進次郎議員の育休発言に感じる違和感~自分より先に国民の育休を考え法整備するのが政治家の仕事では?
フリーアナウンサーの滝川クリステルさん(41)と結婚し、来年1月にパパになる予定の小泉進次郎衆院議員(38)が、育児のための休暇取得を検討していると話したそうです。
先月書かせていただいた
滝川クリステルさん妊娠で小泉進次郎衆院議員が子育て“当事者”に。大都市圏の出生率向上の救世主となるか
という記事で筆者は「進次郎議員にはぜひ“当事者”として、都市部の子育て世代に目をむけた政治を行っていただきたいです」と希望しましたが、今回、進次郎議員が育児のための休暇取得を検討と発言したことには大きな違和感を感じています。
というのも、進次郎議員は自身の育児のための休暇取得を口にする前に、国会議員としてやるべきことがあると思うからです。
育児のための休暇を取得した政治家は?
過去に育児休暇の取得した政治家はいたのでしょうか。
湯崎英彦広島県知事は知事在任中の2010年に取得。一か月の間に休んだのは12日間で20時間だったそうです。
鈴木英敬三重県知事(42)は2012年に計3.5日、2016年に計5日分の休暇を取得したと発表しました。
国会議員では小渕優子氏が出産と育児のためお休みされましたね。
2016年の記事がわかりやすいので引用します。
政治家の仕事は育児休暇を取ることではなく、国民が安心して育児休暇を取得できるための法を整えること
自身の経験談で恐縮ですが、筆者が記者時代に育児休暇を取得したとき、ある月、会社からの振込額が100円に満たないことがありました。
育児休暇中は会社からの給与が支給されないため、前月に実質働いたぶん(日割り)の給与から税金など諸費用が引かれ、残額が100円に満たなかったのです。
会社員は議員とは違い、育児休暇を取得すると一時的に収入が激減するのです。
筆者のもとにいらっしゃる結婚希望者の中に、将来的に子どもを持つことに対し、経済的に不安を感じている方は多いですし、内閣府の調査でも20代、30代の男女とも、子育ての不安要素は「経済的にやっていけるか」が第1位です。
コラム:結婚・家族形成に関する意識調査について(内閣府HPより)
若い世代の収入は決して多くはありません。20~24歳の平均年収が269万円、25~29歳が358万円、30~34歳で431万円。都市部で生活するには厳しいレベルだと思います。
個々の収入が多くはないことも、共働きが増えている原因かもしれません。2018年の共働き世帯は1219万まで増加し、専業主婦世帯(600万)の倍以上となっているのが現状です。
専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2018年(独立行政法人労働政策研究・研修機構HPより)
男性にしろ女性にしろ、育児が嫌で仕事をしているわけではありません。
もちろん、仕事に対する意欲ややりがいなどで働く人もいますが、経済的理由で子どもと一緒にいたくてもいられない、という人もいるのです。
政治家が育児のために仕事を休むことを否定するわけではありません。
ただ、政治家自身が育児休暇を声高に宣言することが国民の幸せにつながるかというと、違うと思います。
たとえ政治家が率先して育児のための休暇を取得したとしても、たとえ男性の育休取得を義務化したとしても、だめです。
もっと抜本的に法や制度を整えて、子育て中の会社員が金銭面においても復帰の条件においても安心して仕事を休めるようにならない限り、育休が取りやすくなるわけではないのです。
進次郎議員や小渕議員にやっていただきたいことは、子育て世代がせめて育児休暇の間ぐらい、休んでも金銭的に不安がないよう、法や制度を整えること。
結婚希望者や、子どもを産んで育てたいという若い世代が安心して家族を増やせる日本になることを、仲人として切に願います。