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金の雄鶏を意味する<エル・ガロ>と呼ばれるサウスポー

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Top Rank社からメディアに配布された資料

 2024年5月18日、WBO暫定ウエルター級タイトルを懸けてブライアン・ノーマン・ジュニアと戦ったジオバンニ・サンティランは、10ラウンドに2度のダウンを喫してKO負けした。序盤から頭をつけてブルファイトを展開したサンティランは、何度もノーマンをロープに詰め、連打を見舞った。

 だが、クロスレンジの打ち合いで消耗していく。最初のダウンは右アッパーをクリーンヒットされてだった。2度目も右アッパーでグラつかされ、連打からの左アッパーで仕留められた。ノーマンは倒れたサンティランに近付き、蹲ってダメージを観察するような非紳士的行為を見せた。

 屈辱的敗戦から立ち上がった32歳のサウスポーは、再度147パウンドの頂点を目指し、12月7日にリングに上がる。復帰戦は、アリゾナ州フィニックスのフットプリント・センターで、フレデリック・ローソンとの10回戦に決まった。このファイトは、ESPN+で中継される。

 金の雄鶏を意味する<エル・ガロ>というニックネームを持つサンティランは、目下、32勝(17KO)1敗。12年間のキャリアの中で着実に白星を重ね、ランキングを上げてきた。2023年に目覚ましい活躍を見せる。7月、高評価を受けていたエリック・ボーンに10回判定勝ちし、10月には現WBO NABOチャンピオンのアレクシス・ロシャを6ラウンドで粉砕してボクシング界にインパクトを与えた。同パフォーマンスはウエルター級トップの地位を確固たるものにし、大いに名を売った。

 そして、満を持してブライアン・ノーマン・ジュニアと対戦したのだーーー。その後、テレンス・クロフォードがスーパーウエルターに転向した為、ノーマンは、今年の8月12日にWBOウエルター級正規チャンピオンに昇格した。

 次戦の相手、ローソンの戦績は30勝(22KO)5敗。35歳のガーナ人だ。2024年1月にバージル・オルティス・ジュニアにファーストラウンドでノックアウトされ、3月には前出のロシャにも6回KO負けしている。つまり、サンティランの復帰戦には、2連敗中のロートルが選ばれたのだ。

 生き残りを懸けたサンティランは、どんなパフォーマンスを見せるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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