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タイブレークも問題なし。鉄壁の侍リリーフ陣

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

 3月に開催されるWBCで世界一を目指す侍ジャパンのメンバー30人が発表された。投手陣では大谷翔平(エンゼルス)にダルビッシュ有(パドレス)とメジャーでもトップクラスの2人に加え、NPB最強投手・山本由伸(オリックス)に令和の怪物・佐々木朗希(ロッテ)らが揃い歴代でも最強クラスの豪華さだ。層の厚さはリリーフ陣も引けをとらない。リリーフ投手は短いイニングに全力を注ぎ、ピンチの場面ではさらにギアを上げる。侍ジャパンの守護神候補達はその傾向が顕著だ。

クローザークラス5枚の盤石ブルペン

 ルーキーながら抑えを任された大勢(巨人)は走者を複数置いた場面(1・2塁、1・3塁、2・3塁、満塁時)での成績が28打数3安打の被打率.107。特に満塁では8打数無安打6三振と無類の強さを誇っている。

 43ホールドを挙げ最優秀中継ぎ投手賞に輝いた湯浅京己(阪神)は複数走者の場面が15打数4安打で被打率.267。率だけ見ると圧巻というわけではないが、大勢とほぼ同じ投球回で複数走者を背負った回数が半分以下。そもそも複数走者を背負う展開にすることが少なかった。しかも与四死球は0とストライクゾーンの中でしっかり勝負出来る。

 東京オリンピックではルーキーながら侍ジャパンの守護神を務めた栗林良吏(広島)は複数走者の場面で19打数4安打。許した長打は2塁打1本だけ。大舞台での経験値も実に心強い。

 経験豊富な松井裕樹(楽天)も複数走者の場面で14打数1安打、被打率.071と好成績を残す。奪三振7と打球を前に飛ばさせない能力にも優れる。本職のリリーフの中では貴重な左腕、ここぞの場面での左殺しも期待される。

 育成入団からわずか2年で日の丸戦士まで駆け上がった宇田川優希(オリックス)も複数走者の場面で16打数1安打。宇田川の場合はピンチの場面に限らず19試合、延べ87人の打者と対戦して打たれた長打は2塁打と本塁打が1本ずつ。しかもどちらも走者なしの場面だった。ロマン溢れる右腕が大会中に覚醒したら数年後には海を渡っているかもしれない。

10回からのタイブレークも心配なし

 5人合計で複数走者を置いた場面の成績は92打数13安打で被打率.141。与四死球も11個で余分な走者をためて痛打を浴びるという心配もなさそうだ。今大会は10回からタイブレークが採用され、延長戦は無死2塁から開始される。安打1本で即大ピンチとなるが、本気になった侍リリーフ陣を攻略するのはメジャーリーガーといえど容易ではないはず。豪華な先発陣からバトンを受け取った鉄壁リリーフ陣が勝利を手繰り寄せる。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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