Yahoo!ニュース

20代では98.6%、70代でも65.5%が利用…年齢階層別インターネット利用率(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
高齢層でもインターネットを使いこなす人が増えている昨今(写真:アフロ)

日常生活への浸透、機能拡大による利便性の向上などの変化を受け、インターネットの利用層は、老若男女を問わず拡大中。その実情を総務省が2023年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値から確認する。

今回発表された最新版の「通信利用動向調査」によれば、2022年時点のインターネットの普及率(過去1年間にインターネットを一度でも利用したことがある人の率)は84.9%・利用者人口を概算すると1億168万人との値が出ている。

↑ インターネット利用者数および人口普及率(6歳以上の個人)
↑ インターネット利用者数および人口普及率(6歳以上の個人)

これを直近5年間分について、年齢階層別に確認したのが次のグラフ。「全体で8割台とはやや少なくないか?」との印象を持つ人もいるだろうが、年齢階層別で見ると13歳以上は60代前半まで、8割どころか9割超の利用率なのが確認できる。

↑ インターネット利用率(個人、年齢階層別)
↑ インターネット利用率(個人、年齢階層別)

6~12歳が8割台にとどまっているのは、まだ幼い状態の人も含まれ、またリスクを考えれば仕方がない。一方、50代以降では利用率は漸減していく。高齢層ほどインターネットの利用を避ける傾向にあることは、これまで数多くの調査でも明らかにされている通りで、今回の結果も納得がいく。

その理由までは今件調査結果だけでは特定できないが、経年による視聴覚の衰えの問題や、利用の際に覚えねばならないことが多く難儀させられる、さらには「新しい物事への挑戦」には何事も失敗がつきものだが、その失敗を恐れる(主に時間のロスの観点で)傾向が強いこと、そして昨今浸透しつつあるスマートフォンやタブレット型端末におけるタッチパネルは苦手(指先が乾燥気味で反応しにくい)などが考えられる。また現状の生活環境においてインターネットが要らない、メリットとデメリットを比較した場合に必要性を感じない人も多分にいるのも要因だろう。

ただしここ数年、高齢層の大きな伸びも確認されている(2019年分の大きな伸びは単に調査票の様式が異なっていた結果によるもの。公開資料でも「令和元年調査の調査票の設計が一部例年と異なっていたため、経年比較に関しては注意が必要」との但し書きがある)。高齢者に限定して対象期間を拡大したのが次のグラフ。2019年のイレギュラー値を考慮外としても、60歳以降は概して増加を見せている。

↑ インターネット利用率(個人、60歳以上、年齢階層別)
↑ インターネット利用率(個人、60歳以上、年齢階層別)

元々伸び代が大きいこともあるが、若年層に追いつけ追い越せとばかりの勢いが感じられる。

50代までと60代以降にやや大きな差異が生じるのは、50代までは業務としてインターネットの利用が求められる事例が多いからに他ならない。経年による身体機能の衰えで利用ができなくなる事例をのぞけば、それらの人達は定年退職を迎えても(60代を過ぎても)インターネットの利用に慣れているため、利用し続けるはず。高齢層の利用は環境の変化とインターネット「世代」の年齢の積み上げ、二つの要素で底上げされていく。

このままの勢いが続けば、この数年のうちに「インターネットは若者のツール。高齢層には関係のない話」といった、世間の一部で語られている、常識扱いされている言い回しも、過去のものとなりそうだ。すでに70代でも2/3近くが利用している以上、すでに過去のものと認識しても問題はなさそうではあるのだが。

■関連記事:

【パソコンやスマホを使わない高齢者の「なぜ」を探る】

【日本は「使い方が分からない」が最多で50.3%…情報機器を使わない高齢者の「なぜ」を探る(最新)】

※通信利用動向調査

2022年分は2022年8月末に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対し、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万5968世帯(3万9557人)、2428企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事