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一生に一度は訪ねたい「昭和レトロな温泉街」5選(東北編)

高橋一喜温泉ライター/編集者

昭和レトロがブームである。旅の目的地として、昭和の懐かしさを感じられる観光地を選ぶ人も多いという。

その点、古くから温泉が湧き続けている歴史ある温泉地には、現代の日本人が懐かしさを覚えるようなレトロな街並みや浴室が残る。そんな昭和レトロな温泉街は、浴衣と下駄でのそぞろ歩きが似合う。

特に東北は湯治文化が今も残っている地域があり、ひなびた風情が魅力の温泉街も少なくない。そこで今回は、「昭和レトロ」の気分を存分に味わえる温泉街を東北エリアに絞って5カ所紹介したい。

銀山温泉(山形県)

銀の採掘によって栄えた山あいの温泉地。銀山川の両岸に大正から昭和初期にかけて建てられた木造の多層建築旅館が立ち並ぶ。川に架けられた多くの橋、石畳の歩道などが湯の街情緒を醸し出し、夜間はガス灯の光が幻想的な風景を演出する。温泉街は車の通行が規制されていることも、レトロな雰囲気を保つことに一役買っている。どこを切り取っても写真映えのする温泉街である。

肘折温泉(山形県)

山あいに湧く静かな温泉地だが、伝統的な湯治場の景観が今も残る。車がすれ違うのも困難な狭い通りの両側に旅館や商店がびっしりと連なる。昔からの街並みがそのまま保存されている証拠だ。長期の湯治客が多いのも特徴で、日用品や食料品をそろえた商店もある。早朝、温泉街に朝市が立つのも見どころのひとつ。リーズナブルに宿泊できる宿が多く、プチ湯治体験を楽しめる。

夏油温泉(岩手県)

焼石岳中腹の渓谷にある山間の温泉地。湯治宿としての歴史をもつ旅館「元湯夏油」は湯治棟や売店、食堂、マッサージ店などが並び、その長閑な風情はどこか懐かしさを感じる。湯治場の原風景といえよう。川沿いに複数の湯船が並び、源泉から直接引いたピュアな湯が掛け流しにされている。川に面した露天風呂は絶景が自慢。冬季は雪に閉ざされる秘湯の温泉宿である。

温湯温泉(青森県)

黒石市にある小さな温泉街。「ぬるゆ温泉」と読む。とはいえ泉温は60度くらいあり、よく温まるので「温湯」と呼ぶようになったとか。温泉街には共同浴場を中心に、明治から大正時代にかけて建てられた木造宿が並び、ひなびた温泉場の風景を醸し出している。旅館に宿泊している人は、共同浴場に通うのが温湯温泉のスタイルだ。

大沢温泉(岩手県)

花巻南温泉郷の一角を占める大沢温泉は、2つの個性の異なる建物で構成される一軒宿。なかでも自炊部のある「湯治屋」は、昔ながらの湯治宿の雰囲気を残しており、リーズナブルな料金で湯治を体験できる。木造の入り組んだ館内と昔ながらの和室は、どこか懐かしさを感じる。川に面した混浴露天風呂「大沢の湯」が名物。湯船も複数あるので、敷地内で湯めぐりを楽しめる。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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