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気温上昇と走り梅雨で、季節は着実に夏へ向かっている

饒村曜気象予報士
高気圧と高気圧の間の小さな低気圧(令和4年(2022年)4月20日9時)

しっかりしていない高気圧

 令和4年(2022年)4月20日は、日本列島は高気圧が次々に通過して広い範囲で晴れていますが、この高気圧はしっかりしておらず、高気圧と高気圧の間や南縁では雲が多く、所により雨が降りました(タイトル画像参照)。

 4月21日は、高気圧が覆っているのは北日本から西日本の日本海側にかけてで、西日本の南海上から東シナ海には前線が出現する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(4月21日9時の予想)
図1 予想天気図(4月21日9時の予想)

 このため、北日本は概ね晴れますが、東~西日本は雲が広がりやすく、太平洋側を中心に雨が降る見込みです。

 そして、南西諸島は北部を中心に雷を伴って非常に激しく降る所もある予想です(図2)。

図2 風と雨の分布予想(4月21日15時の予想)
図2 風と雨の分布予想(4月21日15時の予想)

3~4月の気温

 日最低気温が氷点下の日を冬日、日最高気温が25度以上の日を夏日、日最高気温が30度以上の日を真夏日といいます。

 令和4年(2022年)3月前半は、冬日が全国の60パーセントを占めるなど、各地で厳しい寒さが続いていました。

 しかし、3月後半は冬日が全国の4割を超える日がまれとなり、逆に4月12~13日は夏日が全国の4割を超えています(図3)。

図3 冬日観測地点数と夏日観測地点数の推移
図3 冬日観測地点数と夏日観測地点数の推移

 最近は、平年並みの気温の日が多くなり、冬日の方が夏日より多くなっていますが、今週末以降は、再び気温が平年より高くなる見込みです。

 冬日が激減し、夏日が増加する見込みで、季節は着実に初夏に向かっています。

週間天気予報

 各地の10日間天気予報をみると、北海道と沖縄県を除いて、ほとんどの日に傘マーク(雨)がついています(図4)。

図4 各地の10日間天気予報(数字は最高気温)
図4 各地の10日間天気予報(数字は最高気温)

 また、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)も多く、白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)やお日様マーク(晴れ)がほとんどありません。

 これは、日本の南岸に前線が停滞するためですが、最高気温は連日25度前後か、これより高くなる予報です。

 つまり、走り梅雨で、季節は着実に夏に向かっています。

 暖かくなると同時に、雨の降り方に警戒する季節が始まりました。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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