オートバイのあれこれ『昭和のレーサースタイルが21世紀に復活!』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『昭和のレーサースタイルが21世紀に復活!』をテーマにお話ししようと思います。
カタナ、GSX400Xインパルス、B-KING、SW-1…。
スズキはその歴史において、個性際立つオートバイをいくつもリリースしてきました。
今回ご紹介する『GS1200SS』も、そんなスズキのオリジナリティが発揮された1台だといえるでしょう。
画像をご覧のとおり、そのルックスはかなり独特。
これは、1970年代から80年代にかけて活躍したスズキのレーシングマシン『GS1000R』をモチーフとして生み出されたものです。
デビューした2001年(平成13年)当時でもインパクト抜群だったGS1200SSですが、最近のスマートにまとめられたオートバイに見慣れている目からすると、その個性的な佇まいはよりいっそう新鮮に感じられるのではないでしょうか。
このGS1200SSのスタイリングが生まれた背景にあるのは、90年代のネイキッドブームです。
市場のニーズに応えるため、他メーカーと同じようにネイキッドモデルの開発に打ち込むなか、“そろそろオリジナリティのあるバイクを作りたい”という気運がスズキ社内に漂い始めたのです。
そこで生まれた企画の一つが、“往年のレーサー風スポーツモデル”というものでした。
この企画が持ち上がった2000年前後といえば、ネイキッドブームからストリートカスタムブームへ移行するくらいの頃。
ファッショナブルにバイクを楽しむ時流のなかにあって、ガチガチのレーサースタイルで勝負することは時代錯誤のようにも思えますが、あえて他社がノーマークの領域を押さえたことは、独自性を際立たせるにはひじょうに有効だったといえるでしょう。
結果から言うと、当時の流行からは逸れていたGSがヒットすることは案の定ありませんでした。
しかしそれでもGSのデビューは衝撃的で、今となってはそのスタイルにプレミアが付くこととなりました。
ここで簡単にディテールを紹介しておくと、パワーユニットは『GSF1200』等に採用されていたスズキならではの油冷4気筒エンジンをベースに、低中速トルクが強化されたものが搭載されています。
外観のイメージから、レーシングマシンを意識した高回転型のように思ってしまいそうですが、意外にもGSは低速重視だったのです。
フレームについては、90年代のスズキ製ネイキッド『GSF1200』『イナズマ1200』『バンディット1200』それぞれのものを参考に新設計。
伝統のクレードルタイプとしながらも、時代に即した運動性が追求されていました。
『Z900RS』等を筆頭にネオレトロなスタイルが人気な昨今にあって、今改めてこのGS1200SSを売り出せば、それなりに売れそうな気がするのは私だけでしょうか。