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スクワットを1日10回、3ヶ月やって、手に入れた3つのこと(しなやかさ、キレ、勢い)

水野雅浩/健康マネジメント健康マネジメント専門家

こんにちは、健康マネジメントスクール、水野雅浩です。

『ビジネスパーソンの健康マネジメント』を中心に本の執筆、企業、行政、大学などで講師をしています。特にアラフィフは、ストレスも増え、年齢差が大きくなるステージ。ぜひフォローして、「攻めの健康マネジメント」にお役立てください。

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■若者への嫉妬

「やせた? いや、それ以上ですよ」

半年ほど前のことである。久しぶりに20代、30代の部下と飲みに行った。仕事の話が一巡して、体力づくりの話になった。コロナ禍で太ってしまったため、仕事の帰りに市営の体育館のジムスペースでバーベルを持ち上げたり、懸垂をしたりといろいろやっているらしい。

「で、どうなの?やせたの?」

と聞くと「やせた。というか、いや、それ以上ですよ」と答えが返ってくる。

体が引き締まったことは、もちろんだが、何よりも、体力がついた。さらには、精力が高まった。という。アラフィフになり、体力の低下には、歯止めが効かないし、それは精力もいわんや、である。

私も、ジムに通うことにした。

■すぐに、挫折をする。・・・でも。

後日、部下と一緒に、オフィスから近い市営のジムに行く。福岡中央体育館だ。利用料260円というのが物価高騰の世知辛い世の中において、光を放っている。中に入ると、それ相応の筋トレ用の運動機器がずらりとならんでいる。こんな場所があったのか。

「周りは気にしなくていいですよ」と言われながらも周りには、アベンジャーズのような人たちばかりである。その体格差から、自分が、救助される側の人間であることを思い知らされる。部下も私の倍の重さのバーベルをこともなげに持ち上げている。年上への配慮もない。

「なんて、おじさんに優しくない環境なんだ。

・・・ここに、私の居場所はない」そう思った。

しかし、これでは、下り坂を転げ落ちるのみ。それは、何とかしたい。さらに、下心を言うのであれば、体力だけでなく、精力が復活するというのは諦めがたい。

どうすればいいのか。

■スクワットを1日10回のリフォーム戦略を選択

そこで、試行錯誤の末、「1日10回だけ」、スクワットをすることにした。

なぜ、スクワットなのか。

人体の6割の筋肉は下半身にあり、テコの原理で効率よく代謝をあげられるからだ。

なぜ、10回なのか?

「絶対に筋肉痛にならない回数」だからだ。これならば、翌朝の仕事にも響かない。

…ただ、10回という回数を前にして、もう一人の自分が、ささやく。「いくらなんでも少なすぎなくないか・・・?」さらに、追い打ちをかけるように、高校生時代の部活のコーチの言葉が、蘇る。「限界と思った時、そこからあと1回やることがお前を成長させるんだ」

昔はこうした言葉が心に刺さった。そしてモチベーションが湧き上がった。しかし、今は違う。すぐにもう一人の自分が、言い訳のスマッシュを切り返す。

「だって、俺、もう、50やし」

そうなのだ。アラフィフは、無理をしては行けないのだ。だって無理したら、体が壊れてしまうから。体が壊れたら、気持ちまで凹んでしまうから。一軒家と考えたら、様々な箇所がきしみ始めた古民家だ。無理をせず、しかし、少しずつ改修するリフォーム戦略を選択した。

■初日、風呂場で、己の分身と対話

スクワットは、風呂に入る前と決めた。

汗をかいても、さっと汗を流せるからだ。しかも場所は、風呂場と決めた。家族に見られて、やいのやいの言われるのが嫌だったからだ。(共感してくれるだろうか?)

風呂にある鏡に中年のたるんだ裸を映しながらスクワットをする姿ははたから見たら「地獄絵図」だ。しかし、風呂場という狭い区間にいるのは、己とその分身のみ。鏡の中の相棒と二人三脚で始めることとした。

実際にスクワットをやってみると、これがまたいい。たった10回でも、血流が巡り、とたんに体がポカポカしてくる。血流がブーストされているためか、風呂に浸かるとと、汗の出がまるで違う。

たった10回。されど10回。ゼロよりは、100倍よい。まずは、これを続けよう。

■1ヶ月目、己の分身にわずかな変化を見る

1ヶ月過ぎた頃、鏡の中の分身に変化がでてきた。

お腹周りに、うっすらくびれが見え始めた。たった10回、されど10回。代謝というエンジンが回り始め、下半身だけでなくたるんだお腹周りの脂肪も燃やし始めたに違いない。この頃になると、夜の10回は完全なルーティンとなり定着した。

振り返ると、1日10回を30日。すでに300回のスクワットをしたことになっている。昔『300(スリーハンドレッド)』という屈強な猛者共が戦い狂う映画があったが、私もその世界に足を踏み入れた気がした。

■2ヶ月目、「分散戦略」

2ヶ月目を迎えるにあたり「もうすこし、いけるな」という瞬間があった。下半身の筋肉の奥に確かな軸が芽生えつつあるのを感じだのだ。

私はプラス10回をすることにした。

タイミングは、朝。歯磨きをする時だ。

夜に、10+10の、20回のスクワットも一瞬、考えた。しかし、同時に、「筋肉痛になったら、やだな」という気持ちも芽生えた(私は、筋肉痛が嫌いなのだ)。

そこで、朝と夜に分散させる作戦にしたのだ。

これが、大正解だった。

朝から、下半身の大きな筋肉を動かすため、血液がギュンギュン巡り、全身がポカポカしてくる。当然、顔色も良くなるし、脳も冴える。日中の仕事中もずっと「いい調子」が続く。

たった10回のスクワットとは言え、朝に血流をめぐらせることが、ここまで日中にメリットがあるのかと驚いた。しかも、筋肉痛にはならない。分散戦略は、正しかった。

■3ヶ月目、「さらなる分散戦略」

「無理しない」が信条の私だが、振り返ると1ヶ月目で300回。2ヶ月目で600回。すでに合計900回のスクワットをしていることになる。

階段を上がる時に今までに感じたことがないような軽やかさがある。ふくらはぎと、太ももにバネが芽生えているような感覚だ。『鬼滅の刃』で善逸が足に神経を集中し、爆発させる技を繰り出していたがこんな感じなのだろうか、とふと思う。

3ヶ月目に入り、確実に体力が付き始めた私は、あと10回くわえることにした。

では、いつ加えるのか?

出した結論は、日中だ。

徹底的な、分散戦略だ。理由は簡単。私は、とことん、筋肉痛がきらいなのだ。

タイミングは、15時ごろ。誰にも見られないよう、空いている会議室を拝借して10回だけスクワットをする。私はいわゆるグローバルエリートでも、エグゼクティブでもなんでもない。しかし、スーツ姿でスクワットをする意識高い系の自分の姿に、「悪くない」。と、思わず笑みがこぼれてしまう(10回だけど)。

結局、朝10回、日中10回、夜10回。

1日30回。

一ヶ月で、900回を筋肉痛フリーで実現する習慣を手に入れた。

■手に入れたこと

3ヶ月のスクワット習慣が定着し、たしかに、体型も引き締まり、スリムになった。血流が増したためか、顔色も良くなった。飲み屋では「30代でも通用しますよ」と言われた(もちろん、これはお店の常套句であることは理解している。それでも、今だけは、ご褒美に気持ちよく掌で転がされたい)。

しかし私が手に入れたものはそれだけではなかった。それは自信だ。この自信を因数分解するのであれば、「しなやかさ」「キレ」「勢い」に集約される。一つ一つ説明したい。

1)しなやかなメンタル

まず、筋力がつくことで、しなやかなメンタルを手に入れた。

イッテQのイモトさんが、「筋トレいいところは、メンタルにいいところ」と言っていた。その理由が、ようやくわかった。仕事をしていたら、理不尽なこともあるし、性格がどうにも合わない人がいるし、失敗して凹むこともある。

今までは、凹んだら、戻るのに時間がかかったり、引きずる時間も長かった。しかし、体力がつくと、「そんなこともあるよねー」と、受けては流せるようになった。

暴風雨を合気道の達人のごとく受け流す柳のようなしなやかなメンタルだ。体幹が強くなることで、強いメンタルではなく、しなやかなメンタルを手に入れられるとは思わなかった。月に900回のスクワットをしているというのが自信になっているのだろう。

体力とメンタルは連動していることを実感する日々だ。

2)小便のキレ

小便にキレがでた。というかもどってきた。

何のこっちゃと思われるかもしれないが、実は、歳を重ねるごとに、尿のキレが悪くなっていた。昔は、ししおどしの如く、たまったものをカコーンだして、ピッと終わっていた。それが、年齢を重ねると締まりの悪い蛇口のように機能が衰えていったトイレで、小便をしていると、あとから入ってきた青年が早く終わることさえあった。

キレの悪さは、年齢相応と思っていたし、スクワットをすることでの期待値はゼロだった。しかし、スクワットをすることで、骨盤底筋群が蘇ったのだろう。小便のキレももどった。

今の私は、20代の若造にも負けていない。

3)精力

お恥ずかしいことだが、これは事実として、書きとどめておかなくてはならない。精力が蘇った。

陰茎の動脈は1~2mmほどしかないと言われる。脳の血管は直径5~7mm、心臓の冠動脈では3~4mm。かなり細い。当然、血流が悪くなれば、立つものも立たない。血流が上がったことが作用しているのかもしれない。また、大きな筋肉を動かすことで男性ホルモン・テストステロンが刺激されたのかもしれない。アラフィフおやじが、何に使うわけでもないがこれは自信の復活にほかならない。精力は勢力だ。勢いは衰えるよりあったほうがいいのだ。

■人生の後半戦を戦い抜くための、武器。それがスクワット

スクワットの研究を調べてみると、クリーブランド クリニック 機能医療センターで米国スポーツ医学会(ACSM)認定の運動生理学者ハイネ氏の興味深いコメントが見つかった。

「筋肉量は10年ごとに3〜5%減少。30歳を過ぎると、対策をしないと、筋肉量は10年ごとに3〜5%も減少する。筋肉減少は代謝に大きな影響を及ぼし、肥満や2型糖尿病のリスクを上昇る。実年齢が45歳でも、体力年齢が55歳であると、若死する危険性が上昇します。逆に、実年齢が65歳でも、体力年齢が50歳であれば、同年齢よりも長生きできる可能性が高まるのです」

さらに、スクワットは、体力づくりだけでなく、記憶力やうつ対策にもよいという。

私達ビジネスパーソンにとって「人生100年時代」は、「どのようにサバイバルしていくか」を考える時代となった。

75歳まで働くのが当たり前の時代、という人もいる。一方で、AIがすべてをやってくれるのだから、人間は労働から開放される、という人もいる。どちらにせよ自分の人生を充実させるには「体力」が必要だ。

体力をつける上で、さまざまなやり方があるが、1日10回の「スクワット分散戦略」は、はじめの一歩になるはずだ。筋肉痛にもならないため、持続可能な運動習慣といえる体に優しい運動習慣だからだ。

何もしなければ、あなたの勢いは衰えるばかり。

善は急げだ。

風呂場にいけば、鏡の中で己の分身が待っている。

さあ、初めの10回を、今夜からはじめよう。

健康マネジメントスクール

水野雅浩

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■プロフィール
健康マネジメントスクール 水野雅浩
https://healthylifepj.com/
1975年生まれ 福岡県在住 予防医学の専門家。健康経営アドバイザー。講師・作家。『グローバルで勝つ!太らない疲れない7つの習慣』はAmazon総合ランキング1位。香港の勤務時代に、食事・睡眠・運動・ストレスケア・サプリメントに気を使い仕事のパフォーマンスを上げるビジネスパーソンを目の当たりにして、日本のメタボサラリーマンとの差に愕然とする。その後、某大手外資系企業のサプリメント商品開発責任者として10年歴任。しかし、サプリメント以前に、日本では健康習慣の基礎の啓蒙が必要と痛感。健康マネジメントの専門家として、企業・大学・行政で講師として啓蒙に力を入れている。

■講演実績
【企業】富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、アクサ生命保険株式会社、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、コカ・コーラボトリング株式会社、大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、Huawei Technologies Co., Ltd.北日本銀行、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、とりねつ株式会社、ソルネット経営コンサルティング、税理士法人中央総合会計事務所、北斗工業エンジニアリング、一般社団法人日本パーソナルブランド協会、株式会社ホーマス・キリンヤ【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合 【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県など 【大学】台湾大学 【塾】公文など多数

■保有資格
日本成人予防協会一級健康管理指導員(認定番号H35366)/健康経営アドバイザー 認定番号3000092)東京商工会議所/健康マスター検定エキスパート・普及認定講師 認定番号E1400471/健康美容情報認定協議会 健康美容アドバイザー認定講師/日本ダイエット協会 ダイエットプロフェッショナルアドバイザー/JADP認定 生活習慣病予防アドバイザー/サプリメントアドバイザー(認定番号H35366)/米国NLPコーチング研究所 NLPプロフェッショナルコーチ

健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール代表。作家・講師。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。『グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣』はアマゾン総合1位。企業・行政・大学で「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」、学習塾で「子供の成績を上げる食事・睡眠習慣」をテーマに講師。著書に『親子で作る健康習慣「本番力」で受験に勝つ』がある。中央大学法学部卒業後、介護サービスに携わり10年間、人の老化と向き合う。その後の香港勤務では海外のビジネスパーソンらが実践する健康投資を目の当たりにする。日本に帰国後、12年、外資系ヘルスケア企業で商品開発の責任者を担う。1975年生まれ。福岡在住。

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