折りたたみスマホの「シワ」を軽減するアップルの特許について
スマホやタブレットの携帯性と画面サイズを両立するためのテクノロジとして折りたたみディスプレイが現実的になっています。Google Pixel FoldやGalaxy Z Fold5等が有名かと思います。折りたたみディスプレイの本質的課題として画面の屈曲部の「シワ」(折り目)の問題があるでしょう。各メーカーが様々なイノベーションにより、この問題を軽減しようとしていますが、長期的使用を考えると完全な解決は難しい課題かと思います。
さて、「アップル、折りたたみ式iPhoneを26年発売へ ”折り目”問題の解決に注力」という記事を読みました。
とちょっと変な書き方がされていますが、折りたたみ式デバイスの画面のシワ改善に関する特許出願が出願公開されたということを言っています。
この出願については、アップルの特許情報のニュースサイトPatently Appleでも記事になっていました。米国出願公開番号はUS20240079442です。しかし、実は、この出願は2021年に出願された別の出願の分割出願であり、原出願は結構広い範囲で既に権利化されているのですが、記事中ではまったく触れられていません(Patently Appleはこういうちょっと調べればわかることが書いてなかったりすることがあります)。
ということで、ここでは、元出願の方の特許US1186266について見ていくことにしましょう。発明の名称は”Electronic devices with folding displays having textured flexible areas”(テクスチャ加工されたフレキシブル領域を有する折り畳み式ディスプレイを備えた電子機器)、出願日は2021年12月3日(優先日は2021年1月3日)、登録日は2024年1月2日です。米国以外の出願は確認されていません。きわめて範囲が広く、特に請求項1は、ほとんど技術常識なのではないかと思えるくらいです。
請求項1の内容は以下のとおりです。
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