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世界の鉄道を撮り続ける櫻井寛さんの写真展が品川で4月23日まで開催中。別室の2つの写真展も素晴しい!

杉山淳一鉄道ライター
撮影エピソードを語る櫻井さん(筆者撮影)

2024年3月9日から2024年4月23日まで、東京・品川のキヤノンギャラリーSで、キヤノンギャラリー50周年企画展 櫻井寛写真展「列車で行こう!The Railway World」が開催されています。3月10日にヴァイオリニストの大迫淳英さんを迎えてギャラリートークが開催されました。

櫻井寛さんは鉄道ファンにはおなじみの鉄道写真家です。世界の95か国、延べ250回も渡航して鉄道写真を撮りまくりました。その中から62か国、66点の鉄道写真が展示されています。カッコいい車両がメインの写真もあれば、旅先の人々とのふれ合いを感じる写真もあります。鉄道への好奇心と愛情がたっぷり感じられました。「パナマを走る世界最短の大陸横断鉄道」など、テーマ選びもユニークでした。

動画展示として、スイスで走った100両編成の列車もありました。観光鉄道として名高いレーティッシュ鉄道が開業175年を記念して開催したイベントです。4両編成の同型車両を25編成も連結しました。列車の全長は1.910km。ギネスブックの公式記録になったそうです。

実際に見てみると、まるで同じ画像を繰り返し見ていると錯覚します。しかし映像の左下には生活道路があり、そこには人々の暮らしが続いています。画面の片隅にその風景を含めて、100両編成の動きと比較させる。櫻井さんのアイデアが素晴らしいです。

トークショーに訪れたヴァイオリニストの大迫淳英さんは、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」の音楽演出を担当されました。現在は東急グループが運行する「THE ROYAL EXPRESS」の車内で演奏されています。この日は「ななつ星in九州」のテーマや、鉄道車両デザイナーの水戸岡鋭治さんのテーマ曲「Don Hearts」などを演奏してくださいました。

来場していた日本テレビ藤田大介アナウンサー(左)もトークショーに飛び込み参加。右は大迫淳英さん(筆者撮影)
来場していた日本テレビ藤田大介アナウンサー(左)もトークショーに飛び込み参加。右は大迫淳英さん(筆者撮影)

大迫さんのすごいところは「演奏乗務員」として、ツアーの最初から最後まで同乗して演奏するスタイルです。演奏するときだけ乗り込めば負担は少ないですけれども、それだと「ゲスト演奏家として乗り込んだときに、お客様より上の立場で迎えられ、お見送りされてしまう。それは違うのではないか」と考えているとのこと。

95か国の鉄道を撮った櫻井さんも、観光列車内の演奏回数が多い大迫さんも、ギネス記録に申請できそうですね。

「列車で行こう!The Railway World」は品川のキヤノンギャラリーSのほか、キヤノンギャラリー銀座とキヤノンギャラリー大阪で3月19日から3月30日まで開催されます。品川は海外の鉄道がテーマですが、銀座と大阪は国内の観光列車などをテーマとするとのこと。各会場で大迫淳英さんや水戸岡鋭治さんを招いたギャラリートーク、スペシャルトークイベントが開催されます。

入場無料、キヤノンギャラリーSは日曜・祝日が休館、キヤノンギャラリー銀座とキヤノンギャラリー大阪は日曜・月曜・祝日が休館です。

櫻井 寛 写真展「列車で行こう!The Railway World」:キヤノンギャラリーS(品川)

櫻井 寛 写真展「列車で行こう!The Railway World in Japan」:キヤノンギャラリー銀座

櫻井 寛 写真展「列車で行こう!The Railway World in Japan II」:キヤノンギャラリー大阪

駅と人がテーマの写真展も合わせて観てほしい

品川のキヤノンオープンギャラリーSでは、仲井裕一写真展「会遇 -駅-」も4月9日まで開催中です。仲井裕一さんは乗りもの系雑誌で知られるイカロス出版の編集者です。日本各地の駅で出会った人の写真を展示しています。今回の代表作は青海川駅の夕景で、女性がふたりで佇んでいます。モデルさんを手配したのかと思ったら、たまたまそこに居た方だそうです。

カッコいい御仁がスッと立っている佇まい。しかし強面。在廊していた仲井さんに「許可をとるのが怖かったでしょう」と聞いたら、実際はとても優しい方とのこと。そう言われてみると、恥ずかしそうにポーズをとっているようにも見えます。

待合室で語り合う女生徒さんの笑顔も印象的。鉄道ファンが見れば浜寺公園駅の旧駅舎とすぐにわかります。東京駅と同じ辰野金吾氏の設計で、国の登録有形文化財です。でも、彼女たちは知ってか知らずか、いつもと同じ青春の日々をここで過ごしています。

私は日本の鉄道をすべて乗っていて、どの駅も降りたり通過したりしています。でも、こんな風景があるなんて気づきませんでした。仲井さんの暖かい眼差しが捉えた瞬間です。

仲井裕一さんと作品展示。物語を感じます(筆者撮影)
仲井裕一さんと作品展示。物語を感じます(筆者撮影)

仲井 裕一 写真展「会遇 -駅-」キヤノンギャラリー1

仲井裕一写真展の奥で、日藝写真学科 選抜写真展「暁2024」が開催されていました。こちらは3月22日まで。13人の学生さんが出展しています。「全学生を対象に作品を募り、全専任教員により選ばれた」(紹介サイトより)とのこと。風景や人物など、どれも芸術的でストーリーを感じます。鉄道に関する写真もありました。羽田空港や飛行中の航空機を真上から捉えた写真は面白く、サーファー視点の波の写真もユニークでした。こちらも併せてごらんください。

鉄道写真ではない作品との出会いがありました(筆者撮影)
鉄道写真ではない作品との出会いがありました(筆者撮影)

日藝写真学科選抜写真展「暁2024 」:キヤノンオープンギャラリー2

2024年3月12日15時49分 会場表記などを修正しました。

鉄道ライター

東京都生まれ。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社でパソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当したのち、1996年にフリーライターとなる。IT、PCゲーム、Eスポーツ、フリーウェア、ゲームアプリなどの分野を渡り歩き、現在は鉄道分野を主に執筆。鉄道趣味歴半世紀超。2021年4月、日本の旅客鉄道路線完乗を達成。基本的に、列車に乗ってぼーっとしているオッサンでございます。

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