大型の台風23号が北海道に接近中 夏に多い雨警戒のコース
北海道の台風は、接近数が沖縄や九州南部といった常習地帯に比べれば少ないことや(表)、本州などに大きな被害をもたらしてからやってくるため、全国的には注目されないことが多いのですが、台風が襲来すれば大きな被害を出すことには変わりがありません。
むしろ、台風に慣れていないために、意外と大きな被害を被ることがあります。
季節はずれの動きをしている(夏のような動きをしている)大型の台風23号が北海道に接近中ですが、この台風のコースは、夏に多い雨警戒のコースです。
北海道を襲う台風は3つのコースがある
北海道を襲う台風には、日本海北上コース、日本海大回りコース、道東接近コースという3つのコースがあります(図1)。このうち、日本海北上コースは風台風、他の2つは雨台風になりやすい傾向があります。
日本海北上コース
日本海を日本よりに北上、あるいは、本州上を北上して北海道に上陸するというコースで、早い速度で勢力が衰えないまま接近しますので、風台風となりやすい傾向があります。
特に、台風の東側の地方では、台風の移動速度と台風に吹き込む風の相乗効果で強い南、または南東の風が吹くので警戒が必要です。
昭和29年9月の洞爺丸台風では、函館湾で青函連絡船の洞爺丸が沈没するなどで、北海道の死者が1579名となっています(図2の左)。
また、昭和54年10月の台風20号では、釧路沖などで漁船が多数遭難し、北海道の死者が72名となっています。
日本海大回りコース
日本海を大陸寄りに通過した後、北海道を襲うコースで、前線と重なり、大雨となりやすくなります。昭和37年の台風9号では、北海道南部を中心に総雨量が200ミリを超える大雨となり、石狩川などが大氾濫して大きな被害が発生しています(図2の中、北海道の死者33名)。
被害金額は430億円と、当時の北海道開発の年間予算475億円とほど同額でした。この災害をきっかけに、北海道の治水事業が大河川を中心に飛躍的に進んでいます。
道東接近コース
日本の東海上を北上して北海道の東側に接近するコース、あるいは、本州を北上後、三陸沖から北海道の南東海上を通過するコースで、東よりの湿った暖気が流入してくるために大雨となりやすいコースです。夏の台風に多いタイプです。
昭和54年の台風12号は、台風と前線の影響で8月3日から6日に岩見沢で410ミリを観測するなど、従来の記録の1.8倍という大雨が降っています(図2の右)。このため、中小河川の氾濫が多発しています。大河川の本流については、築堤整備などが治水事業が進んだことから氾濫が最小限に抑えられていますが、逆に、本流に注ぐ中小河川では、本流の水位があがったことによる逆流のために氾濫をしています。
台風23号は道東接近コースで特に雨に警戒、場所によっては雪も
台風23号は、夏の台風のように、今後速度を上げながら日本の東を北に進み、明日夜には暴風域を伴ったまま、北海道に最も近づくみこみです。釧路南東部の暴風域に入る確率は、8日21時から24時までが一番高く、60%です。
風や雨に警戒が必要ですが、季節は晩秋に入ろうとしています。北海道の上空に寒気が入っていますので、標高の高い峠や山間部では雪が降って積もる可能性がありますので、場所によっては雪に対する注意も必要です。
図1,2の出典:饒村曜(1993)、続・台風物語、日本気象協会。