の新機能「eSIMクイック転送」に対応。実際に試してみたところ、iPhone間でeSIMを約1分で転送できました。米国で始まる「物理SIM廃止」の流れが、やがて日本にもやってくるかもしれません。

新しいiPhoneに約1分でeSIMを転送

携帯電話やスマホでは、契約時に渡される「SIMカード」を入れることで電話番号が設定され、音声通話やデータ通信が使えるようになります。

この物理的なSIMカードの代わりに、ソフトウェアで書き換え可能な「eSIM」を搭載した機種が増えており、国内キャリアの対応も進んでいます。

しかしpovo2.0では、eSIMを別の端末に移す再発行の手続きが面倒でした。いったんはアプリ上での再発行に対応したものの、現在は受付停止中。オペレーターとチャットしながら、身分証を手に持った自撮り画像を送る必要がありました。

今回、povo2.0が対応したのが、iOS 16の新機能である「eSIMクイック転送」です。

アップルのサポートページでは、対応する通信事業者であれば問い合わせをすることなく新しいiPhoneにeSIMを転送したり、物理的なSIMカードをeSIMに変換したりできると説明されています。

実際にiOS 16が入った2台のiPhoneを用意し、eSIMの転送を試してみたところ、すぐに移行することができました。

画面内容をしっかり確認しながら進めても約2〜3分で終了。手順を理解してからもう一度試したところ、1分以内で転送が終わりました。

手順としては、新しいiPhoneにeSIMを追加する際、従来はQRコードが必要でしたが、新たに「近くのiPhoneから転送」を選べるようになっています。

新しいiPhone側での操作に応じて、近くにある古いiPhoneには電話番号を転送するかどうかの確認画面が出てきます。

eSIM追加時に「近くのiPhoneから転送」する選択肢が加わった。古いiPhoneには確認画面(右)が表示される(iOS画面より、筆者作成)
eSIM追加時に「近くのiPhoneから転送」する選択肢が加わった。古いiPhoneには確認画面(右)が表示される(iOS画面より、筆者作成)

間違って画面を進めてしまっても、その後に「6桁の検証コードの入力」や「サイドボタンのダブルクリックによる承認」といった手順が必要なことから、意図せず転送してしまうことはなさそうです。

移行元のiPhoneでは承認が必要(iOS画面より、筆者作成)
移行元のiPhoneでは承認が必要(iOS画面より、筆者作成)

povo2.0のページによれば、物理SIMからeSIMへの変更にも対応しているとのこと。受付時間は午前7時から23時50分と、午前1時から2時50分と長くなっており、24時間自由に再発行できる楽天モバイルの使い勝手に近づいた印象です。

この方法でeSIMを転送できるのはiOS 16以上のiPhone間のみであることから、まだすべての利用シナリオをカバーしているとはいえないものの、サブ回線としても便利なpovo2.0の魅力を高めることは間違いなさそうです。

追記:

povo2.0だけでなく、au回線やUQ mobile回線もeSIMクイック転送に対応しています。

・au

SIM(au ICカード/eSIM)のお手続き

「再発行」→「iOS機能を利用してお手続きする場合」

https://www.au.com/support/service/mobile/procedure/sim/

・UQ mobile

eSIMの再発行手続きについて

「お手続き方法」→「iOS機能を利用してお手続きする場合」

https://www.uqwimax.jp/mobile/support/procedure/esim/

「物理SIM廃止」広がるか

アップルの発表イベントでは、米国向けのiPhone 14が物理的なSIMカードを廃止したことが明らかになり、サプライズとなりました。

米携帯キャリアのeSIM対応により、米国向けのiPhone 14は物理SIMを廃止した(アップルの発表イベントより)
米携帯キャリアのeSIM対応により、米国向けのiPhone 14は物理SIMを廃止した(アップルの発表イベントより)

米国の携帯キャリアはeSIMに対応しているため問題ないとはいえ、米国でiPhoneを買った人が海外に行ったときには困る場合があることを考えると、なかなか挑戦的な取り組みといえます。

一方、日本で販売されるiPhone 14は従来通り物理SIM(Nano-SIM)とeSIMの両方を利用できる(デュアルeSIMも可能)となっており、ただちに影響はないでしょう。

しかし今後、携帯キャリアによるeSIM対応がさらに充実していけば、この物理SIM廃止の流れが日本にもやってくるかもしれません。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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