ありがとう『AMBITIOUS JAPAN!』この日だけ東海道新幹線駅にポスターが掲出されました
2023年7月20日、この日限りで東海道新幹線の車内チャイム『AMBITIOUS JAPAN!』バージョンが終了となりました。
東海道新幹線の車両はJR東海が保有する車両と、JR西日本が保有する車両があります。『AMBITIOUS JAPAN!』はJR東海の車両で採用されました。明日からJR東海保有車両の車内チャイムはUA(ウーア)さんが歌う『会いにいこう』のアレンジバージョンになります。JR西日本保有車両の車内チャイムは『いい日旅立ち・西へ』で、こちらは変更されません。
『AMBITIOUS JAPAN!』はロックバンドTOKIOが歌唱する曲です。JR東海の新幹線品川駅開業と、それにともなうダイヤ改正を機にスタートした「AMBITIOUS JAPAN!」キャンペーンのテーマソングとして制作されました。作詞はなかにし礼さん、作曲は筒美京平さん。歌謡曲を代表とする作曲家、作詞家の組み合わせでした。なかにし筒見コンビの作品は90曲。それまでの代表曲はいしだあゆみさんの『あなたならどうする』でした。
2003年10月1日にJR東海のキャンペーンと同時にデビューした『AMBITIOUS JAPAN!』は、同年11月24日から東海道新幹線の車内チャイムになります。キャンペーンは2005年9月まで続きましたが、車内チャイムは引き続き使われました。なぜ元のチャイムに戻さず、『AMBITIOUS JAPAN!』が使われ続けたか、JR東海関係者に聞きましたが不明とのこと。うっかり戻し忘れた説も囁かれたとか。
2023年2月16日、JR東海は新しいキャンペーン「会いにいこう」の開始と新チャイムの切り替えを発表しました。『AMBITIOUS JAPAN!』は旅立つ人のロマンと「どうしても会いたいんだ」という強いメッセージ性を持った曲として、TOKIOファンだけではなく、広く親しまれた曲です。それだけに『AMBITIOUS JAPAN!』の終了を惜しむ声も多かったようです。
20年にわたり使用された『AMBITIOUS JAPAN!』チャイムは、たくさんの人々にとって、新幹線の旅に紐付けられ、心に刻まれた曲です。もちろん私もさまざまな思い出やこの曲に対する思いがありますが、それをここで披露するのは野暮というもの。控えておきます。
そうした思いはJR東海にとっても同じです。しかし、コロナ禍を通じて、やはり直接会う喜びが大切という時代になりました。「実際に会う」という意味が、今まで以上に大切な時代になったとも言えます。そこで、決意を新たにするために、どうしてもチャイムごと新しい時代を築きたい。
そこで、JR東海は『AMBITIOUS JAPAN!』に感謝を伝えるため、2023年7月20日の日本経済新聞に、カラーの全面広告でメッセージを掲載しました。企業が商品の広告ではなくメッセージで語りかける広告は「アドボカシー広告」といいます。売上を得るためではなく、共感を得るための広告です。この広告に驚き、共感した方も多いと思います。
じつは、JR東海のメッセージはこれだけではありませんでした。新聞広告と同じデザインのポスターを、2023年7月20日限定で東海道新幹線の駅に掲出しました。この日だけのために前日の終電後から準備し、この日の終電後には撤去される予定です。ポスターの文面を見ると「最後の特別な1日を」とあります。だから翌日も残っていてはいけないのです。
どれだけの社員がこの日のためにポスターを用意し、張り替えまくったか。これが感謝の表し方なんですね。そう思うと、なんだか胸が熱くなります。
今回は「この日、1日だけのポスターがあったんだよ」と言いたいだけの記事でした。だって、なんだか粋(イキ)な話じゃありませんか。ねぇ。
(2023年7月21日 0時2分 掲載ボタンを押したら日付が変わってしまったので一部文言を変更しました。間に合わなかった悔しい……)
(2023年7月21日 22時14分 一部表記を修正しました)