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大坂なおみ、女子スポーツ界長者番付で世界トップ&年収で新記録樹立! 米メディア発表

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
2021年BNLイタリア国際女子(5月12日)。(写真:ロイター/アフロ)

アメリカのスポーツビジネス系ウェブメディア、スポーティコは25日、世界で活躍するスポーツ選手の収入について、独自の調査結果「長者番付トップ100」を発表した。

上位100人は、世界23ヵ国で活躍するサッカーやテニス、ゴルフなど各種スポーツ選手で、その総収入額は42億ドル(約4200億円)に達した。

内訳は、(1)競技から得られる給与と賞金の29億ドル(約2900億円)のほか、(2)過去12ヵ月間のエンドースメント(スポンサー企業による肖像権使用などの独占契約)やライセンス料、スポーツメモラビリア(写真やカード、使用済みボールなどの記念品)、イベントやメディア出演料など、コートやフィールド以外の収入13億ドル(約1300億円)がある。

特筆すべきは、日本が誇るテニスの大坂なおみ選手が、15位(女性アスリートではトップ)になったことだ。現在、24日からの全仏オープンに参加中の同選手。今年2月の全豪オープン、女子シングルスで2年ぶり2回目の優勝を果たし、23歳にしてグランドスラム4勝目を挙げ、マーケティング力が急上昇。過去12ヵ月間の総収入が5510万ドル(約55億1000万円)となり、女性アスリートとしての史上最高額を樹立。昨年の40億円からさらに15億円以上上回った。

5510万ドルのうち5000万ドル(約50億円)はエンドースメントだという。

記事によると、過去12ヵ月間でこの金額を上回っているのはロジャー・フェデラー、レブロン・ジェームズ、タイガー・ウッズとごく稀な選手のみだ。そして、これまで(少なくともマイケル・ジョーダンの時代)はスポーツ選手が競技以外の政治的な発言をすることはタブー視されてきたが、大坂選手が昨年BLM関連の言動をしたことでさらに注目と理解を得て、文化を変えたと讃えた。その上で、史上最高額の更新について「どの企業も大坂選手とビジネスを共にしたいと思った、その結果だ」と高く評価した。

大坂選手と契約しているスポンサー企業には、日清食品、全日空(ANA)、日産自動車、ヨネックス、森永製菓、WOWOW、ナイキ、タグ・ホイヤー、ルイ・ヴィトンなど錚々たる名が並ぶ。

また大坂選手は、米スイムウェアブランドのFrankies Bikinisに加わり、今月初の水着コレクションを発表したり、スキンケアブランドのKINLÒを立ち上げたりもしており、記事は「23歳にして新進の起業家でもある」としている。

Netflixオリジナル・ドキュメンタリー『Naomi Osaka』が7月13日、全世界配信されることも決まっており、大坂選手の勢いは止まる所を知らない。

大坂選手のエンドースメント一例(Instagramより)

スイートグリーン(アメリカで人気のサラダチェーン。今月同社初のアスリートアンバサダーとして就任。大坂選手も投資家の1人)

日産自動車

ルイ・ヴィトン

タグ・ホイヤー

世界のスポーツ選手「長者番付トップ100」でも広がる男女格差

大坂選手以外にも、スポーティコが発表した今年のスポーツ選手「長者番付トップ100」を見てみよう。

1位

コナー・マクレガー選手(格闘家)

総収入 2億800万ドル(約208億円、うちエンドースメント料は約180億円)

2位

リオネル・メッシ選手(サッカー)

総収入 1億2600万ドル(約126億円、うちエンドースメント料は約35億円)

3位

クリスティアーノ・ロナウド選手(サッカー)

総収入 1億2000万ドル(約120億円、うちエンドースメント料は約50億円)

1位となったマクレガー選手の収入の大半はウイスキーブランド、プロパー・ナンバー・トゥエルヴからのエンドースメント料という。スポーツ選手にとって企業とのタイアップ契約金が収入の大きな比重をいかに占めていることがわかる。

そのほか、トップ10入り選手:

ダック・プレスコット(フットボール)

レブロン・ジェームズ(バスケットボール)

ネイマール(サッカー)

ロジャー・フェデラー(テニス)

トム・ブレイディ(フットボール)

ケビン・デュラント(バスケットボール)

ステフェン・カリー(バスケットボール)

そのほか13位がタイガー・ウッズ選手、15位が女性トップの大坂選手、44位がセリーナ・ウィリアムズ選手などと続いた。日本人では大坂選手のほかに、錦織圭選手が2660万ドル(約26億6000万円)で88位に入った。

トップ100の中で女性アスリートは、大坂選手とウィリアムズ選手の2人だけだった。スポーツ界のジェンダー不平等(男女格差)がたびたび問題とされているが、やはり2021年になっても、このような結果に終わった。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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