テニスの大坂なおみ選手が、全仏オープンを棄権した。
大坂選手は大会前の先月26日、ソーシャルメディアを通じて、「(記者会見では)アスリートの心の健康状態が無視されている」とし、全仏中は試合後に行われる記者会見に臨まない意向を表明していた。
記者会見ボイコットを告げるメッセージ
そして1回戦の試合後、大坂選手はコート上のインタビューには応じたが、決意表明をした通り、記者会見に姿を見せなかった。そのため、主催者から罰金1万5000ドル(約150万円)を科された。またグランドスラム4大大会の主催者は共同で、今後も記者会見をしないならば、より多くの罰金やグランドスラムへの出場停止処分を受けることになるとの声明を出した。
この問題はアメリカでも大きな波紋を広げたが、議論が大きくなりすぎて大会自体を混乱させていると判断した大坂選手は31日、全仏オープンの棄権を発表した。
全仏オープンの棄権を告げるメッセージ
大坂選手の決意に対して、各界からさまざまな応援の声が上がっている。
(NBAバスケットボール選手、ステフィン・カリー)
(ニューヨーク州下院議員、アレクサンドリア・オカシオ-コルテス)
テニス選手や関係者からも、心情を察する声が上がっている。
昨年のBLM問題の際も自らの言動が注目され、人々に黒人差別問題について考えるきっかけを与えた大坂選手。その時も今回も、賛同と同じくらい反発も多いのだが、それは彼女のような一挙手一投足が世界の注目を浴びるに等しい影響力を持つ、若い世代のリーダー的なアイコンの使命なのかもしれない。
復帰のタイミングや東京オリンピックについて本人は明言をしていないが、オリンピックは体調などを考慮した上で出場の意思を示しているとも報じられている。しばらく休養し再び時期がくれば、必ずやコートに復帰するだろう。その時は心身ともに強く聡明でさらにパワーアップした世界のNaomi Osakaとして。
Sources:
米ワシントンポスト
英ユーロスポート
* 注:日本語の記事に「鬱病」「うつ病」と書かれているものが散見されますが、英語の原文を読む限り、大坂選手の表現するdepressionとは、気分の落ち込み、うつっぽい憂鬱な気分が2018年以来、長い間あるということではないかと思いました。オーサーコメント
(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止