まるで桃太郎!介助動物として働く「犬、猿、鳥」
昔話「桃太郎」で連れていくお供として「犬、猿、雉」。一見あまり強くなさそうな彼らが選ばれた理由は諸説あり、鬼門の逆側を示す十二支「戌、申、酉」を表すという説や、桃太郎のモデルである吉備津彦命の3人の家来の名前に由来するという説などがあります。
しかし、もしかすると本当に「犬、猿、雉」は役に立つから選ばれたのかもしれません。
よく知られる盲導犬を始め、犬は障害者や高齢者を介助する動物として有名ですが、実は猿や鳥も介助動物として活躍していることをご存じでしょうか?
この記事では、介助動物として働く猿と鳥についてご紹介します。
手先が器用で寿命が長いモンキーヘルパー
アメリカではフサオマキザルを介助動物として訓練する取り組みが行われています。
フサオマキザルは体長30~50cmの小型の猿で、非常に賢く手先が器用なことで知られています。小規模な群れで暮らしていて、積極的に他者に食料を分け与えるなど社会性の高い猿で、訓練を行えば人間とコミュニケーションを取ることもできます。
手先の器用さを活かして「スプーンで食事を食べさせる」「電気のスイッチを押す」「扉の開閉」「容器のフタをあける」「ものを拾う」など人間さながらの多彩な介助を行うことができます。
また、犬と違い寿命が30~40年と長く、介助を必要とする人が長い間同じ猿と暮らしながら絆を深められることも大きなメリットです。
共感力が高く、言語が話せるセラピーバード
兵庫県姫路市のデイサービスセンターでは、言語に障害を持つ人がインコの一種であるヨウムと話すという訓練を行っています。
ヨウムはハトほどの大きさのインコの一種で非常に賢く、人間の言語を理解したり、真似して話したりすることができるといわれています。また比較的鳴き声が小さく、温厚で人に懐きやすいため、アニマルセラピーでよく用いられる鳥です。
また、ヨウムと同じオウム目のオウムも共感力に優れ、知能の高い鳥として有名です。アメリカでは双極性障害を持つ患者が怒りだしそうになったとき、ペットのオウムが繰り返し「落ち着け」と声を出してなだめることができたというケースも報告されています。
参考:Therapy Birds: Emotional Support Animal? Or Merely A Pet?
助けてもらう人も助ける動物もWin-Winなアニマルセラピーへ
高い知能と社会性を持ち、人間に寄り添ってくれる動物である犬が介助動物の筆頭であることは間違いありませんが、犬に対してアレルギーを持つ人もいます。犬以外の介助動物が増えることはこういった人々を漏れなく助けることにもつながるのです。
近年具体的な介助ができなくとも動物とのふれあいがうつ病や認知症などの改善につながることも報告されていることから、犬以外にも人間を助けてくれる動物はまだまだ増えると考えられます。
また、アニマルセラピーに用いる動物として飼育遺棄された個体を採用する取り組みも始まっています。動物たちから手助けを受けるだけでなく、桃太郎のきびだんごのように動物たちにとってもいいことがある形で広まっていくといいですね。