西八王子が2023年の大賞。「本当に住みやすい街」でマイホーム購入の狙い目駅がわかる
12月15日、住宅ローン専門金融機関「ARUHI(アルヒ)」が主催する「本当に住みやすい街大賞2023」が発表された。
「本当に住みやすい街大賞」は、全国の地域で表彰を行っているが、今回首都圏で大賞に輝いた街は「西八王子(駅周辺)」だった。1位から10位は次の通りだ。
1位 西八王子(JR中央線)
2位 流山おおたかの森(つくばエクスプレス)
3位 新小岩(JR総武線)
4位 保谷(西武池袋線)
5位 辻堂(JR東海道線)
6位 柏(JR常磐線)
7位 新川崎(JR横須賀線)
8位 川越(東武東上線)
9位 東村山(西武新宿線)
10位 鶴ヶ峰(相模鉄道本線)
1位から10位には、横浜や吉祥寺、自由が丘といったメジャーな街は入っていない。知名度が高いのは、3位新小岩、6位柏、7位新川崎くらいか。5位の辻堂は近年知名度を上げており、昨年の「本当に住みやすい街大賞」に輝いた街でもある。が、今回は5位となった。
このように、知名度の低い街が多く選ばれたり、昨年の大賞が今年5位に下がってしまったりするのが、同賞の特徴。なぜ、そんなことが起きるのか。また、だからこそマイホーム購入で活用できると思われる理由を同賞の審査委員長を務めさせていただいている私から説明したい。
よく知らない街が大賞に選ばれる理由は
「本当に住みやすい街大賞」は、街の人気投票ではない。あくまでも「住みやすい」=「多くの人にとって快適で、家を買ったり、借りやすい街」を探す賞である。
そこで、最初に行うのは「マイホームを買っている人が多い場所」を探すこと。具体的には、住宅ローン専門金融機関「ARUHI(アルヒ)」のデータから、直近1年間でフラット35(35年固定金利の住宅ローン)の利用者が多い街を選び出す作業を行っている。
住宅ローンを利用した人が多い場所、つまり、マイホームを購入した人が多い場所を探し出し、それぞれの街を安全性や発展性、コストパフォーマンスなど5つの視点で採点し、ランキングしたのが「本当に住みやすい街大賞」だ。
たくさんの人がフラット35を利用してマイホームを買った街だから、住宅価格が高い都心部の街はランクインしない。
どうしても住宅価格が抑えられる郊外の街が多くなる。現実的にマイホームを買いやすい街のランキングになっているわけだ。
前回大賞の辻堂が5位になった理由
「本当に住みやすい街大賞」はローン利用者数だけで順位づけをおこなっているわけではないのだが、ローン利用者の数が順位決定の大きな要因になっているのは事実。そのため、街によっては1年間で大きく順位を落としたり、数年前に大賞となった街が、ランク外になったりする。
街の住みやすさや安全性に大きな変化はないのに、住宅の価格が上がって購入者が減れば、住宅ローンの利用者も減る。その結果、順位が下がりやすいわけだ。
過去、「本当に住みやすい街大賞」に輝いた南阿佐谷、赤羽、川口は、今回のランキングに入っていない。前回、大賞に輝いた辻堂も、直近1年間で住宅ローンの利用者数が減ったことが響き、5位になった。
以上の特徴から、「本当に住みやすい街大賞」は、おもしろい使い方があることが分かる。
それは、今まさに旬な街を探す手段として活用すること。現状価格が手頃で、多くの人がマイホームを買っている街はどこか……それを知る手段として活用できるわけだ。
今回、大賞となった西八王子は、八王子の隣駅で、八王子駅周辺より住宅価格が抑えられている。新築マンション3LDKが4000万円前後で購入可能なので、まさに「本当に住みやすい」。2位の流山おおたかの森、4位の保谷、9位東村山、10位の鶴ヶ峰も価格の手頃さと今後の発展性でチェックしておきたい街となる。
大賞に選ばれた街も喜ぶ賞
首都圏だけでなく、日本各地で実施される「本当に住みやすい街大賞」では、選ばれた街にトロフィーが授与される。トロフィーは、市や区の代表者を招待して渡されるのだが、受賞に際し、パフォーマンスが披露されたり、ご当地キャラが登壇することもある。
そして、大賞に選ばれた街では、横断幕を掲げたり、シールを作成して商店街に貼って受賞を祝う。地元で喜ばれる賞になっているのも、同賞の特徴になっている。
「本当に住みやすい街大賞」が街の活性化やマイホーム探しに役立つなら、選ぶ側としてもうれしいかぎりである。