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ストレス解消・睡眠・血糖値。「夕食後ウォーキング」をアラフィフのビジネスパーソンに勧める3つの理由。

水野雅浩/健康マネジメント健康マネジメント専門家

先日、某自動車メーカーで社員に、健康マネジメントセミナーをしていたときのこと。「運動習慣をつけたいのですが、何から始めればよいでしょうか」というご質問を頂きました。

私の答えは、夕食後ウォーキング一択です(笑)。

ウォーキングは、朝、昼、夜と、それぞれ意味があるのですが、今回は、特に取り入れやすく、アラフィフのビジネスパーソンにオススメしたい、夕食後のウォーキングについてご紹介します。

■なぜ、アラフィフのビジネスパーソンにオススメなのか

健康の側面から見ると、50代というのは大きな転換期です。

これまでの不摂生のツケが本格的に体に現れ始める年代でもあります。仕事でもプライベートでもストレスの量が増える年代でもあります。さらに全年代でも睡眠時間がもっとも短くなるのが50代。加齢とともに筋力が低下してくるため、五十肩、腰痛など、体の衰えを実感する人も多くなりますが、疲労回復の速度も落ちていきます。命取りにもなりかねない心筋梗塞や脳卒中も、50代から急増します。老化を止めることはできませんが、日々の健康習慣で、老化のスピードを緩やかにすることができます。その一歩目が、夕食後ウォーキングなのです。

■夕食後ウォーキングは「開始」と「継続」のハードルが低い

夕食後ウォーキングの良いところは、始めやすく、続けやすいこと。

私も当初は、ランニングをしようと意気込んでいたのですが、ランニングウェアに着替えるのが面倒。しかも、食後だとどうにもカラダが重たくなるし、少しスピードを出すと、横腹が痛くなる(笑)。朝は何かと気忙しいけど、夕食後のウォーキングなら時間もあるし、普段着でも問題ない。とにかく始めやすいのです。

また、継続しやすいこともポイント。サクサクと歩くだけなので、出張先でも街を楽しみながら実践できますし、飲み会の後でも多少お酒が入っていてもよい酔冷ましになります(笑)。

運動習慣は、誰しもが欲しいものですが、三日坊主になって、自尊心を傷つけることは得策ではありません。ランニング習慣を作りたいのであれば、その手前のハードルが低いウォーキング習慣からはじめることがイントロになるかも知れません。

■夕食後ウォーキングのメリット3選

では、実際に、夕食後ウォーキングのメリットをエビデンスと私の体験や、実践しているビジネスパーソンの感想なども交えながらご紹介しましょう。

(1)1日のストレスが洗い流される

アラフィフになると、仕事の責任も量も質も、若手のときとはステージが異なります。しかし、それに耐えるフィジカルやメンタルは、老化の一途をたどっていきます。だからこそ、年代に合わせて積極的にストレスケアをしていく必要があります。

そこで、夕食後ウォーキング。始めてすぐに分かることは、日中のストレスが見事にリセットできること。日中のストレスが夜風に流されていくようです。

アイルランドのリムリック大学とトリニティ カレッジの研究では、少し速歩きのウォーキングを、1日にわずか20分だけでもうつ病やうつ症状のリスクを減少できることを報告しています。

アラバマ大学作業療法学部のホン ユェン教授らの研究では、公園などをウォーキングすることで、60%の人の健康状態のスコアが上昇し、「主観的幸福度」が向上することを報告しています。

私も週に3~5回は夕食後にウォーキングをする中で、極力、公園、街路樹、川沿いなど自然があるところを意識して歩くようにしています。日頃、パソコンと向かい合って仕事をしていることが多いため、五感で自然を感じることでさらにストレスがリリースされていくようです。

(2)爆睡できるようになった

私もまさにアラフィフという年齢のためか、ストレスが重なったためか一時、不眠症状に悩まされました。寝室に行っても眠れず、一旦眠っても途中で起きてしまう。うつらうつらしていると、朝が来てしまう、という具合です。

しかし、夕食後ウォーキングをすることで、スムーズに眠ることができ、朝まで一回も起きず、まさに質の良い睡眠を取ることができるようになったのです。

睡眠にはストレスを軽減する効果があると言われます。しかし、そもそも寝付けなかったら、寝れないのです。夕食後ウォーキングで事前にストレス解消をしていたことも大きいのでしょう。

米国睡眠財団(National Sleep Foundation)の調査では、平日の夜間に「よく眠れている」と答えた人の割合は、運動習慣のある人では運動の内容に関わらず56~67%に上ったが、運動習慣のない人では39%にとどまったと報告しています。

運動習慣は激しいものでなくても大丈夫。もしあなたが睡眠不足に悩まされているのであれば、夕食後のウォーキングを取り入れてみてください。

(3)血糖値が良好に

食後の血糖値は、過剰になると中性脂肪に変わり肥満体型につながります。そして、それをほうっておくと、悪玉コレステロールになります。アラフィフになるおと動脈硬化も進行して心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まるため、血糖値のコントロールは非常に重要になります。

そこで、オススメなのが、夕食後ウォーキング。

食後の血糖値がウォーキングで消化されることもあり、体全体がスリムになることを実感できるはず。さらに、アイルランドのリムリック大学体育・スポーツ科学部のエイダン バフィー氏の研究では、食後にわずか2~5分間、軽いウォーキングをするだけでも、座ったまま過ごすのに比べ、良好な血糖管理につながり、2型糖尿病のリスクのある人は、食後に軽く歩くだけでも、糖尿病リスクを減らすのに役立つという研究を報告しています。

■最後に

ビジネスの世界では、常に高いパフォーマンスを発揮することが求められます。しかし、そのためには健康な体と心が欠かせません。健康な習慣を身につけることは、単なる健康維持だけでなく、仕事の成果にも直結することが科学的に証明されています。

健康マネジメントの中でも、最も習慣化するのが難しいのが運動習慣です。夕食後のウォーキングは、始めるハードル、継続のハードルが低く、体感としてもストレス解消、質の高い睡眠と高い体感を感じることができるため、はじめの一歩としてはうってつけだと思います。

運動を始めるのによい良い季節になってきました。夕食後のウォーキングで、心地よい5月の夜風を感じてみてください。きっと一生物の健康習慣になるはずです。

健康マネジメントスクール

水野雅浩

健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール代表。作家・講師。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。『グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣』はアマゾン総合1位。企業・行政・大学で「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」、学習塾で「子供の成績を上げる食事・睡眠習慣」をテーマに講師。著書に『親子で作る健康習慣「本番力」で受験に勝つ』がある。中央大学法学部卒業後、介護サービスに携わり10年間、人の老化と向き合う。その後の香港勤務では海外のビジネスパーソンらが実践する健康投資を目の当たりにする。日本に帰国後、12年、外資系ヘルスケア企業で商品開発の責任者を担う。1975年生まれ。福岡在住。

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