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北日本は大雨、西日本は猛烈残暑、そして東日本は発生したばかりの台風8号

饒村曜気象予報士
北日本にのびる前線の雲と日本の南海上の熱帯低気圧の雲(8月11日15時)

北日本の大雨

 北日本は前線の停滞による大雨が続いています。

 8月12日1時までの48時間でも、青森県や秋田県で100ミリ以上の雨が降っています(図1)。

図1 48時間降水量(8月10日1時から8月12日1時の48時間)
図1 48時間降水量(8月10日1時から8月12日1時の48時間)

 8月12日も、北日本では前線が停滞し、前線上に発生した低気圧が通過しますので、雷を伴った非常に激しい雨の降る所もあるでしょう(図2)。

図2 予想天気図(8月12日9時の予想)
図2 予想天気図(8月12日9時の予想)

 8月13日昼までに、秋田県ではさらに200ミリ以上の雨が降るというコンピュータの計算もあります。

 週間天気予報をみると、北日本の雨は来週前半まで続く見込みです(図3)。

図3 北日本などの週間天気予報(数字は最高気温)
図3 北日本などの週間天気予報(数字は最高気温)

 なかでも、秋田県と新潟県は、8月17日まで連日傘マーク(雨)です。

 記録的な大雨となったところでは、土の中に水分が多量にたまっていますので、少しの雨でも土砂災害等が発生しやすくなっています。

 北日本では、少なくとも来週までは、土砂災害や低い土地の浸水などに厳重に警戒してください。

西日本を中心とした猛烈残暑

 北日本で大雨の一方、晴天が続いている西日本を中心として、強い日射で気温が上昇し、猛烈残暑が続いています。

 8月13日頃に、日本の南海上にある熱帯低気圧から暖かくて湿った空気が流入することから雨の所が多くなりますが、最高気温は34度くらいと、猛暑日の基準である35度の一歩手前です(図4)。

図4 西日本などの週間天気予報(数字は最高気温)
図4 西日本などの週間天気予報(数字は最高気温)

 そして、来週からは再び猛暑日が続くという予報です。

 西日本を中心として、少なくともお盆過ぎまでは継続して熱中症対策が必要です。おいしいものを食べ、夏バテをしないというのも一種の防災対策です。

なかなか発達しなかった台風8号

 気象庁では、24時間以内に台風になると思われる熱帯低気圧に対しては、「発達する熱帯低気圧」として、5日先までの進路予報等を発表しています。

 日本の南海上にある熱帯低気圧も、「発達する熱帯低気圧」として5日先までの進路予報等を発表しています(図5)。

図5 「発達する熱帯低気圧」に対する進路予報(8月10日9時)
図5 「発達する熱帯低気圧」に対する進路予報(8月10日9時)

 熱帯低気圧がある日本の南海上は、海面水温が台風発生の目安である27度より2度位高い海域ですが、熱帯低気圧の中心付近には発達した雲がなく、台風発生に時間がかかりました。

 気象庁では、この熱帯低気圧が発生した8月10日9時の段階から、24時間以内に台風になるとして、5日先までの進路予報を発表しているのですが、42時間たった8月12日3時に、ようやく台風8号が発生しました(図6)。

図6 台風8号の進路予報と海面水温(8月12日3時)
図6 台風8号の進路予報と海面水温(8月12日3時)

 台風8号になるのは少し遅くなりましたが、熱帯低気圧のときから周辺の暖かく湿った空気を本州付近に送り込んでいました。

 このため、8月12日は、西日本から東日本の太平洋側を中心に所々で雨や雷雨となり、進路によっては8月13日に東日本太平洋側で雨の強まるおそれがあります。

 東日本では、台風8号の中心付近や、台風周辺に広がる雨雲に注意が必要です。

 各地とも、最新の気象情報の入手に努め、警戒してください。

タイトル画像、図1、図3、図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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