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娑婆に戻ったWBAチャンピオン

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 7月14日、WBAライト級チャンピオンのジャーボンテイ・デービス(28)が、故郷ボルチモアの拘置所から釈放された。デービスは自宅謹慎に違反したことで、44日間を拘置所で過ごさねばならなかった。

 彼は2020年11月に発生した、妊婦を含む4人が負傷した轢き逃げ事件に関する4つの罪を認め、トレーナーであるカルヴィン・フォードの自宅で90日間の勾留を言い渡された。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20230510-00348565

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 しかし、それを守らずに高級ホテルに泊まり、新居へ引っ越すなど傍若無人な振る舞いを続けていた為、新たな裁判にかけられたのだ。今回、裁判を担当したボルチモア巡回裁判所のアルテア・ハンディ判事は、デービスのいかなる移動も許可せず、残りの刑期を拘置所で服役するよう命じた。故にチャンピオンは44日間、収監されたのである。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 デービスは溢れんばかりの才能に恵まれた一級品のファイターだ。4月末にCBSが発表したパウンド・フォー・パウンド・ランキングで8位、ESPNはランク外と、さほど評価されていない部分もあるが、筆者は5本の指に入ってもおかしくないと感じている。

 29戦全勝27KOのレコードのうち、デービスが経験した世界タイトルマッチは12。3階級制覇も成し遂げている。4月22日のライアン・ガルシアとの無敗対決にも圧勝した。

 が、一方で、こうしたトラブルを繰り返すキャラクターでもある。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 今週末、29日の統一ウエルター級タイトルマッチに出場するWBA/WBC/IBFウエルター級チャンピオン、エロール・スペンス・ジュニアと、WBO同級王者、テレンス・クロフォードの両雄、あるいは井上尚弥に勝るとも劣らない素材なだけに、安直な行動で自身のボクシング生命を潰さないでほしい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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