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大谷翔平の前に「3年連続MVP」にリーチをかけた14人中、3年目も続けて受賞したのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
バリー・ボンズ June 3, 2003(写真:ロイター/アフロ)

 大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は、メジャーリーグでMVPを3度受賞している。ロサンゼルス・エンジェルス時代の2021年と2023年に、ドジャース1年目の2024年がそうだ。2025年も受賞すると、3シーズン連続となる。

 2シーズン続けてMVPに選ばれたのは、2023~24年の大谷が延べ15人目だ。その前の14人中、2シーズン連続にとどまらず、3シーズン連続としたのは、バリー・ボンズしかいない。2001年と2002年に続き、2003年も受賞。さらに、その次の2004年も選出された。

筆者作成
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 あとの13人は、3シーズン連続受賞とはならなかった。そのなかには、1992~94年にMVP→MVP→4位のボンズも含まれている。

 ちなみに、1992~93年のボンズと2023~24年の大谷は、2人とも、その間にFAとなって移籍した。ボンズは、1992年のオフに、ピッツバーグ・パイレーツからサンフランシスコ・ジャイアンツへ移った。ボンズが手にした6年4375万ドル(1993~98年)の契約は、昨オフに大谷がドジャースと交わした10年7億ドル(2024~33年)の契約と同じように、当時の史上最高総額だった。FA直前の3シーズンにMVP→2位→MVP(と直後にMVP)も、彼らは共通する。

 連続受賞が2シーズンでストップした13人とも、その3シーズン目は、不調に陥ったわけではない。13人中11人は、MVP投票で票を得ている。得票がなかった2人、1962年のロジャー・マリスと1977年のジョー・モーガンも、OPSは.840と.895。マリスは、1961~63年に3シーズン続けて30本以上のホームランを打った。それぞれの本数は、39本、61本、33本。マリスのシーズン30本塁打以上は、この3度だけだ。モーガンは、1972~77年に6シーズン続けて出塁率.400以上を記録し、1972年を除く5シーズンは、二塁手としてゴールドグラブを受賞した。

 また、1944~46年のハル・ニューハウザー、1954~56年のヨギ・ベラ、2008~10年のアルバート・プーホルスは、MVP→MVP→2位だ。

 2010年のプーホルスは、同じ一塁手のジョーイ・ボトーに3シーズン連続受賞を阻まれる形となった。ボトーの打率.324と出塁率.424、37本塁打と113打点、16盗塁、OPS1.024に対し、プーホルスは打率.312と出塁率.414、42本塁打と118打点、14盗塁、OPS1.011を記録した。ボトーの受賞にケチをつける気はないが、「ザ・マシン」とも呼ばれたプーホルスのパフォーマンスに、投票者が「飽きた」あるいは「感覚が麻痺した」のかもしれない。2001年から2010年まで、プーホルスのOPSは.950を下回ったことがなかった。MVPの1位票は、ボトーが31、プーホルスは1ながら、シルバースラッガーとゴールドグラブは、どちらもプーホルスが受賞した。

 大谷が3シーズン続けてMVPに選ばれるどうかは、投手としてのパフォーマンスとスタッツが鍵を握るのではないだろうか。例えば、大谷とチームメイトだったウォーカー・ビューラー(現ボストン・レッドソックス)は、トミー・ジョン手術から復帰した2024年に、先発16登板の75.1イニングで防御率5.38を記録した。そうなるとは限らないが、こちらも復帰1年目となる2025年の大谷が同様の場合、MVPの選考に際してはマイナスに働く。

 なお、大谷のMVP3度は、史上2番目の多さだ。ボンズの7度に次ぎ、10人と並んでいる(「大谷翔平の「4シーズンにMVPを3度受賞」は何人目!? マイク・トラウトは6シーズンに3度」)。

 MVPと同じく、大谷が3シーズン連続にリーチをかけている本塁打王については、こちらで書いた。

「大谷翔平が今年もホームランを量産すると…。3年連続本塁打王は2001~03年のA-RODが最後」

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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