台風18号の暴風域に入る確率予報とその使い方 降水確率予報とは全く違う
確率予報は、ある現象がおきる確率を示す予報です。気象庁が昭和55年から始めた降水確率予報(注)が有名ですが、平成4年から「暴風域に入る確率予報」も始まっています。
暴風域に入る確率とは
暴風域に入る確率は、ある地域が対象時間中に台風の暴風域内にある可能性を示す確率で、暴風域の大きさや予報円の広がりを考慮して計算したものです。昭和57年に台風の進路予報表示が扇形から予報円にかわったことから予報可能となりました。
平成4年のスタート時点では、全国29の代表地点についての発表だけでしたが、平成15年からは、全国の注意報・警報を発表する単位の約370の区域を対象として、3時間刻みの48時間先までの時系列の情報となっています。
また、平成18年からは72時間先までの暴風域に入る確率を格子点毎に計算し、面的に表示した「暴風域に入る確率の面的情報」の提供も始まっています。
確率の値の変化にも着目
「暴風域に入る確率予報」と「降水確率予報」の使い方の違いは、動画とスチール写真の違いに似ています。降水確率予報は、発表された確率を元に、降水による損害が大きいときや対策費用が小さい時には、小さな確率でも対策をとるように使います。
「暴風域に入る確率予報」は、このような使い方に加え、きめ細かい予報が台風の進路予報が発表されるごとに更新されますので、確率の値の変化にも着目する使い方ができます。
スチール写真ではわからなかった表情の変化が動画ではわかるというように、得られる情報の量が格段に多いのです。
台風18号の暴風に入る確率
図1は、平成27年9月8日15時の台風18号の進路予報図、図2は同じ時刻の暴風域に入る確率で、三重県の伊勢志摩をみたものです。図2から、伊勢志摩では8日の9時から12時が最も暴風域に入る可能性が高く、このときの確率は約30%です。
このことは、図1からは読み取れない情報です。また、15時の予報では、9日3時には暴風域を持つものの、上陸後の15時には暴風域をもたない予報ですので、暴風警戒域の表示は9日3時の予報円のまわりだけで、これだけでは暴風警戒域の広がりはわかりません。
暴雨域に入る確率は、まめにチェックを繰り返さないと計画的、効率的な防災活動に結びつきません。自分の住んでいる地域に対する確率の値が、チェックのたびに大きな値になっているときは、暴風域に入る可能性が高まり、防災活動を急ぐときですし、確率の値が100%になった場合は、暴風域に入ったときです。
(参考)今年の台風11号の暴風に入る確率
図3は、今年、7月16日に高知県室戸市付近に上陸した台風11号のものですが、14日21時の段階で高知県の高知中央では暴風域に入る確率のピークが17日3~6時で約50%ですが、16日9時では、ピークが少し早まり、21時以降はほぼ100%となっています。
(注)降水確率予報は、特定の地域で、特定の時間内に1mm以上の降水(雨や雪など)がある確率をいい、0~100%までの10%きざみで発表されています。
図の出典は、いずれも気象庁HP。