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こじ開けられなかった分厚い壁。ヤングなでしこの前に立ちはだかった「世界」とはーー(3)

松原渓スポーツジャーナリスト
日本はフランスを相手陣内に押し込んだ(C)松原渓

U-20女子ワールドカップ準決勝で、ヤングなでしこはフランスに延長戦の末、1−2と敗戦。

日本はメダルを賭けて、12月3日(日)にU-20アメリカ女子代表と3位決定戦を戦う。試合は16:00(日本時間15:00)キックオフ。

こじ開けられなかった分厚い壁。ヤングなでしこの前に立ちはだかった「世界」とはーー(1)(2)

【監督・選手コメント(U-20フランス代表戦後)】

高倉麻子監督(試合翌日)

ーー昨日の試合から一夜明けて、あらためて試合を振り返っていかがですか?

強い思いで世界一を狙ってきたので、選手たちはショックを受けていると思いますけれど、まだ試合は終わっていないですし、なんとしてもメダルを取って帰るという気持ちに早く切り替えようと伝えました。次へのスタートという意味でも、気持ちの切り替えがすごく大事だと感じています。練習では、悔しい気持ちを隠してやってくれていると思います。全員で連動していくサッカーは、比較的表現できたと思います。ペナルティボックス付近での弱さは分かっていたことではありますけど、いい体勢でシュートを打たせてもらえなかったり、ボールを持たされて、シュートが枠に飛びませんでした。相手のフィジカルを超えるテクニックやコンビネーションも足りなかったと思います。何人かの選手はトライしていましたが、フィジカルを強くすることも必要ですが、それだけでは勝てないので、どこかで変化をつけるという巧さが必要です。そのためにも、逆を取るというひらめきとか、そういう感覚をもっと育てていかないといけません。究極のところで逆を取るプレーがもっと生まれてくれば、点は入ったのではないかと思います。

ーー相手のディフェンスは、想像以上のものだったのでしょうか?

自分たちの攻撃力が足りませんでした。1対1のところで、潰しにくるということはわかっていたんですけれど、そこの1枚をはがせなかったですね。タイミングで外しても、そのあとに追いつかれたり、体を寄せられてしまいます。男の子と試合をしてもらって、体感してきていたつもりではありますけど、最後に体でくるという部分では違いもあります。今はそれが体にしみていると思うんですけれど、やっぱり日ごろが大事だと思うので、(国内リーグが)もっとフィジカル的にもタフなリーグになっていかなきゃいけないと思いますし、最後の1歩を出すというところでは、もっとパワーを出せるようになっていかないと、厳しいと強く感じました。

ーースペイン戦の敗戦と、フランス戦の敗戦の違いは何でしょうか?

スペイン戦は崩された感じはなかったのですが、相手の圧力に負けて、自分たちでゲームを壊してしまいました。修正して自分たちのサッカーはできるようになったんですけれども、昨日は結果的に力負けしてしまいました。もちろん通用した部分もありますけれど、結果的に、クロスからの失点という形で、日本が一番ウィークとするところを突かれてしまいました。流れが悪かったのはあの一瞬の時間帯だけだったと思いますし、それまでは選手達が相手のスピードを抑えてよくやってくれたと思います。交代も含めて、勝利を日本に引き寄せられなかった力不足を強く感じています。みんなでもう一回立ち上がって、必ず3位を取って帰りたいと思います。

DF 乗松瑠華(試合後)

ーー今日の試合を振り返っていただけますか?

前半は相手にボールを持たせるところもありましたが、耐えるところは耐えて、後半は自分たちが支配できていました。でも、バイタルエリアから(ゴール前への)の侵入であったり、そこでアクセントをつけるような動きだしなど、そういう連携がなかなか生まれてきませんでした。監督に、日本がワールドカップで負けた時はほとんどクロスだったと言われていましたが、結果的にクロスでやられてしまったことが悔しいです。

ーー日本らしいサッカーが見せられた手応えはありますか?

日本らしいサッカーは、ただボールをポゼッションすることではなくて、ボールを支配する中でゴールを決めて勝つことです。そういう意味では表現できているところもありましたけれど、今後はそこをもっと追求していきたいと思います。

ーー3位決定戦に向けて、どのような意気込みですか?

世界一ということを目標にやってきて、その分、悔しさも大きいですが、本当にいろんな方が応援してくださっているので、手ぶらで帰るわけにはいきません。絶対にメダルを持って帰ります。最後は笑顔で終えられるようにしたいと思います。

MF 長谷川唯(試合後)

ーーまずは結果について、どう感じていますか?

前半の自分たちのいい流れで、攻めている時に点が取れなかったことで、苦しいゲームになってしまいました。個人的にはチャンスメイクはできたんですけれど、もっとシュートを打っていかなければいけなかったと思いますし、『自分が決める』という気持ちを多くの選手が持たないと、こういう舞台では勝てないのかなと思います。

ーー失点してからは、どのような気持ちで戦っていたのですか?

最後まで、どんな状況でも諦めないで戦おうというのが、この大会に入る前に、みんなで決めたチームの決意でした。2点ビハインドの状況でも、最後の笛が鳴るまでやろうと思っていました。

ーーグループリーグから1試合ごとに成長してきた部分を、この試合では出せましたか?

相手に対応したサッカーがこの試合はできたと思います。フランスのキーマンである7番や3番の選手は、自分と(北川)ひかるで、しっかり耐えながら守れていたんですけれど、失点のシーンは、こちらのサイドを崩されてしまいました。そこはもっと修正しなければいけないですし、次のアメリカ戦に生かしていきたいと思います。

ーー3位決定戦は、どのような目標で臨みますか?

世界一はなくなってしまったんですけれど、メダルを持って帰るのと持って帰らないのとでは全然違うので、しっかりここで切り替えて、3位を目指して頑張っていきたいと思います。

(4)【選手コメント(U-20フランス代表戦後)】に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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