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下位限定!J1残留争いの”救世主”イレブン

河治良幸スポーツジャーナリスト
渡邉りょう(筆者撮影)

J1も終盤戦、残留争いも佳境になってきています。金曜マッチでは川崎フロンターレがホームでアルビレックス新潟に勝利し、勝ち点を40に。まさかの低迷にACLエリートとの過密日程が重なり、残留争いに巻き込まれていましたが、勝ち点40ー42を目安とするなら、7試合を残して、ほぼ安全圏に到達したと言えるでしょう。

その川崎に敗れた新潟は勝ち点39ですが、残り6試合ということで、次節の鹿島戦で勝ち点3をとって、すっきりとルヴァン杯・準決勝での川崎とのホーム&アウェーに臨みたいところでしょう。同じく勝ち点39のアビスパ福岡は10試合、勝利がなく、もしこのペースが最終節まで続いてしまうようだと、まさかの展開もあり得る状況です。それでも残留争いの渦中にあるとは言い難く、今回の残留争いの”救世主”というテーマからは外したいと思います。

15位の京都サンガに関しては勝ち点37で、8試合を残しており、しかも新外国人FWラファエル・エリアスの爆発的な活躍で、後半戦は首位のサンフレッチェ広島にも匹敵するペースで勝ち点を積み上げていることを考えると、ここから最後まで残留争いに巻き込まれるケースは想定しにくいのが正直なところです。可能性という意味ではまだまだ予断を許しませんが、今回は外しています。

そういうわけで勝ち点34で現在16位の柏レイソル、17位の湘南ベルマーレ、18位のジュビロ磐田、19位の北海道コンサドーレ札幌、20位のサガン鳥栖から”救世主”になりうる11人をピックアップしました。

GKは児玉潤(北海道コンサドーレ札幌)でしょう。前節のFC町田ゼルビア戦で、ベテランGKの菅野孝憲が後半42分に負傷。代わりにピッチに立った175cmのGKが、町田の迫力あるアタッカー陣に立ちはだかりました。

ビルドアップの能力に優れ、カバーリングにも定評のあるGKですが、体格を補ってあまりあるステップワークと機敏な動作でゴールマウスをカバーする勇姿は感動的です。ただ、サイズが話題になるのはJ1のデビュー戦で十分でしょう。ホームの京都戦ではスタメン出場が予想される中で、チームの勝利を支えることができるか。

ディフェンスラインはパリ五輪を経験して、さらなる存在感あるプレーが期待される関根大輝(柏レイソル)、夏の加入から早期にフィットし、抜群の対人能力を発揮しているハッサン・ヒル(ジュビロ磐田)、そして質でも量でも対面の相手を圧倒しているパク・ミンギュ(北海道コンサドーレ札幌)を揃えました。

ハッサン・ヒルに関しては前節の福岡戦で頭部を負傷し、額側面の裂傷を縫合する怪我を負いましたが、週明けからのトレーニングには参加しており、横内昭展監督を安堵させています。アウェー名古屋グランパス戦の出場は不透明ですが、課題の前半で失点を抑える意味でも、重要な役割を果たしそうです。

中盤は鳥栖の木谷公亮新監督が採用する3ー1ー4ー2で、攻撃の起点として、守備の生命線として重責を担う西矢健人(サガン鳥栖)をアンカーに配置。インサイドハーフは池田昌生の負傷離脱で、”恩師”山口智監督に再びインサイドでの仕事を託された小野瀬康介(湘南ベルマーレ)、そして”古巣”にカムバックしてきた左利きの手塚康平(柏レイソル)を並べました。

両翼は左が雌伏の時を経て、スタメン抜擢に応える奮闘が目立つ高畑奎汰(ジュビロ磐田)、夏の加入で既に2得点と攻撃を引っ張る久保藤次郎(サガン鳥栖)という組み合わせに。高畑は左足のキックを武器としていますが、インサイドでチャンスに関わるプレーも得意としています。久保は独特のドリブルで局面を打開できるだけでなく、ゴール前で大きな仕事もできます。

前線は阿部浩之(湘南ベルマーレ)と渡邉りょう(ジュビロ磐田)の2トップになりました。阿部は熟練したアタッカーで、高度なテクニックに加えて機を見極めた決定的なプレーが光ります。セットプレーのキッカーとしても相手にとって非常に危険な存在でしょう。本来は2列目の選手ですが、1.25列目のようなポジションでアクセント役になりながら、抜け目なくゴールを狙う姿が目を引きます。

渡邉は夏にセレッソ大阪から期限付き移籍で磐田にやってきましたが、精力的な守備と動き出しなど、勝利にかける気持ちが伝わるプレーなどで、すでにファンサポーターのハードを掴んでいる様子です。ただ、やはりストライカーとして期待されるのは結果で、加入後1得点1アシストという数字には満足していないでしょう。エースストライカーのジャーメイン良とのコンビで、ここからチームを勝利に導く得点を重ねていけるかが、残留にも大きく繋がりそうです。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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