ハリケーン「ヘンリー」30年ぶりにニューヨーク中心部など北東部を直撃か
東京オリンピック開催時には、観測史上初めて台風8号が宮城県を直撃したり、9号が鹿児島県に上陸したり、10号が東日本に接近して大雨を降らせるなど、とにかく台風の話題に事欠かない毎日となりました。
いま同じように次から次にハリケーンの影響を受けているのが、アメリカです。
フレッドはフロリダ上陸
現地時間16日(月)には、大西洋の今年6号目となるトロピカルストーム「フレッド(Fred)」がフロリダ州に上陸し、その後、温帯低気圧になりながらアメリカ東部を北上、ニューヨーク州などアメリカ北東部にも大雨をもたらしました。
ノースカロライナ州ヘイウッド郡では、洪水のため2人が死亡、今も20名が行方不明となっています。
ヘンリーは30年ぶりに北東部上陸か
そして現在発生しているトロピカルストーム「ヘンリー(Henri)」は、21日(土)にも風速34メートルを超えてハリケーンとなり、22日(日)夜頃にアメリカ北東部に上陸する予想が出ています。
上陸が予想される地域には、ニューヨーク中心部ロングアイランド島や、マサチューセッツ州などが含まれており、これらの場所には現在「ハリケーン注意報」が発令されています。
もし「ヘンリー」がハリケーンのままアメリカ北東部に上陸することとなれば、1991年にロードアイランド州に上陸したハリケーン「ボブ(Bob)」以来初めて、つまり30年ぶりのこととなります。ボブは17人の死者を出しました。
調べてみると、今回上陸が予想される地域にハリケーンのままで直撃した例は、1950年以降では、たった5つです。
通常ハリケーンがアメリカの北東の海上を進む場合、海水温が低くなるため弱まっていきます。ところが「ヘンリー」は、スピードを上げて進むために、海水温の低下の影響を受けにくいようなのです。
ハリケーンに慣れていない地域に上陸することとなるため、一層の警戒が必要となる上に、先に述べた「フレッド」から変わった温帯低気圧により、すでに雨が降っていることから、土砂災害のリスクが非常に高くなります。
リンダはハワイへ
このように「フレッド」と「ヘンリー」というダブルの影響が危惧されるアメリカ本土ですが、ハワイにも別の「リンダ(Linda)」が接近しています。
リンダは一時、カテゴリー4という強い勢力のハリケーンに発達し、巨大な目を持つ、いわゆる「環状ハリケーン」となって太平洋を西進していました。ただその後、幸いにして急速に風速が弱まって、つい先ほど温帯低気圧となりました。
しかし、その元リンダ低気圧は、22日(日)から23日(月)にかけてホノルルなどハワイを直撃し、大雨を降らせる恐れが出ています。現在ハワイは、国内旅行を楽しむ本土からのアメリカ人観光客で賑わいを見せており、こうした人々の行楽の予定にも影響を与えてしまいそうです。
※追記(8/23)
ヘンリーは現地時間22日にアメリカ北東部ロードアイランド州に上陸した。上陸時の勢力はハリケーンよりも一段階弱い「シビアトロピカルストーム」であった。ニューヨークのセントラルパークでは、21日の日降水記録となる113ミリの雨が降った。