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J1残留に向けたコンサドーレの課題と展望 札幌は8年続くとあるジンクスを守ることができるか?

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
2017年の開幕カードは仙台対札幌(写真:アフロスポーツ)

創設25周年を迎えるJリーグが、いよいよ2月25日に開幕する。

今季のスカパー!特番のJ1順位予想を見ると、北海道コンサドーレ札幌をJ2降格圏(16~18位)に予想するサッカー解説者が多い。

コンサドーレの野々村芳和社長も「今季の強化費はJ1の中で17~18番目」と述べており、強豪クラブと選手の年俸総額で比較すると劣勢だ。

なおかつ、札幌がJ2から昇格してきたシーズンは、ここ最近だと2008年、2012年とどちらもリーグ戦でたった4勝しかできず、ぶっちぎりのJ1最下位となり、1年でJ2に降格している。

札幌が「エレベータークラブ」と呼ばれる所以だ。識者たちが札幌を下位に予想するのは、致し方ないとも言える。

ただ、サッカーという競技は当然ながら、選手のもらっている給料で勝敗が決まるスポーツではない。実際、昨年のコンサドーレはJ2の中で強化費が7~8番目だったのにも関わらず、優勝という結果を残した。昨年の勢いそのままに、今季も「ジャイアントキリング」に期待したい。

ジンクスを継続するか否か?

ひとつ面白いジンクスがある。ここ8年間、J2リーグを優勝して昇格してきたクラブは、翌年に必ずJ1残留を果たしているのだ。その8クラブは、広島、仙台、柏、FC東京、甲府、G大阪、湘南、大宮となる。

更に言うと、この8クラブのうち、翌々年にJ2に降格したのは湘南のみで、それ以外の7クラブは昇格後、J1に定着している。J2を優勝して昇格してきた札幌にとって、何とも心強いデータだ。

だがしかし、そのジンクスが始まる直前、J2を優勝した翌年に即降格したクラブが札幌、という皮肉なデータもある。このジンクスを継続するか止めるかは、今季J1の舞台で戦う札幌の選手たちのパフォーマンス次第だ。

シーズンオフの補強には成功

J2で好成績を残し、J1に昇格してきたプロビンチャ(イタリア語で地方の低予算のサッカークラブ)は得てして、金満クラブの格好の標的となり、「お買い得」な選手を引き抜かれる運命にあるが、今季のコンサドーレは主力メンバーの引き留めに成功した。

浦和からオファーがあったDF福森(昨季3ゴール10アシスト)、鹿島からオファーがあったGKク ソンユン(昨季1試合平均失点が0.67でリーグ最少)が揃って残留し、昨季の「堅守速攻」のスタイルを維持できるメンバー構成となった。

かつ、J1の舞台で実績を残してきた兵藤(横浜FM)、横山(大宮)、早坂(鳥栖)らを獲得し、適材適所の補強ができたオフシーズンだったと言える。

2008年、2012年のJ1における「惨劇」を経験してきている昔からの札幌サポーターも、今季の残留・補強メンバーは前回、前々回とJ1残留に失敗した年とは、明らかにクオリティが違うと評する者が多い。

サポーターにも忍耐力が必要なシーズン

とはいえ、昨季のコンサドーレのボール支配率は年間平均で50.3%。優勝したチームの数字としては非常に低いと言える。対戦相手のレベルが格段に上がるJ1の舞台では、更にポゼッション率が下がることになるだろう。

キャンプでは定番の「3-4-3」布陣に加えて、5バック・3ボランチのドン引きフォーメーション「5-3-2」もテストしている。試合によっては、ひたすら相手の攻撃を耐え忍ぶ展開も予想される。

42試合中25回も勝利の歓喜を味わうことができた昨季とは明らかに異なる一年になることは間違いない。

サポーターにとってある意味、「修行」の一年になるだろう。コンサドーレのサポーターも、負けが込んでも気持ちを切らすことなく、忍耐強く応援していきたい。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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