冷たいものを食べて頭痛が…『アイスクリーム頭痛』はなぜ起こる?
急に暑い日も増えてきて、私の家でもアイスクリームを食べる日も増えてきました。
ところで、アイスクリームなど冷たいものを食べているときに『キーンとした頭痛』が起きたことがないでしょうか?
冷たいものを食べたり飲んだり、もしくは冷気を吸い込んだりしたときに起こる頭痛を『アイスクリーム頭痛』といい、1850年にドレイク医師がはじめて報告しました。
今回は、そんなアイスクリーム頭痛に関して簡単に解説してみようと思います。
アイスクリーム頭痛とは?
アイスクリーム頭痛はおとなで15%前後、13~15歳の中学生に対するアンケート調査で41%、頭痛が心配で受診された人のなかには37%にアイスクリーム頭痛の経験があったという報告があります[1] [2] [3]。
原因ははっきりとはしていないようですが、口の中や喉に冷たいもの触れると、その部分の細い血管が収縮し、そのあと急に拡張したときに起こると考えられています[4]。
つまり、急に拡張した血管の近くにある神経線維から大きな神経(三叉神経といいます)に情報が送られ、さらに脳にその情報が伝えられて頭痛が起こるというメカニズムです。
一般的には、頭の前から横にキリキリとした頭痛がありますが、7割以上が30秒以内に治まるとされています[2] [5] [6]。
また、アイスクリーム頭痛は片頭痛のあるひとに多いようで、片頭痛のある方の74%にあるという報告もあります[7]。この理由として、片頭痛があるひとは三叉神経が刺激されやすい状態であり、冷たい刺激によって片頭痛が誘発されやすくなると考えられています[8]。
アイスクリーム頭痛を防ぐためには?
100mLのアイスクリームを、5秒以内に急いで食べるグループと30秒以上かけてゆっくり食べるグループで比較した研究があります。
すると、急いで食べたグループでは73人中20人(27%)が、ゆっくり食べるたグループでは72人中9人(13%)に頭痛があり、ゆっくり食べたほうが頭痛が起こりにくくなりました[9]。
これらから、口の中の後ろ側に冷たい物が触れるのを最小限にしてゆっくり食べれば、アイスクリーム頭痛をかなり避けることができるそうです[10]。
いや、そういっても、暑い時に冷たいものを頬張るからこその幸せですけどね…
【参考文献】
[1] Neurology. 1992;42(6):1225–31.
[2] Cephalalgia 2003; 23:977-81.
[3] Clinical and experimental neurology 1984; 20:93-9.
[4] Ice cream headaches(MAYO CLINIC)
[5] BMJ (Clinical research ed) 1997;314(7091):1364
[6] J Neurol. 2016;263(6):1106
[7] Cephalalgia. 2004;24(4):293–7.
[8] Headache. 1976;16(5):222–5.
[9] BMJ 2002; 325:1445.
[10] Headache. 2018;24(4):1192