雨に厳重警戒 台風8号がお盆休みの東海・関東を直撃し、前線による大雨が続く東北へ
台風8号が東海・関東を直撃
日本の南海上にある台風8号が北上し、13日日中に東日本太平洋側にかなり接近し、上陸する見込みです(図1)。
台風に関する情報は最新のものをお使いください。
台風8号がお盆休みの東海・関東を直撃です。
つまり、東日本太平洋側を中心に、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、暴風や高波に警戒してください。
ただ、この台風8号は、教科書に載っているような典型的な台風ではありません。
台風の中心付近には、背の高い発達した積乱雲のかたまりはなく、背の高い発達した積乱雲の塊は、台風中心の南側の少し離れた所にあります。
暴風域を持つまで発達していない台風8号ですが、南海上から多量の水蒸気を持ち込んでいますので、8月12日19時20分に岡山県津山市付近で1時間に約100ミリの記録的短時間大雨が降るなど、台風から離れている中国・四国や愛知・静岡県、関東西部などで、局地的に猛烈な雨が降っています。
それも、台風8号の中心が接近する前の局地的な強い雨や、通過後の積乱雲の塊による大雨も含めて警戒が必要です。
気象庁では、8月12日17時1分に発表した気象情報の中で、「東海地方では、13日日中には、線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性があります」と、線状降水帯による大雨の可能性に言及しています。
線状降水帯の半日前予報
近年、線状降水帯による大雨によって毎年のように甚大な被害が引き起こされています。
この頻発する線状降水帯による被害軽減のため、気象庁では令和12年(2030年)までの10年計画で、早め早めの防災対応に直結する予測として「線状降水帯を含む集中豪雨の予測精度向上」に取り組んでいます。
しかし、被害軽減は喫緊の課題であることから、令和12年(2030年)まで待つことなく、完成した技術を用いた情報の発表を計画し、第一弾が、昨年、令和3年(2021年)6月17日より始まった「顕著な大雨に関する情報」です。
これは、線状の降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている状況を、「線状降水帯」というキーワードを使って解説する情報です。
そして第2弾が、今年、令和4年(2022年)6月1日から始まった「線状降水帯の半日前予報」で、早めの避難につなげるため、当面は「九州北部」など国内を11の地域に分けての発表です。
令和6年(2024年)には都道府県単位、令和11年(2029年)には市町村単位での発表が計画されていますが、現時点においては、まだまだ精度が低い情報です。
気象庁は、現時点の線状降水帯の半日前予報の精度は、予報があたるのは4回に1回程度で、しかも、3回に2回は線状降水帯を見逃す可能性がある精度の低い予報であると説明しています。
最初の線状降水帯の半日前予報は、7月15日の九州北部と九州南部に対するものです。
この時は、線状降水帯が発生しませんでしたが、3日後の7月18日に九州北部と九州南部に対して発表された2回目の予報では、線状降水帯が発生しています。
しかし、山形県や新潟県で大雨特別警報が発表された8月3日~4日の線状降水帯は、半日前の予報ができませんでした。
そして、今回、8月12日の静岡県に対する線状降水帯予報が3回目の発表です。
コンピュータが計算した雨量予測によると、8月13日20時には北西から南東に細長い強い雨域がありますので、北西から南東に延びる線状降水帯が発生するかもしれません(図2)。
気象庁では、水蒸気の観測を強化するなど、線状降水帯予報の精度向上に努めていますが、現時点ではまだまだ精度が低い予報です。
とはいえ、線状降水帯が発生して桁違いの大雨になるかどうかの予報については精度が低いというだけであり、線状降水帯が発生しなくても大雨になるという意味で解釈すれば、精度の高い予報です。
雨に厳重警戒が必要です。
東北地方の雨
台風8号は、東海から関東(多分、静岡県)に上陸した後、前線による大雨が続いている東北に向かいます(秋田県では、8月13日も1時30分に鹿角市北部付近で約100ミリという記録的短時間大雨が降っています)。
そして、大雨が降って大災害が発生しやすい、「前線と台風」という危険な組み合わせになります(図3)。
台風と前線による雨は、静岡県と岩手県では200ミリを超える大雨となる予想です(図4)。
青森県と秋田県は、これまでの大雨によって土の中の水分量が多くなっており、少しの雨でも土砂災害が発生しやすくなっています。
東北地方では、引き続き、大雨に対する厳重警戒が必要です。
図1、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図3の出典:気象庁ホームページ。