【久留米市】東町公園で開催される野外ロックフェス[KURUME MUSIC FES.2024]舞台裏
「久留米市がロックフェスをするから、そのポスターを作れないか」
そんな依頼が飛び込んできたのは昨年のことでした。
以前の記事でも書いたように久留米は音楽が盛んな街です。
しかし、ロックフェスとは…。
さすがに「ロックは反骨精神、反体制の音楽だ!」という時代ではないですが、行政のイベントとしては意外性があり少し驚きました。
なぜ市がロックフェスを開催するに至ったのでしょうか。
その背景について、久留米市市民文化部文化振興課の中園貴文さんと、公益財団法人久留米文化振興会の合瀬健史さんにお話を伺ってみました。
「久留米の街を音楽で盛り上げたい!」
久留米市では以前、『くるめ街かど音楽祭』というイベントが行われていました。
久留米市内中心部の各所を会場とし、クラシックやジャズ、ポップスなど、あらゆるジャンルの音楽が無料で楽しめるイベントです。
「『くるめ街かど音楽祭』は2013年に始まり、毎年約2万人の動員がありました。しかし、コロナの影響で2019年度(2020年3月開催予定分)から中止になってしまったんです。その後、再開の目処も立たず、市民が生で音楽を聴いたり演奏する機会が減ったと感じていました。コロナも落ち着いてきた中、また何か音楽で街を盛り上げるイベントができないか考えていたんです」
そうした中、今回のロックフェスという企画が立ち上がったのだそうです。
しかし、『くるめ街かど音楽祭』はあらゆるジャンルの音楽が対象だったのに対し、なぜ今回はロックに特化したイベントになったのでしょうか。
「久留米市では2014年から『くるめライブチャレンジ』というライブコンテストを行っています。アマチュアミュージシャンの発掘・育成を目的としたもので、2021年からは松隈ケンタさんに審査員を務めていただいてました。また、2023年にはスペシャルアドバイザーとして参加していただき、大幅にリニューアルしています」
松隈ケンタ氏と言えば、BiSHのプロデュースや新しい学校のリーダーズへの楽曲提供も行う音楽プロデューサー。
昨年はくるめふるさと大使に就任した、久留米を代表するアーティストの1人です。
余談になるが、前回の記事で紹介したウエポンが2003年に作ったコンピレーションアルバムには松隈氏のバンド・Buzz72+の前身であるGRANDSLAMも参加しており、当時から久留米のバンドシーンで活躍していたことを伺わせる。
そんな松隈氏との出会いがきっかけとなり、松隈氏と同世代のバンドマンたちとの接点を得ていくことになったと言います。
“ロック”の人材がいる久留米だから実現できるフェス
松隈氏と同世代の久留米のバンドマンたち。
その中には、飲食店やライブハウスの経営などを通じ、今も久留米の街をにぎわせている人たちがいます。
「松隈さんとのご縁を通じて、『久留米にはこんなに“ロック”の人材がいたのか!』と思いました。今回のフェスでは彼らがイベントの作り込みやブッキングといった深いところまで協力してくれています」
「これまでも様々な音楽イベントを企画してきましたが、やっぱりロックって行政にノウハウがなかったんですよね。彼らがいるからこそ実現できたというか。松隈さんにもいろいろと助言をいただいてますし、今回はあえて裏方としてMCを買って出てくれました」
「久留米のバンドマンたちのアイデアやノウハウ、コネクションを活かしつつ、私たちは行政だからできることをやる。行政の独りよがりではなく、市民と行政の協働という形で進んでいけたらと考えています」
ただ久留米ゆかりのメジャーアーティストを集めるのではなく、一般からも出演者を募集。
「くるめジュニア音楽祭」「くるめライブチャレンジ」といったイベントの優勝者の出演枠を設け、音楽活動を行う市民の発表の場としても活用しています。
また、ロックファンだけでなくいろんな人たちに楽しんでもらえるようにと、地元商店街を中心に“フェス飯”の出店者を募るなど、街を盛り上げるための仕掛けに奔走しています。
「音楽だけでなく、久留米の名物もたくさん楽しめるイベントです。市民の方はもちろん、市外の方にも久留米の魅力を改めて知ってもらいたいですね。来年以降も開催できれば良いですが、目標はあくまでも街を盛り上げること。フェスというフォーマットにとらわれず、様々な音楽イベントを実施していきたいと思います」
市と市民でつくりあげるロックフェスの開催まで残り1ヶ月を切りました。
久留米の音楽シーンに新たな1ページを刻む1日となりそうです。
KURUME MUSIC FES.2024
【日時】2024年3月17日(日) 9:30〜17:15 ※荒天中止
【場所】東町公園
【出演】Half time Old、THE FOREVER YOUNG、SHIMA、ジ・エンプティ、Penny Lane、LOT SPiRiTS、The コットンクラブ ほか
【料金】入場無料
【問い合わせ】久留米市文化振興課(0942-30-9224)
【URL】https://kuruon.jp/festival/