新型コロナウイルス渦中 東京都内のスイミングキッズスクール営業状況
感染の機会をなくすことと、運動の効果を得ることとの間で葛藤しているスイミングスクール。新型コロナウイルスが発生した以降も衛生管理を徹底して、これまで目立った事故を起こすことなく営業を続けています。ここのところ、新型コロナウイルス感染で全国の中でも緊迫した状況にある東京都。都内のスイミングスクールの、特にキッズ(子供向け)スクールに焦点を当てて営業状況を調査しました。
4月9日最新情報はこちら→ 緊急事態宣言発出下 スイミングキッズスクールや長水路の動きはどうなるか
東京都内のスイミングキッズスクール営業状況
東京都内のスイミングキッズスクールの営業状況を調査しました。地元密着型の有名スイミングスクール62施設を対象にして、調査方法は4月6日現在の各施設のホームページを確認し、そこに記載されている内容を忠実に拾い上げ、まとめました。
4月6日現在営業中であるか、休止中であるかで分けますと、図1のようになっています。全体62施設のうち、営業中が46施設で74%、休業中が16施設で26%となり、割合はおおよそ3対1となります。
営業中でも、土日は臨時休業する施設が4箇所あり、このところ続いた土日の外出自粛要請に合わせています。一方、休業中の施設の多くは次のようにめどとなる休業終了日を示しています。
4月12日まで 1箇所
4月16日まで 1箇所
4月30日まで 5箇所
5月 6日まで 6箇所
当面の間 3箇所
このように、都内のスイミングスクールで対応が分かれる理由は次のように考えられます。「営業の中止は、集うお客様の感染機会を減らすメリットが期待できる一方で、 長期に亙る運動不足が免疫低下というデメリットをもたらすことも明らかです。」(都内スイミングスクール ホームページより)のように、基本的には葛藤があります。そして、感染の機会と運動の効果の双方を考えた時、施設によっては自治体の示す外出自粛要請に重点を置くか、あるいは水泳プール(遊泳場)の衛生管理が徹底されているという事実をどの程度ここに加味するかで温度差が出てくるようです。
【参考】新コロナ感染拡大スピード抑制下 水泳プール開館/休館の差と課題
前者の場合には、地元の学校の休校期間に合わせて、子供が極力外出しないように協力する姿勢で、後者の場合には、運動不足を考える親子が一定数いて、営業を希望している事実があります。土日だけ臨時休業する施設は、まさにその折衷をとる道を探り当てたということになります。
国の緊急事態宣言の発出後はどうなるか
現在、全体としては、営業している施設が大半であるものの、政府や地方自治体からの何らかの要請があった場合には対応するようです。
例えば、「緊急事態宣言、都市封鎖(ロックダウン)の要請があった場合については、臨時休業する」(都内スイミングスクール ホームページより)と明確にしている施設から、「今後の行政の要請や社会情勢により対応を変更させていただく」(都内スイミングスクール ホームページより)と社会情勢まで範囲を広げている施設まで様々です。
あるスイミングスクールの施設管理者によれば、「緊急事態宣言が発出されれば、感染の機会と運動の効果の双方のうち、前者に対する対応が優先される、と流れが変わる」と明言しています。また別の施設管理者によれば、発出がないにしても「施設の職員に衛生管理や顧客対応で精神的な負担が見られ、長期間にわたって現場を保つことができるか、といった心配もある」と言います。
親子の希望があるうちは
各スイミングスクールでは、「体づくり・健康づくりのためにスイミングスクールに通いたい」と希望がある限りは「ギリギリまで対応したい」というところで一致しています。衛生管理はもちろんのこと、3つの密(「密を避けて外出しましょう」)を作らないようにする工夫も行っていますし、対応策については各施設のホームページで明示されています。
そして、ぜひ来場者にも次のことを実行していただいて「体づくり・健康づくりの機会を継続して作りたい」(スイミングスクール施設管理者)とのことでした。
★スクールに来るまで
検温を実施し概ね37.5度以上ある場合やその他咳、鼻水等の風邪の様な症状がある場合やその他体調に異変のある場合は欠席する。出来る限りマスクを着用する。来る途中に必要以上に余計な物を触らない。他の人との接触を避ける。
★スクールに着いたら
アルコール等の消毒を行う。持ってきたマスクは清潔な袋に保管しておく。少しでも体調が悪くなったら直ぐにコーチに伝える。
★観覧の保護者には
子供と同じ内容に加えて、保護者同士の大声での不必要な会話をしない。ある程度の距離を保つ。不必要な接触は行わない。
★家に着いたら
直ぐに、うがい、手洗い、洗顔する。
さいごに
国の緊急事態宣言の発出が行われることになれば、東京都は「都民の皆様に対して、特別措置法に基づいて外出の自粛を要請するとともに、施設、そしてイベントの主催者に対しては、使用の制限、停止などを要請することになります」としています。
発出後はそれに従い休業するスイミングスクールが増えると考えられますが、それまでは感染防止に最大限の配慮を行い、子供たちの体づくり・健康づくりに貢献してほしいと思います。
【参考】 東京都の動き
東京都の小池百合子都知事は、仮に緊急事態宣言が国から出された場合の東京都における緊急事態宣言への対応について、次のように述べました。「国が、緊急事態宣言を行った場合ですが、都民、それから事業者の皆様が適切に事前の準備を行えますように、速やかに実施を予定しております緊急事態措置の概要案などについて公表するということであります。具体的には、都民の皆様に対して、特別措置法に基づいて外出の自粛を要請するとともに、施設、そしてイベントの主催者に対しては、使用の制限、停止などを要請することになります。」