「ほろ酔い」の「ほろ」って何?日本語教師の雑学!意外と知らない「ほろ」の意味
お読みくださってありがとうございます!日本語教師の高橋亜理香です。
コマーシャルやコンビニでよく見かける、甘く飲みやすいあのお酒。「ほろよい」って聞いたことある人も多いですよね。あの商品は、酔いすぎずやさしい低アルコールという特性ゆえ、「ほろ酔い」から名づけられたものだと思います。ですが、「ほろ酔い」の「ほろ」ってどういう意味なのか気になったことありませんか?
日頃よく聞く、よく使う言葉には、実は使っていながら意味や由来を知らない言葉が多いもの。今回は「ほろ」をご紹介!雑学的なお話です。
「ほろ酔い」「ほろ苦い」…「ほろ」?
「ほろ酔い気分でうちへ帰る」とか「中学時代の初恋は、ほろ苦い思い出だ」のように使われている「ほろ」という言葉。実は「ほろ」には意味があって、「少し、なんとなく」その状態が感じられる、という意味で名詞や形容詞の前につける接頭語です。
辞書に掲載されている実例としては、実質「ほろ酔い」「ほろ苦い」の2つで、一般的にその他の言葉とはあまり共起しませんが、延享4年(1747年)11月初演の浄瑠璃『義経千本桜』には「なんとなくうまい」という意味で「ほろ旨い」という表現が使われているようです。また古くは今昔物語に、副詞として「ほろく(少し、いささかの意)」という言葉も見られるそう。
インターネットでの検索では「ほろ甘い」「ほろ濃い」などの使用例がいくつか見つかりますが、基本的には「ほろ酔い」「ほろ苦い」という2語にほぼ特定される使い方のようです。
似ている表現「ほの」
「ほろ」と似ている表現に「ほの暗い」などに使われる「ほの」があります。こちらも接頭語で「かすかに、わずかに」といった意味を表す言葉。漢字では「仄」と書きます。「仄かに」の「ほの」ということですね。
こちらも決まった言葉と共起するので、何にでもつながるというわけではなく、「ほの暗い」の他は「ほの知る」「ほの聞く」(かすかに、ちょっと知る/聞く)「ほのめかす」(わずかに示す、におわす)などに使用される程度です。
また「ほのぼの」も「かすかに」という同様の意味に由来し、現在よく使われる「ほのぼのとした雰囲気」などのような表現は「ほんのり心の暖かみや和やかさが感じられる」という意味です。
ふと気になる表現っていろいろある!
今回は、意外と気にしたことのない「ほろ」「ほの」という表現のご紹介でした。
ふと「この言葉の語源って何なんだろう…?」と思うときってありますよね。今後の記事でも「考えてみたら、あれってどういうことなの?」と思うような表現にフォーカスしたいと思います!
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