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Zoom社の特許について(1)

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
(写真:中尾由里子/アフロ)

新型コロナによるテレワーク需要急増に伴い、ビデオ会議ソリューションの提供企業に注目が集まっています。その最たる例が米国のZoom Video Communications社です。同社の時価総額が世界7大航空会社の合計よりも大きくなったというニュースもありました。

同社の特許資産について見てみましょう。現時点で、米国で成立している同社を権利者とする特許権は以下の6件です(日本国内で権利化されているものはなさそうです)。2011年創業の米国テクノロジー企業としては少なめでしょうか。

10,609,390 Adaptive screen encoding control

10,523,900 Method and apparatus for capturing a group photograph during a video conferencing session

10,419,511 Unique watermark generation and detection during a conference

10,348,454 Error resilience for interactive real-time multimedia application

9,813,193 Error resilience for interactive real-time multimedia applications

9,344,218 Error resilience for interactive real-time multimedia applications

数も少ないのでひとおり中身を解説していきましょう。まずは、わかりやすそうな10,523,900号(Method and apparatus for capturing a group photograph during a video conferencing session)(ビデオ会議セッション中にグループ写真を撮る方法と装置)”です。

登録日は昨年(2019年)の12月31日、出願日は2019年3月20日です(出願公開前に特許登録されたことになります)。審査経過を見るとOA(拒絶理由通知)なしで一発登録になっています。これは当初の権利範囲が狭すぎたことを示唆していますが、分割出願が係属中なので今後より広い範囲、および、別局面から権利化される可能性はあります。

本発明は、タイトルが示すようにビデオ会議中に参加者の「集合写真」を撮るための方法に関するものです。Zoomを使用している時に、記録および記念として参加者全員の写真を撮りたいケースはよくあるでしょう。最も単純なやり方としてはギャラリービューの画面キャプチャーを取得すればよいのですが、当然ながらそれを特許化できたわけではありません。もう少し付加機能が付いたアイデアを特許化しています。

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弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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