新食感の王道和菓子「生シベリア」瑞々しい甘さ控えめのたっぷり羊羹とカステラのハーモニーを小樽市から
お菓子や料理にはそれぞれ数々の逸話があるといわれ、なにかしらの説明の際に、諸説あります、と一言添えられることがありますね。
シベリア、という和菓子をご存知でしょうか?和菓子といえども和菓子屋さんのみならず、個人的には昔はパン屋さんでも販売されていたような気がするお菓子。こちらも実は100年以上の長い歴史をもつといわれる逸品。と申しますのも、実は起源がはっきりとしていないのです。
一説によれば、明治後半から大正前半にかけた誕生したといわれているシベリア。大正浪漫と称される時代には、喫茶店ならぬミルクホールで提供されていたという供述や、パン屋さんではよく製造されていたとのこと。また、西南戦争をはじめとする動乱の日本を統率してきた乃木希典(のぎまれすけ・乃木将軍や乃木大将とも呼ばれた)が日露戦争の際にシベリアへ出兵した際、母国の甘い物を欲したことがきっかけで誕生したとも。それが明治37年、明治の後半ですから、なかなか有力な説ともいえるのではないでしょうか。
さて、時代は変わり令和の今。北海道小樽市、時に厳しく豊かな海の恵みを与えてくれる石狩湾の傍らに佇むアウトドアブランドから誕生したカフェ「8A GARAGE COFFEE(ヤエイガレージコーヒー)」さんには、王道に現在のエッセンスを取り入れたシベリアがあるのです。今回は8A GARAGE COFFEEさんの「生シベリア」の抹茶味をご紹介。
偶然にも都内の催事にて出会った限定味の生シベリアの抹茶味。正方形の箱にぴちっとお行儀よく収まった蓋切れのシベリアは、バランスの良い配色が目を引きます。たんぽぽ色のカステラ生地は目が詰まっているものの、仄かにしっとりとした質感も。重量級ともいえるような全体を支えるにはこのくらいの力強さが必要なのでしょうね。
抹茶羊羹は非常に瑞々しく、ほろほろとほどけていくたびに広がる抹茶の芳香。甘さ控えめで、苦味や旨味といった風味豊かな大人味。そこで大事な役割を果たすのが濃厚な生クリーム!カステラと羊羹を繋ぐ名脇役は無くてはならない存在。乳脂肪分のコクと滑らかさが全体をひとつにまとめてくれるので、ほろ苦く甘い余韻が心地よく広がります。
催事会場にて、ある程度年齢を召した女性が「このシベリアはぱさぱさしていなくて食べやすい」と仰っていました。30代の私も、小学生の娘もぱくぱくいけてしまうシベリア。
おやつにもぴったりですね。
8A GARAGE COFFEEさんのシベリアは、今の時代に相応しいスタイルでその歴史と食文化を継承させてくれているのでしょうね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<8A GARAGE COFFEE>
公式サイト(外部リンク)
北海道小樽市銭函3丁目183-35
0134-64-9107
11時~18時(ラストオーダー17時30分)
定休日 火曜・水曜