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2年連続チームMVPの外野手がトレードを志願。吉田正尚にも影響あり!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライアン・レイノルズ(ピッツバーグ・パイレーツ)Jun 10, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ピッツバーグ・パイレーツが、異例とも思える声明を出した。要約すると、ブライアン・レイノルズをトレードで放出する気はない、というものだ。

 ピッツバーグ・ポスト-ガゼッタのジェイソン・マッケイによると、延長契約の交渉が行き詰まり、レイノルズは、トレードを志願しているという。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンは、パイレーツが申し出た契約は、開幕直後にパイレーツがキブライアン・ヘイズと交わした8年7000万ドルを上回る、球団史上最高額だと報じている。

 レイノルズは、センターを守るスイッチ・ヒッターだ。来年1月に28歳となる。昨シーズンは24本塁打と出塁率.390とOPS.912、今シーズンは27本塁打と出塁率.345とOPS.807を記録し、どちらのシーズンも、パイレーツのビート・ライターによってチームMVPに選ばれている。来シーズンは、2年1350万ドルの2年目。FAになるのは、2025年のオフだ。

 トレードの噂は、過去にも何度か出ている。今オフも、可能性がなくなったわけではない。パイレーツが放出しないと言っているのは、本当かどうかわからない。ワシントン・ナショナルズのマイク・リゾーGMは、6月にラジオ番組で「ホアン・ソトを放出しない」と語った。ソトは、2ヵ月後にサンディエゴ・パドレスへ移籍した。

 レイノルズがこのまま契約の延長に応じず、FAとなるまでにパイレーツの再建が完了しない場合、どこかの時点で放出することになる。基本的に、保有できる期間が長いほど、得られる見返りは大きい。現時点では、今オフがマックスということだ。

 レイノルズの動向は、吉田正尚にも影響があるかもしれない。レイノルズは、レフトとライトも守れる。あるいは、トレードでレイノルズを獲得した球団は、これまでセンターを守っていた選手をレフトかライトへ回し、レイノルズをセンターに据えることもできる。

 レイノルズと吉田を比べると、年齢は28歳と29歳なので、ほぼ同じだ。レイノルズを獲得するには、交換にプロスペクトを手放す必要がある一方で、吉田を手に入れるには、それなりの費用が必要になる。使える金額が少ない球団にとって、レイノルズは魅力だ。裕福な球団でも、予算に空きがあるとは限らない。一番の違いは、期待外れに終わるリスクだろう。吉田は、日本プロ野球で実績を残しているものの、メジャーリーグでプレーしたことはない。

 なお、吉田については、先月、こちらでも書いた。

「日本人選手がMLB1年目に記録した出塁率は、前年と比べてどれだけ上下したのか。吉田正尚は今年.447」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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