Yahoo!ニュース

ネットで話題に「犬の迷子札」で感動的な出来事が。こんなに献身的なワンコがいるのか?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

犬を飼っている人が、感動的な体験をしてそれをSNSで共有できる時代になりました。今日、ご紹介することは本当にあった話です(Twitterの投稿主のはぐれ&けやき@e_hagureさんの許可を得ています)。

はぐれさんが、愛犬の「けやき」ちゃん(愛称:けやんこ)と朝のお散歩をしていたときの出来事です。ことわざで「犬は人に付く」と言われていますが、まさにその通りだったようです。詳しく見ていきましょう。

散歩中に飼い主が倒れたとき、犬はどうする?

朝、はぐれさんが、散歩していると道で倒れている女性を見つけたそうです。駆け寄ると、女性は意識がなくリードを手から放した状態にもかかわらず、その女性の飼い犬らしき老犬は困ったように女性の傍から離れなかったそうです。

近くにいた男性が119番をして、はぐれさんが老犬の首に迷子札がついているのを見つけて電話をしました。あいにく留守番電話だったので、そのときの様子をメッセージで残しました。

救急車が来たので、はぐれさんはご家族と連絡が取れるまでこの老犬を預かろうと思っていました。けやきちゃんは、その間も初対面の老犬に対しても威嚇したりせず、おとなしく待っていたそうです。けやきちゃんは、はぐれさんが懸命にしていることを理解したのです。

救急救命士さんが「ずいぶん仲がいいのですね」と言ったぐらいですから。

女性が救急車に乗ろうとしたとき、留守電メッセージを聞いたご主人が自転車で登場。間一髪で救急車での搬送に間に合ったのでした。

上のTwitterではぐれさんは、ふたつのことを新たに認識されたことを書かれています。

「迷子札は犬のためだけじゃない、飼い主のためでもあるということ」

高齢者社会になり、朝は気温が低いので循環器系の病気が起こりやすいです。この老犬のように、飼い主の傍らにいてくれると家の連絡先がわかります。首に手をやるのを嫌がる犬の場合は、胴輪に迷子札をつけるのがいいかもしれません。

「けや(愛犬)の首輪には私の携帯番号がデカデカと刺繍してあるけど、これは私が倒れていた場合にはまったく意味がないということ」

一緒に散歩に行く飼い主の場合だと、もし倒れたときに連絡が付かないので、緊急連絡先や知り合いの連絡先などもいれておいた方がいいです。

救急車に乗る直前に女性は、意識が戻って、上記のように最初に発した言葉が「犬は...」だったそうです。老犬は大切にされていたので、片時も女性の傍を離れたくなかったのでしょう。

そんな貴重な体験をされたはぐれさんは、迷子札は、犬の身元確認だけではなく、このように一緒に散歩している飼い主がもしものときに身元確認にもなることをみなさんに伝えたかったそうです。

けやきちゃんは元保護犬で、はぐれさんに愛情深く育てられて2020年1月20日にお空に引っ越ししたそうです。Twitterでけやきちゃんの大切な体験をいまでも発信されています。

犬の身元確認の方法

写真:イメージマート

童謡ではないですが、飼い主からはぐれた犬に「あなたのお名前は?」と尋ねても答えてくれません。それで以下のような方法があります。

迷子札

上記のように迷子札をつけておくと、飼い主にもしものことがあった場合に役立つこともあります。

犬の鑑札

厚生労働省のサイト「犬の鑑札、注射済票について」に掲載されていますが、犬の飼い主には以下のことをする必要があります。

・ 現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること

・ 飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること

・ 犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着すること

上記が法律により義務付けられています。

飼い犬を登録する目的は、犬の所有者を明確にすることです。

生後91日以上で登録手続きがまだ済んでいない犬の飼い主の方は、お住まいの市区町村窓口へお問い合わせの上、登録手続きをしていただく必要があります。登録は1頭の犬につき、基本的に生涯1回ですが、引っ越しした場合等には移転先の市区町村窓口への届出が必要です。

マイクロチップ

2022年6月1日からブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫は、マイクロチップの装着が義務化されました。つまり、ブリーダーやペットショップなどで購入した犬や猫にはマイクロチップが装着されており、飼い主になる際には、飼い主の情報に変更する登録が必要です。

現在、飼われている犬のマイクロチップの装着は、飼い主の努力義務になっています。

写真:アフロ

上記の3種類で愛犬が飼い主からはぐれたときに、身元確認ができるようにしてあげてましょう。そして迷子札を人目につきやすいところにつけておくと飼い主も助けることもあります。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

石井万寿美の最近の記事