オートバイのあれこれ『熱狂の時代を牽引したスズキ。』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『熱狂の時代を牽引したスズキ。』をテーマにお話ししようと思います。
1970年代は、ホンダやカワサキに押され気味だったスズキ。
しかし80年代に入ってからのスズキは、「無双モード」と表現して差し支えないくらいの大躍進を遂げました。
時代を彩った名車を、いくつも世に放ったのです。
80年代は「スズキの時代」───。
今回は、賑やかな80年代をリードしたスズキ車を4つご紹介します。
◆GSX1100S KATANA〔1981年(昭和56年)〕
オートバイにさほど詳しくなくても、知っている人が少なくないスズキの「カタナ」。
ドラマ『西部警察』に劇中車として登場したことなどでも有名ですね。
無論バイクファンにとっては、言わずと知れた名車でしょう。
カタナは70年代の不完全燃焼から脱却し、80年代にスズキが飛躍する契機となったバイクでした。
イチバンの見どころは、やはりそのスタイリングデザイン。
今見ても斬新なその外観は、二輪のデザインノウハウや造形技術がまだまだ発展途上だった80年代からすると、「新鮮」を通り越して「奇抜」と言って差し支えないくらいのインパクトがありました。
世界中でスズキファンが増えたのも、このカタナからだといわれています。
◆RG250Γ〔1983年(昭和58年)〕
今でもよく語られる80年代のレーサーレプリカブームを巻き起こした存在が、RG250ガンマです。
レーシングマシン風のカウルを備えたその佇まいは、当時の世のライダーたちを大いに驚かせました。
また、市販量産車初のアルミ製フレームや3000rpm以下が省かれたタコメーターなど各部の作りこみも本格的で、さらにクラストップの45psを発揮する高性能エンジンも相まって、ガンマはデビュー後すぐに大人気を博しました。
◆GSX-R〔1984年(昭和59年)〕
上で紹介したRG250ガンマに続き、スズキが打ち出した第二弾のレプリカモデルが、4ストローク400ccのGSX-Rでした。
スズキはガンマで2ストレプリカの土俵を作り、次はGSX-Rで4ストレプリカの土俵も作ったのです。
GSX-Rは4ストの並列4気筒エンジンを搭載していましたが、車重(乾燥重量)が152kgと驚異的に軽く、まさに「レーシングマシンの公道版」と言っていい運動性能を秘めていました。
◆GSX-R750〔1985年(昭和60年)〕
RG250ガンマ、GSX-Rに続き「レプリカ三部作」のラストとなったのが、このGSX-R750でした。
前年に登場した400ccのGSX-Rの兄貴分的存在で、車両コンセプトも似通っていますが、このR750に特有だったのが、油冷エンジンを採用していたこと(400ccのGSX-Rは水冷エンジン)。
油冷とはその字のごとく油(エンジンオイル)でエンジンを冷やす仕組みで、水冷式と空冷式の間のような特徴を持っていました。
当時、750ccクラスのバイクは軒並み210kgから220kgくらいの車重がありましたが、スズキはR750の重量をなんと179kgに抑えることに成功。
これはそれまでの400ccクラスと同等の軽さで、R750はそれこそ中型バイクのようにヒラヒラ扱える大型スポーツモデルとして人気を集めました。
現在のリッタースーパースポーツの先駆けのような存在といっていいでしょう。
◆まとめ
80年代はスズキ以外のメーカーからも数々の名車が生まれた時代ですが、やはり当時のレプリカブームの開拓者となる存在(ガンマやGSX-R)を作ったスズキの存在意義は大きく、スズキは“熱狂の時代”の火つけ役であり、主役だったといえるでしょう。