熱い東西バトルが見られる!? JRAは今週から2場開催。「自ブロック適用せず」で起きる変化
中央競馬は3週間だけ函館、新潟の2場開催
中央競馬は今週から3週間だけ、北海道は函館競馬場、本州は新潟競馬場の2場開催となる。
2019年までは、この時期は関東圏では新潟競馬、関西圏では小倉競馬、さらに北海道開催をあわせた3場での競馬開催が続いてきた。しかし、昨2020年は東京オリンピック開催等の観点から3週間は北海道(札幌)と新潟の2場でのみ開催となった。そして、2021年も同じ理由で北海道(函館)と新潟の2場で中央競馬が開催される運びとなった。
JRAの発表は、以下のとおりである。
(JRA文書「令和3年度(2021年度)開催日割および重賞競走」より)
8月14日からは再び小倉競馬が始まり3場開催に戻るが、3場あった開催が2場に減る影響は大きい。
その一番の理由はこの3週間だけ「自ブロック制」が適用されないことにある。
自ブロック制適用せず、で関西馬の新潟での出走が増える
普段は、中央競馬の競走馬は美浦(関東)と栗東(関西)の両トレセンのいずれかに所属しているが、下級条件(未勝利や1勝クラス)では自分の属するブロック(以下、自ブロックとする)では優先的に走れるというルールがある。
具体的には、美浦トレセン所属馬(以下、関東馬とする)は中山、東京、福島、新潟の各競馬場、栗東トレセン所属馬(以下、関西馬とする)は京都、阪神、中京、小倉の各競馬場が自ブロックの競馬場となる。
普段、新潟競馬場は美浦の自ブロックなので関東馬が下級条件が優先して出走できる。一方、関西馬は1レースごとの出走枠に空きがあった場合しか出走できない。
しかし、この3週間だけはその優先ルールが適応されなくなる。つまり、新潟全レースで関東馬と関西馬が同じ条件で出走枠を競うことになる。
その結果、レースに出走を希望しても参加希望が多く出走できないケースが出てくる。各厩舎はそれを見越してレースを選ぶが、秋までに勝ち上がらければならない3歳未勝利馬たちの除外は深刻だ。
3歳未勝利戦は、今秋までに中央競馬で勝ち上がらないと、そのまま中央競馬に在籍するのは難しいからだ。出走できるレースがかなり限定されるので、いったん地方競馬に転籍して一定の勝ち星を得たあとに中央競馬に再登録する、という流れが定番である。
年間の中央競馬の開催日数は同じであっても、馬は立て続けに走れるわけではない。今のタイミングに開催される3歳未勝利戦に意義があり、芝、ダート、距離などレースにバリエーションがなければ力を発揮しにくい。関西馬の中には、新潟競馬場のような長い直線や左回りを求める馬もいるのでチャンスは増えるが、関東馬にとっては保護されたレースが減る分、ライバル馬が増えてしまうのだ。
昨年同時期は約6割を関西馬が勝利
昨年のこの3週間の成績は72レース中、美浦トレセン所属馬が23勝に対して栗東トレセン所属は49勝だった。おそらく、今年も自ブロック制の影響がよくわかる3週になるだろう。
ちなみに、栗東トレーニングセンターから新潟競馬場へのアクセスはかなりいい。所要時間は約7時間。栗東トレセンから高速道路経由で新潟につくと、新潟市内はバイパスが充実しているのでほとんど停車することなく進むことができる。美浦トレーニングセンターから新潟競馬場までは約6時間なので、若干栗東からのほうが遠いが、移動の条件にはほとんど差がない。そういう意味でも、ガチの東西対決が見れる3週間となる。
来年の猛暑時の開催はどうなる?
冒頭でお伝えしたとおり、この施策は暑熱対策も兼ねており、中央競馬が1年間に開催できる日数は最大288日であり、その配分をこの暑い時期は減らした、という狙いもある。以前から、日本の競馬はオフシーズンがないが暑い夏場などに開催を減らしてはどうか、といった意見も出ていた。来年の開催編成はまだ不明だが、一年を通して同じリズムで行われるのではなく、昨年や今年のように暑い日が続くこの時期は開催を減らす可能性もある。
今年の成績次第では、やはり自ブロック制を通年維持するべきだ、という意見も出るだろう。一方で、競馬は優勝劣敗なので、そもそもブロック制に反対、という声もある。来年の開催編成に注目しつつ、この3週間の熱い東西バトルに注目したい。