筆者独自の視点で選ぶJ2アワード2024
J2は全日程を終えて、清水エスパルス、横浜FCがJ1に自動昇格、そしてファジアーノ岡山がプレーオフの激戦を制して、クラブ史上初となるJ1昇格を掴みました。19日には「2024 J2リーグアウォーズ」の表彰が行われますが、ここでは筆者の視点で独自に「J2アワード2024」を選びます。
(選者:河治良幸)
J2ベスト11
市川暉記(横浜FC)
住吉ジェラニレショーン(清水エスパルス)
田上大地(ファジアーノ岡山)
福森晃斗(横浜FC)
中島元彦(ベガルタ仙台)
新保海鈴(レノファ山口)
ユーリ・ララ(横浜FC)
宮本航汰(清水エスパルス)
乾貴士(清水エスパルス)
マテウス・ジェズス(V・ファーレン長崎)
小森飛絢(ジェフ千葉)
多くの選手は「2024 J2リーグアウォーズ」の優秀選手と重なるが、岡山のディフェンスを統率してJ1昇格を支えた田上、まさしく清水の心臓として”タレント集団”をオーガナイズした宮本は独自性のある選考となった。
GKは権田修一(清水エスパルス)、スベンド・ブローダーセン(ファジアーノ岡山)など近年でも稀に見るハイレベルな競争だったが、新守護神としてリーグ最少失点の横浜を引き締めた市川を評価した。
ディフェンスラインは上記の田上に加えて清水の防波堤として、相手アタッカーに立ちはだかった住吉、守備だけでなくビルドアップ、正確な左足のロングパス、そして何よりセットプレーのキッカーとして圧倒的な存在感を見せた福森を選出した。
サイドは田中和樹(ジェフ千葉)や山根永遠(横浜FC)、山原怜音(清水エスパルス)など素晴らしいタレントがひしめく中で、相手に怖さを与えたという基準で、左サイドの突破力と鋭いクロスで異彩を放った山口の新保、両足の多彩なキックと打開力で仙台をプレーオフ決勝まで導いた中島を選んだ。
中盤は上記の宮本と共に、中盤のデュエルとボール奪取で規格外だったユーリ・ララに。アタッカーは清水の絶対的なチャンスメイカーとして多くの得点に絡んだ乾、そして覚醒的な得点力を発揮して、J2でも注目の的となったマテウス・ジェズス、もう一人は23得点の小森を素直に選んだ。
ベストブレイク賞
谷村海那(いわきFC)
ベスト11のアタッカーにも入れたかったのが正直なところだが、空中戦の強さを武器に、ゴール数を飛躍的に伸ばしたところは高く評価したい。JFLからキャリアをスタートさせてから、いわき一筋でJ2まで這い上がってきたが、お膳立てさえ整えば、J1でも二桁ゴールを狙えるポテンシャルは十分に感じさせる。
夏加入MVP
土居聖真(モンテディオ山形)
ユース時代を過ごし、2011年から在籍した鹿島アントラーズを離れて、地元のクラブでシンボリックな存在に。二列目の中央で、さながら”山形のエリア88”として攻撃の中心を担い、山形デビューとなった8月3日の岡山戦から、12勝1分1敗という成績で、4位でのプレーオフ進出の立役者となった。
プレーオフMVP
本山遥(ファジアーノ岡山)
レギュラーシーズンも高水準のプレーは目立っていたが、徳島戦の1得点だったプレーオフでは準決勝の山形戦、決勝の仙台戦で連続ゴールを決めて、岡山を悲願のJ1昇格に導くスーパーヒーローとなった。山形戦は岩崎弘人と一美和成、決勝はルカオにうまく連動した形のゴールだったが、本来のポテンシャルからすれば、クロスからのアシストが増えていくと、J1での飛躍も期待できそうだ。
J2ベストヤング賞
田中隼人(V・ファーレン長崎)
2003年生まれの田中はトップ昇格したJ1の柏レイソルから育成型期限付き移籍で長崎にやってきたが、豊富なタレントが揃うチームで下平隆宏監督の信頼を掴み、アグレッシブな対人守備と相手FWのプレッシャーをものともしない左足のキックで、攻守両面でチームのパフォーマンスを引き上げた。
U−20代表で共闘していた1つ下の高井幸大(川崎フロンターレ)がパリ五輪で主力を張り、A代表にも選ばれるなどブレイク、チェイス・アンリがドイツ1部のシュトゥットガルトでセンターバックの主力に定着するなど、同世代の活躍も大きな刺激になっているはずだが、2025年は本格的な飛躍のシーズンになる期待しかない。
J2MVP
乾貴士(清水エスパルス)
5得点7アシスト。個人の数字だけで見れば、別に有力候補はいるが、やはり清水のJ2優勝はこの男を抜きには語れない。相手陣内でボールを持てば違いを生み出すことができる卓越した攻撃センスもさることながら、シーズン途中、チームが苦しい時でも下を向かずに仲間を鼓舞する姿勢が大きな力となったはず。「拾ってくれたクラブ」と公言する清水に恩返しをする格好となったが、本当の伝説はここからだろう。