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延期で全国学力テストの正体がバレてしまうのか

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 全国学力テスト(全国学力・学習状況調査等)が延期になると、昨日(3月16日)の「テレ朝ニュース」が伝えた。ほんとうなら驚くべき事態である。

 延期の理由を、同ニュースは「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため」としている。新型コロナウイルスで大騒ぎになっている時だから、なんとなく納得できるような理由ではあるのだが、疑問も膨らむ。

 全国学力テストの実施が予定されているのは、4月16日である。新型コロナウイルス感染拡大防止対策として全国の小学校・中学校・高校の臨時休校を安倍晋三首相が要請したのは、2月27日のことだった。これを受けて、多くの学校が3月2日から休校にはいっている。

 休校要請は春休み前までであり、そのまま春休みにはいり、春休み明けの新学期からは学校が再開されるはずだった。ただし、まだ再開の目安を政府は示してはいない。

 そうしたなかでの、全国学力テストの延期である。4月16日に実施されることになっている全国学力テストが新型コロナウイルス感染拡大防止のために延期されるということは、そのころになっても学校が再開されていないことになる。学校は再開されているにもかかわらず、全国学力テストだけが延期されるというのでは理屈がとおらないからだ。

 ただし、一斉休校の影響で、学校が全国学力テストへの対応ができていない状況である。テスト結果の順位をめぐって全国の自治体、学校が躍起になっているのは周知の事実でもある。そのため学校では、過去問題に取り組ませるなどの「テスト対策」が当然のように行われている。

 一斉休校のために、そのテスト対策が順調に行われていない。準備不足のまま全国学力テストに臨まなければならないわけで、順位を気にする自治体や学校にしてみれば不本意であるにちがいない。準備不足のために順位を下げる可能性もあるわけで、延期してもらいたいと考えているかもしれない。

 準備不足を全国学力テストの延期理由にするならば、それこそ本末転倒である。全国学力テストの正式名称である「全国学力・学習状況調査等」が示すように、これは「調査」であって、点数や順位を競うものではない。文部科学省(文科省)も、そのように説明してきてもいる。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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