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犬好きは号泣必至の金曜ロードショー『僕のワンダフル・ジャーニー』。オッポの振り方でガンがわかる?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

『僕のワンダフル・ライフ』の続編として描かれた『僕のワンダフル・ジャーニー』が11月4日の金曜ロードショーで放送されます。

前作で飼い主と再会を果たした犬が、さらに生まれ変わる映画です。愛犬を天国に送った飼い主は、亡き愛犬のことを思い出して余計に涙腺崩壊の物語です。この映画を通して、犬の行動とガンについて見ていきましょう(以下からは少しネタバレがあるので、真っ白の状態で映画を見たい人は、放送が終わってから読んでください)。

犬を飼っていて、愛犬を天国に送った飼い主なら、科学的ではないけれど「確かにへんだけれど、理解ができる」ストーリーです。

犬の種類や性別が違っていても、ふとした動作や目の動きで、もしかしたらこの子は、天国に逝った犬の生まれ変わりなのではないか、と思った人は数多くいるはずです。

筆者も前の犬は柴犬系のミックスのオスでした。次に飼った犬はミニチュアダックスフンドのメスでしたが、それでも視線などから、前の犬の生まれ変わりかもと思ったことはあります。

この映画の始めに出てくるベイリーちゃんは、ガンが見つかり安楽死する場面があります。日本では、ガンになった犬を安楽死させることは少なく、最期まで治療するか、もしくは緩和治療をする人が多いので、その辺りは、日本と米国の違うところです。

犬のガンってどうやってわかるの?

この映画の中で、飼い主のイーサンさんが茶色の大きなベイリーちゃんを触れているときに、なにかあるといって動物病院に連れて行きます。そして、ガンが発見されていました。

犬のガンを確定診断しようとしたら、患部を病理検査するしかないです。しかし、飼い主でも以下の点を注意していると、ガンが大きくなる前に、犬の動作からガンの早期発見ができるかもしれません。それを見ていきましょう。

・オッポを振らなくなった

痛みや体調が優れないことが多いので、元気のときにようにオッポを振りません。

・オッポを上げなくなった

体に力が入らないのか、オッポはだらりと下がっていることが多くなります。

・食欲が落ちた

消火器にできた場合は、特に食欲が落ちます。

・散歩に行きたがらなくなった

ガンになると、貧血をしている子が多いので散歩を嫌がります。

・ふらふらしている

貧血のためふらふらします。

・舌や目の粘膜を見ると白っぽい

採血をしなくても貧血が進むと、舌や目の粘膜が白くなります。

・触るとできものがある

胃や腎臓などにできると触るとわかることもあります。

・よく吐く

消火器にできると、よく吐きます。

・吐いたものに血が混じる

胃、食道、口腔内にガンができると吐いたものに血が混じることもあります。

・尿にずっと血が混じる

膀胱や尿管にガンができると、血尿が続くこともあります。

・ウンチにずっと血が混じる

腸にガンができるとウンチにずっと血が混じることがあります。

上述のようなことあれば、かかりつけ医に相談した方がいいです。気のせいだといいのですが、飼い主が愛犬の様子が元気なときと違うのをいち早く察し、獣医師の診察を受ければ、早期のガンなら寛解する時代になってきています。

生まれ変わる犬種は?

犬が生まれて変わって出てきますが、日本には珍しい犬が多く出てきますので、それぞれを見ていきましょう。

・1匹目のベイリーちゃん、茶色の大きな犬は、「グレート・ピレニーズ×バーニーズ・マウンテン:ドッグ」です。

・2匹目のモリーちゃんは、ビーグルに見えますが、「ビーグル×キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」とのミックスのようです。

・3匹目のビッグ・ドッグちゃんは、アフリカン・ボーアボールという大型犬です。日本ではあまり見かけませんが、70kgから90kgになる超大型犬です。

・4匹目のマックスちゃんは、保護犬のヨークシャー・テリアです。

最後に出てくるマックスちゃん以外は、日本ではあまり見ない犬ですし、犬も演技をしていて、犬好きには心をわしづかみにされる映画です。

犬の嗅覚とガン

この映画にも出てきますが、犬は人間の10万倍の嗅覚を持っていると言われています。まず犬になにかガンのニオイがすると教えてもらって、それからCTやMRIなどの画像診断や血液検査をする時代が来るかもしれませんね。

人間のがガン初期のうちだと、治療効果もあがり寛解に持っていきやすいでしょうから。

犬の飼い主を思う気持ちの強さとガンについていろいろと考えさせられる映画です。犬の行動学を知っていれば、より興味深く見ることができます。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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